武田的ディテール
2023年2月 7日 (火)
2023年2月 4日 (土)
2023年2月 3日 (金)
2023年1月13日 (金)
2022年11月 2日 (水)
京都モダン建築祭の応援記事が載った
ぽマガジンに京都モダン建築祭の応援記事が載った。建築祭主催のまいまい京都から宣伝のために取材に応じるよう依頼された。ぽマガジンは「定説ではないがもっともらしい噂話」をしてほしいというので武田物件を中心のヲタク話をしてきた。とめどもない話をうまくまとめている。自分で読んでもおもしろい。みんなも読むといいよ。
ぽマガジン 噂で知る京都シリーズ「武田五一を愛する建築探偵の推理が、京都のモダン建築の謎を次々に解いているらしい」https://www.potel.jp/kyoto/cityguide/feature/modern_architecture/?fbclid=IwAR2XgVHBRRrrJZ3Z45HTzqJrXtycRIUHK1dXC55nTMHcb1vgPyDV0M-GEvQ
府立図書館のコンパスの跡
2022年9月13日 (火)
2022年4月26日 (火)
日本のタイル100年(1)武田のテラコッタを見よ
イナックスライブミュージアムの展覧会「日本のタイル100年」を観てきた。ミュージアムの磯崎さんありがとうございました。撮影可だったので気付いたことをメモしておく。
最初に目に入ったのはこのでっかいテラコッタ。京都府立図書館(1909)の装飾と説明があって驚いた。武田五一デザインのテラコッタ装飾が常設展示にあるのは見ていたが、そのほかにも収蔵なさっていたとは知らなかった。武田マニアとしてはとてもうれしい。舐めるように見ていると磯崎さんが寄ってきて「さすが、まっさきに武田五一ですね」と言われた。
キャプションに久田吉之助工場製とあった。久田のことは20年ほど前にタイル復元家の太田さんから教えられた。久田はライト設計の帝国ホテルの外壁テラコッタを開発したが、その後ホテル側とけんか別れして受注は別工場が請けたという。
武田と久田との出会いは古い。武田は京都の伝統工芸の近代化のために京都高等工芸学校へ1903年に赴任した。伝統工芸の近代化のテーマには織りや染めのほかに陶芸も含まれる。輸入にたよっていたタイルやテラコッタの国産化を武田は目指した。
武田の設計した岐阜の名和昆虫館は1907年に竣工し、ここで久田は国産最初と言われるテラコッタを製作した。武田と久田とによる陶芸の近代化のための試みはそのころ始まったと考えてよいだろう。続いて府立図書館ではさらに大型のテラコッタを製作した。そのテラコッタを建物全体に貼りまわしたのが帝国ホテル(1923)だった。
ライトと久田を引き合わせたのは帝国ホテル重役の大倉喜八郎だったとされている。ライトは黄色いテラコッタでホテル全面を覆うことを提案していた。大倉は京都の長楽館(1909、村井別邸)が黄色いことを知っていたので、そこからたどって長楽館の外壁タイルを製作した久田のもとへ依頼が舞い込んだという。
長楽館の外壁タイルはテラコッタだったろうか。テラコッタとは一般的に立体的な装飾焼き物をいう。今度行ったら確かめてみるが、長楽館の外壁は名和昆虫館と同じ釉薬がけのタイルだったと思う。
久田まわりのネット情報では「黄色いレンガ」という言い方がされてるが、そうした用語をわたしは聞いたことがない。黄色いレンガと言うと化粧レンガの一種のように聞こえるが、久田が作ったのはレンガではなくテラコッタだ。「黄色」は昆虫館や府立図書館ですでに実現させている。難しかったのは土練り、成形と乾燥だったのでないかとわたしは思う。
久田と武田とはコンビを組んでいたし、武田はライトとも友人だった。わたしはライトと久田を引き合わせたのは武田だったろうと思っている。1918年、武田が突如として名古屋高等工業学校へ転任させられたのも陶芸の近代化のための一環だったのではないか。武田が目指していたのは「京都」の工芸近代化ではなく「日本」の工芸近代化だったと考え始めている。
2022.04.23、イナックスライブミュージアム
2022年3月19日 (土)
2022年3月18日 (金)
2021年12月31日 (金)
武田的ディテール(52)岡崎公園の大鳥居問題
この鳥居は幾何学的で作られている。鳥居の内側が正方形になっていることは以前から気づいていた。そこで全体がどうなっているのか写真をもとに検討してみた。
方眼にあてはめてみれば鳥居の内側は4:4の正方形であることが分かる。それを敷衍すれば高さは5、巾は約8の方眼にうまく納まる。実は5:8は大鳥居の一般的の比率であるようだ。有名な安芸の宮島の海上大鳥居も5:8の比率なのだ。
おもしろいのは5:8が黄金比であることだ。黄金比は1,1,2,3,5,8,13…というフィボナッチ数の隣り合うふたつを近似値として使うことが多い。武田が2:3の比率を多用するのはそのためだと本人が言っていた。だから大鳥居の伝統的な比率が5:8の黄金比であることにも武田は気づいていたろうと私は思う。
この鳥居がそっけないとそしる向きもあるが、そっけなさは武田的ディテールの本領なので問題ない。問題はこの鳥居が大きすぎたことにある。武田の誤算はそこにあった。あまりにも大きすぎるため地上から見上げたときに5:8の比率に見えないのだ。おそらく1.5キロほど離れた青蓮院門前あたりからならばきれいな比率で見えることだろう。今度確かめてみよう。
より以前の記事一覧
- 武田的ディテール(51)下足入れの年代推定 2021.12.03
- 武田的ディテール(50)オシャレは足もとから 2021.12.01
- 武田的ディテール(49)旧京都市陳列館の門柱はなぜTの字なのか 2021.11.30
- 武田的ディテール(48)フォーチュンガーデンの丸タイル[続報] 2021.11.29
- 武田的ディテール(47)島津の謎の塔[真実編] 2021.11.28
- 武田的ディテール(46)島津の謎の塔[解決編] 2021.11.05
- 武田的ディテール(45)島津の謎の塔 2021.11.02
- 武田的ディテール(44)栄光館のテラコッタ(2) 2021.11.01
- 武田的ディテール(43)フォーチュンガーデンの扉飾り 2021.10.31
- 武田的ディテール(42)フォーチュンガーデンの丸タイル 2021.10.30
- 武田的ディテール(41)栄光館のテラコッタ 2021.10.28
- 武田的ディテール(40)栄光館のバルコニー下 2021.10.26
- 武田的ディテール(39) 府立図書館のイチョウ 2021.06.17
- 武田的ディテール(38) 圓教寺食堂の柱 2021.06.14
- 武田的ディテール(37) 復元された舞台(2) 2021.06.13
- 武田的ディテール(36) 復元された舞台 2021.06.12
- 【 武田的ディテール(35) 舞妓さんの守り神 】 2021.06.03
- 【 武田的ディテール(34) 搬入口を正面にすえる度胸があるか 】 2021.06.02
- 【 武田的ディテール(33) 武田の遺作を見てきた・桃山碑3】 2021.06.01
- 【 武田的ディテール(32) 武田の遺作を見てきた・桃山碑2】 2021.05.31
- 武田的ディテール(31)武田の遺作を見てきた・桃山碑1 2021.05.30
- 武田的ディテール(30)高山彦九郎銅像のいきさつ3 2021.05.27
- 武田的ディテール(29)高山彦九郎銅像のいきさつ2 2021.05.26
- 武田的ディテール(28)高山彦九郎銅像のいきさつ1 2021.05.24
- 武田的ディテール(27)府立図書館の換気口は何に見えるか 2021.05.22
- 武田的ディテール(26)蓮華噴水脇の2本の照明塔 2021.05.19
- 武田的ディテール(25)蓮華噴水の謎・なぜズレたのか? 2021.05.18
- 武田的ディテール(24)蓮華噴水の謎・排水口の位置のずれ 2021.05.17
- 武田的ディテール(23) 蓮華噴水の謎・なぜハスなのか 2021.05.16
- 武田的ディテール(22)和風な洋風 2021.03.17
- 武田的ディテール(21)和風な洋風 2021.03.16
- 武田的ディテール(20)銅像台座 2021.03.12
- 武田的ディテール(19)京大の矢車模様 2021.03.10
- 武田的ディテール(18)コンパスの跡 2021.03.09
- 武田ディテール(17)武田邸アトリエ 2021.03.08
- 武田的ディテール(16)記念碑のベンチ 2021.03.06
- 2001年「分離派建築会100年展」メモ 2021.03.05
- 武田的ディテール(15)銀橋の階段塔 2021.03.05
- 武田的ディテール(14)銀橋の3ヒンジアーチ 2021.03.04
- 武田的ディテール(13)銀橋 2021.03.03
- 武田的ディテール(12)噴水 2021.02.17
- 武田的ディテール(11)タイル 2021.02.16
- 武田的ディテール(10)記念碑 2021.02.12
- 武田的ディテール(9)家具 2021.02.10
- 武田的ディテール(8)モザイクタイルの海 2021.01.21
- 武田的ディテール(7)傾斜する壁柱 2021.01.20
- 武田的ディテール(6)扉の八角形 2021.01.19
- 武田的ディテール(5)造り付けの下足箱 2021.01.18
- 武田的ディテール(4)レンガの飾り積み 2021.01.17
- 武田的ディテール(3)レンガの飾り積み 2021.01.16
- 武田的ディテール(2)レンガの飾り積み 2021.01.15
- 武田的ディテール(1)リボン窓 2021.01.13
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