雷雨の修学院離宮を参観した(5)
西側に大きな土手を築いて水を溜めている。金閣寺庭園と同じ手法だ。ただし浴龍池のまわりに石組みがほとんどなかった。石組みを使って神仙郷を再現するのが当時の造園方法だったはずだ。それがないので読みにくい。
もっとも似ているのは平等院庭園だ。平等院と同じように修学院離宮の池の縁は石組みを用いず州浜として仕上げている。ここも平等院と同じ浄土式庭園なのかもしれない。
本来、土手の上に大きな樹木を植えなかっただろう。そうすれば空と空を映す水面とが一続きになる。それがもっともよく見えるのは島の上に設けられた「御腰掛」ではなかったか。夕焼け空が水面に映り、世界は上下とも深紅に染まる。修学院離宮庭園は夕陽に阿弥陀如来の来迎を見る日想観の庭なのかもしれない。これが今のところの結論である。
2023.08.24、京都市、修学院離宮庭園
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