館ものミステリー研究

2020年2月26日 (水)

館ものミステリー平面図を立体化する研究(03)「三角館の恐怖」

今月は江戸川乱歩だ。これはアメリカの「エンジェル家の殺人」の翻案だそうだ。それを無理やり日本に当てはめたので「明治中頃に竣工したレンガ造3階建ての住宅」という設定に無理がある。明治中期だとだいたい木造2階建てになると思う。この設定なら明治後期でないと無理がある。もしあるとすれば同志社大のクラーク記念館(明治26)みたいなものになると思うが、残念ながら平面図がバリバリの新古典主義なのでクラーク館のようなロマン主義的建築とは正反対だ。乱歩はそのあたり特に気にする風もない。そこに建築愛はない。

(2)の綾辻行人もそうだったが日本人作家には建築愛がないのだろうか。次回は海外作家の館ものを取り上げてみたい。


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2020.02.17/A4コピー紙、0.5シャーペン2B

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2020年2月 6日 (木)

館ものミステリー平面図を立体化する研究(02)「十角館の殺人」

 綾辻行人の館ものシリーズの1冊目「十角館の殺人」(講談社文庫2007)の平面を立体化してみた。1960年ごろの建物のはずなのに「薔薇の名前」に出てくる中世図書館のような平面をしている。なにか平面図の元ネタがあるのかも知れないが60年代というこの小説の設定からはかけ離れている。文中の建物描写も意味不明であったりチグハグだった。作者はミステリーマニアだけど建築を愛しているわけではないと思う。そんなこんなで立体化しづらかったが60年ごろの日本の前衛建築家ならこんな感じだろうとあたりをつけて描いてみた。これで30分くらい。

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2020.02.04/A4コピー紙、0.5シャーペン2B

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2020年1月 9日 (木)

館ものミステリー平面図を立体化する研究(01)「湯殿山麓呪い村」

 山村正夫のベストセラー「湯殿山麓呪い村」(角川書店1984)を読んでいる。殺人現場となる邸宅の平面図が載っていた。館ものミステリーの平面図は素人くさいものが多いがこれはよくできていた。平面から立面も想像できたので描いてみた。戦後のスパニッシュというのでこんな感じだろうと思う。決して豪邸というほどのものではない。いかにも高度成長期の中小企業の社長宅という趣きなのは小説の設定とおりだ。

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2020.01.02/A4コピー紙、0.5シャーペン2B

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