銀橋(7)階段塔は方眼紙とコンパスで描かれている
こうやって何度も写真を見直していてようやく分かった。この階段塔は方眼紙で描かれている。武田は方眼紙を使ってデザインしたことで知られる。そうしたアイデアスケッチも残っている。さらにコンパスが大好きで、方眼紙上にさまざまな円を描きながらデザインを整えた。この階段塔もそうやって描かれたものだろう。武田の方眼紙を写真のうえに再現してみた。ぴったりではないか。
左右には6つのマスが並ぶ。上下には9つ並ぶ。屋根のてっぺんが9つ目の正方形の上端に届いていないのは、屋根のてっぺんが後ろに下がっているからだ。立面図に起こせばちょうど9つ目のマスに届く(立面図スケッチ参照)。この仮想方眼だと、アーチの中心がうまく方眼に当てはまる。武田がこの階段塔を方眼紙で描いたことの傍証となろう。
武田らしいのは立面の比率が2:3になっていること。武田は立面にしろ平面にしろ、とりあえず2:3の比率にしておけという。2:3の比率は黄金比の1:16に近いからだ。
さらに、各部が3分割でデザインされている。全体のうち、上部の3分の1が屋根だ。屋根部分は上下に3分割されている。下から埋め込み照明の部分、急勾配の屋根、緩い勾配の屋根の順だ。急勾配の屋根と緩い勾配の屋根もそれぞれ3分割されている。なにゆえ武田がこれほど3にこだわるのか分からないが、いかにも武田らしいデザインといえよう。
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