アンティークハウス

2025年3月 5日 (水)

アンティークハウス(10)古い照明たち

照明器具はすべてお施主さんが長年にわたって揃えたものだった。半数ほどはこれまでお使いになっていたものでもある。

薄暗がりで古い照明器具はほんのり光って美しい。乳白色ガラスやすりガラスは光を拡散するので、ガラス表面にほの灯りをまとわせる。部屋が暗いとそのほのかな発光が見えるわけだ。ほんのわずかな光の加減で表情を変える。とても楽しい。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。 2024.10.26撮影 
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2025年3月 4日 (火)

アンティークハウス(9)水回り

水まわりはいたって現代もので固めている。このあたりはインテリアコーディネータの薮京子さんにまとめていただいた。キッチンやユニットバスはお施主さんが選んだもの。洗面台はお施主さんの要望にしたがって三宅家具店さんがお作りになった。全体的に昭和初期の洋館テイストだが、現代ものもよく映えるのがおもしろい。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。

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2024.10.26撮影 

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2025年2月27日 (木)

アンティークハウス(8)ジョネス式書斎

サンテラスの反対側はジョネス窓のある書斎である。この窓がけっこう大きい。この窓の高さを基準として1階の高さは決めている。だから天井高さは3メートル弱ある。ただし天井が高いという印象は受けない。ちょうどよいのである。このくらいの高さがあれば、吊り照明も取り付けやすい。

籐の椅子は施主さんの家にあったもの。ジョネス窓とよい感じに馴染んでいる。カーテンレールはお借りしたヴォーリズ建築からのレスキューもの。真ちゅうパイプが2本並んでいる。端部の飾りが愛らしい。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 

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2025年2月25日 (火)

アンティークハウス(7)サンルームと坪庭

1枚目の写真は、1階居間からサンルーム側を見通したところ。天井に梁を見せているのでリズム感がある。真壁づくりで天井に梁を表すと電気配線ができない。ここは電気屋さんが苦労して配線を通してくださった。

2枚目はサンルームの窓。2枚の開き戸は片方ずつ別のところにあったものなので寸法が違う。三宅家具店さんがうまく調整してくださった。左右の縦長窓も借りたもので、もとは洋館のランマ窓だったものをたて使いにした。ドア上のランマ窓だけ新調した引き違い窓だ。

こうしていくつかの建具を組み合わせたおかげで光がたっぷり入ってくる。部屋を直列にすると中央が薄暗くなりがちだが、それを明るいサンルームが補ってくれた。

吊り照明はガラス棒をランプシェードに使ったアンティークもの。ガラス棒の影が天井や壁に放射状に映り込んでとてもきれいだ。これは猪原さんが調整してくださったもの。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
(3枚目だけコントラストを調整しました)
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2024.10.26撮影 

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2025年2月21日 (金)

アンティークハウス(6)4部屋直列型レイアウト

1階は書斎、リビング、食堂、サンテラスと直列させた。ひとつながりに見通せるので広く感じる。柱梁の塗装はお施主さんによる自家施工だ。塗料はドイツの自然系塗料メーカー「オスモ」から選んでいる。

窓と室内建具はお施主さんが買いためていたものと、今回お借りしたものが混じっている。いずれも三宅家具店さんに調整していただいた。家具類は元からお使いのものがほとんどだった。それが新築住宅とよく馴染んでいる。

もともとお施主さんはアンティークがことのほかお好きで、古いものをうまく取り入れた生活をなさっていた。だから新築しても戦前から遺る洋館のような暮らしの風景が実現したのだと思う。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 

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2025年2月18日 (火)

アンティークハウス(5)2階ホール

ジョネス階段を上がると2階ホールに至る。大きなアーチ扉のなかは本棚となっている。この扉は施主がアンティークショップで見つけたもので由来ははっきりしない。海外のものだそうで、わたしにもそう見える。枠の一部が無かったので三宅家具店に補っていただいた。

天井から下がる大きな照明器具もアンティークだ。これは照明や家具の作家である猪原秀彦さんに修理してもらった。彼には鴨東教会の照明を考案製作していただくなどこれまでもお世話になっている。とても重い照明器具だったが、この吊り込みも猪原さんにしていただいた。ありがとうございました。
 
※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 
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2021.08.07、円満字撮影
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2021.09.16、円満字撮影

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2025年1月12日 (日)

アンティークハウス(4)ジョネス階段



旧ジョネス邸から救出された部材で借り受けたものに階段手摺がある。長い手すりとシンプルな手すり子が遺っていた。


 


ジョネス邸は和風テーストの混じったモダニズムだった。手すりのシンプルさが和風を思わせておもしろい。保管倉庫にこもって遺った部品を並べてみた。どうやらジョネス邸にあった2ヶ所の手すりが混じっているらしい。


 


とりあえず手すりの長さに合わせて設計した。2階に近い部分は、古材に合わせて新規に大工さんに作っていただいた。古材部分も現場で相当調整していただいている。大工さんのおかげできれいに復元できた。ありがたい。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。

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2024.10.26撮影
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2021.06.19、保管倉庫でジョネス階段を復元する(設計者撮影)
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2022.02.28、階段室初期設計
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2021.05.20、階段室スケッチ

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2024年11月17日 (日)

アンティークハウス(3)玄関

玄関扉はやはり借り受け建具だ。これは須磨区にあった室谷(むろたに)邸(1934-2007、ヴォーリズ設計)のもの。外部用ではないと思うが雨掛かりがないのでよいだろうと思って使った。小扉は新しく作った。

古い建具は部品がなかったり、壊れたりしていた。これらはすべて向日市の三宅家具店に調整していただいた。三宅さんは施主さんとなじみの京指物師。建具類は50点ほどある。すべて実測してリストを作ったが、設計中にも施主さんが古建具を買ってくる。増える一方で途中でわけが分からなくなったので、施主さんと三宅さんに管理してもらった欲的な施主、腕のよい指物師、それと設計者、施工者の連携がなかったらこの建物は完成しなかったろう。

欄間のステンドグラスは施主さんがアンティークショップで買ったもの。デコ風のシンプルなデザインでおもしろい。門灯はアンティーク。ドアまわりにタイルを貼るのはヴォーリズがやっていたのをまねた。タイルは施主さんが選んだ。

玄関の傘立てと照明は、建て替え前の建物にあったもの。よく馴染んでいる。床タオルは施主さんが選んだ。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記いたします。

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2024.10.26撮影
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2023.08.27、玄関まわり詳細図、工事中に大工さんと相談しながら描いた。建具枠を薄く見せるために見切り板を入れる工夫をしている。

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2024年11月12日 (火)

アンティークハウス(2)ジョネス窓の貸与

設計の途中で1階窓にちょうどよいのがあると、お施主さんが見つけてきた。「旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会」が保存していたジョネス邸(1919)の窓である。ジョネス邸は神戸市垂水区塩屋の海岸沿いに並んでいた洋館のひとつで、不思議な和洋折衷が魅力的だった。わたしも保存運動のことは聞いてはいたが、なにもお手伝いできずにいた。2013年解体。

引き継ぐ会はレスキューした部材を公共建築などに移植して保存することを決め、学校などに次々と移植していった。建具は引き継ぐ会から購入するのではなく貸与という形式をとっているのがおもしろい。売買することで途切れがちな糸を貸与契約で繋ぎ留めようとする試みだ。

引き継ぐ会は塩屋の旧グッゲンハイム邸に事務局を置いている。施主さんと一緒に塩屋に何度か訪れて、洋館を新築したいことをお話しした。そして許可をいただいてジョネス邸の窓と階段手摺などを借りることができた。ジョネス窓が手に入ったことで設計に弾みがついた。塩屋のみなさん、」ありがとうございます。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記いたします。

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2024.10.26、1階正面に設置されたジョネス窓
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2024.10.26、ジョネス窓内観、窓枠も遺されていた。
カーテンレールは室谷邸もの
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2021.06.19、保管されていたジョネス窓(設計者撮影)
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2021.11.24、ジョネス窓を含む建具表の一部

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アンティークハウス(1)洋館の設計依頼



足掛け3年かかった住宅作品が完成したので友人の写真家にお願いして竣工写真を撮った。よい写真が撮れたので紹介していきたい。

施主はわたしと同世代だ。子育ても終わり、かねてより心積もりしていた洋館生活に入ろうと思った。祖父の家が洋館で、こどものころから洋館にあこがれていたのだ。しかし物件を探したところ、手ごろな値のものは職場から遠く、近いものは高額だった。何年か探したが一向に見つからない。このままでは生涯夢は叶わないと考えた施主は、自宅を洋館に建て直すことに決めたという。

わたしのところに相談に来られたときには、洋館一軒分に相当するアンティーク建具を集めてらっしゃった。建具とはドアや窓やステンドグラスなどだ。ほかに照明器具も一軒分集まっていた。これで洋館を建ててほしいという依頼だった。円満字さんが適任と思う、と言われて引き受けた。おかげで楽しい仕事をさせていただいた。

※ 写真は
写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記いたします。

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2024.10.26撮影

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