旧山口家住宅のまっすぐな梁組み
大きな土間にまっすぐな梁が並んで迫力がある。まるで桃山期の城郭建築のようだと思ったら、ここは江戸時代初期の建物だそうだ。このまっすぐな梁も城作りに使うような当時の規格材なのだろう。束柱やそれをつなぐ貫材の表面がチョウナ掛け仕上げなので手彫りの跡が残っていて味わい深い。
建築研究 まっすぐな梁 http://www.tukitanu.net/2021/10/post-ff4f2c.html
2023.03.31、大阪府堺市、旧山口家住宅
大きな土間にまっすぐな梁が並んで迫力がある。まるで桃山期の城郭建築のようだと思ったら、ここは江戸時代初期の建物だそうだ。このまっすぐな梁も城作りに使うような当時の規格材なのだろう。束柱やそれをつなぐ貫材の表面がチョウナ掛け仕上げなので手彫りの跡が残っていて味わい深い。
建築研究 まっすぐな梁 http://www.tukitanu.net/2021/10/post-ff4f2c.html
2023.03.31、大阪府堺市、旧山口家住宅
山水蒙とはなにか。易では山と水とが揃うと蒙という答えが出る。蒙は愚かなというほど意味で決してよい漢字ではない。しかし易経は蒙について次のように説明する。
蒙は亨(とお)る。我より童蒙に求むるにあらず。童蒙より我に求む。初筮(しょぜい)には告ぐ。再三すれば瀆(けが)る。瀆るれば告げず。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。
蒙は亨るとある。亨るとは願いがかなうという意味だ。易は64通りの答えが用意されているが、そのうち39通りは亨る。蒙はその39通りのうちのひとつなのでさほど悪い卦ではない。
その次の「我」とは易経を編纂した孔子のこととされる。「我より童蒙に求むるにあらず」とは孔子が愚かなこどもを教えるのではないという意味。「童蒙より我に求む」とはおろかなこどものほうから孔子に問いかけるいう意味。最良の教育は先生が弟子を教えるのではなく、弟子が自発的に先生に尋ねるかたちがよいというイメージを示している。
「初筮には告ぐ。再三すれば瀆る」とは、占いは1回きりのもので何度も尋ねるものではない。それは神を冒涜することになる。そして何度も聞けば神は答えなくなるという。蒙が亨るとは、幼児の純真さをもって祈れば神はそれに応えるという意味にもとれる。その祈りとは聖武帝が母とも慕う元正上皇の病気平癒だというわけである。
とりあえずその解釈で間違いとは言えないが多分にこじつけの感が残る。いまのところ五行説にしたがって水を示すというのは説明がつくが、それと山を組み合わせるというのはピンとこない。病気平癒の願いをかけるのに山水蒙は不適切であろう。
しかしながら、ひとつ気になるのは山水蒙が興福寺の地形と対応することだ。山水蒙とは山の下に泉があって朦朧とした水蒸気が立ちのぼるイメージである。なかなかに幽玄の趣きがある。実はそれは興福寺の立地そのものだ。興福寺は段丘上にあるが、がけ下に猿沢の池がある。池水は春日山から流れ落ちる卒河(そつかわ)をせき止めたものだが、上に山、下に水という形となる。つまり蒙とは興福寺の立地そのもの示す。
泉は神泉なのだろう。その水は薬師が左手にかかげる細首の容器に入った薬水なのだろう。薬師堂が水を示すのならば、その水が育むものは薬師如来であると同時に病床の元正上皇の命なのではなかったか。
東金堂の整数比を易で読むとどうなるか。
まず水平方向だが、中央の扉のある部分とその左右とで3分割されている。
扉のある3間は仏像を安置する場所なので陰陽で言えば陽気だろう。そうすれば残りの左右は仏座でないので陰気となる。つまり陰-陽-陰とつらなる。これを易で読めば「水」となる。
東金堂は聖武天皇が先代の元正上皇の病気平癒を祈って建てた薬師堂だ。堂内に祀られていたのは薬師三尊だった。薬師は東方瑠璃浄土に現れる如来だ。方角は東方であり、東方は木気の領域である。水気は木気を育てる。したがって東金堂が「水」を示すとすれば木器である薬師に供える水気としてふさわしい。
垂直方向は、上の3分の1が垂れ壁で陽気、下の3分の2が回廊部分で空洞なので陰気、したがって下から陰-陰-陽となる。これを易で読むと「山」となる。山は土気なので土気の作用(土用)が働く。土気は他の4つの気を活性化さえる触媒の働きをする。この場合は、水平方向の示す「水気」を活性化させて木気を育てようとする願いだろう。
さて、分からないことがひとつある。「山」と「水」とが揃ったので「山水蒙」という卦が成り立つ。この意味が分からない。
長くなったので、その検討は次回に。
2023.03.05、奈良市、興福寺東金堂
興福寺の東金堂はちょっと不思議なお堂だ。まず背が高いので迫力がある。加えて軒下にピンのように挿しこまれた尾垂木が髪飾りの笄(こうがい)のようで華やかだ。優美でありながら風格がある。夜会に遅れて登場した美しい貴婦人のようだ。脇堂でありながら金堂よりも目立っている。新築の金堂も東金堂にならえばよかったのに。
さて、東金堂の比率を考えてみたのでメモしておく。きれいな整数比になっているのは偶然ではなかろう。
1.まず屋根の幅の3分の2がお堂になっている。
2.さらに中央の扉の部分は屋根の幅のほぼ3分の1である。
3.軒の高さは中央の扉の部分の幅の3分の2である。
4.回廊の高さは軒の高さの3分の2である。
なぜ3分割ばかりなのか。これは易経に基づいていると考えるのがよかろう。易は天地人の3つの陰陽で構成されているからだ。
では、どこが易で読めるのか。それは次回に。
和風ディテールを赤色で示したのが下図だ。緑色はインドサラセン様式を示す。無色部分は洋風である。こうしてみると洋風の骨格にインド式のシルエットを与え、細部を和風で飾ったといえよう。折衷主義というよりはゴシックリバイバルの手法に近いように思う。
伊東は伝道院の竣工する1912年の3年前に「建築進化論」を著しているが、これはその習作というのは違和感がある。デザイン手法が和風建築の進化というより各様式の混合だからだ。当時、本願寺はアジアへ教線を伸ばそうと考えていた。大谷探検隊は中国奥地まで行ったのはそのためだった。アジアにふさわしい新しい世界宗教・本願寺の様式として伝道院は構想されたように思う。
2023.02.11、伝道院の各様式の分布図
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