妄想読書

2015年9月26日 (土)

高田大介「図書館の魔女(上)(下)」

 おもしろかった。上下2巻本の長編ファンタジーで読書の苦手な私に読めるだろうかと思っていたが、途中からどんどんおもしろくなって読み気ってしまった。楽しめたのはキャラが好みだったからだろう。主人公の図書館の魔女マツリカは典型的な内向思考型で、既存キャラで言えば「ゴシック」(2003)のビクトリカや「神様のメモ帳」(2007)のアリスあたりか。アニメ化してほしい。2010年講談社メフィスト賞受賞、2013年刊行。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年1月 4日 (日)

杉井光「神様のメモ帳」(1)-(9)

 これも私好みの話だった。状況が変わることによって凡才が天才に変る物語だ。アニメで興味をもって原作を読んでみたらもっとおもしろかった。舞台の池袋かいわいの日常風景が秀逸だ。アニメでもそうだが、背景がしっかりしているほうが私は好きだ。9巻もあるがすぐ読み切ってしまった。続刊を希望するが無理だろうから1巻から読み直している。


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

村上龍「半島を出よ」(上)(下)

 冒険小説である。村上龍は初めて読んだがおもしろかった。上下に分かれて長編の部類だろうが、ライトノベル並みにどんどん読める。何がおもしろいかと言うと、世の中から役に立たないとレッテルを貼られた少年たちが世の中がひっくりかえる危機に直面して誰も動けなくなったときに大活躍するところだ。本人たちは変っていないのだけれど、社会状況が変わることで天才として立ち顕れる。この逆転が胸をすくように気持ちがよい。


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月26日 (水)

ラノベの近況

 今年になってからあまり読んでないがメモしておく。

 おもしろかったのは「福家警部補の挨拶」「福家警部補の再訪」「福家警部補の報告」のシリーズ。これは先に紹介したが(参照)、続刊がキンドルで出版された。端末が1万円ほどするので買う気がしない。早く本にしてほしいおねがいします。


 あとおもしろかったのは池井戸潤「不祥事」。銀行を舞台にしたビジネスものだが、明快な勧善懲悪で安心して読めた。ヒロインがかっこいい。続編が出れば読むかもしれない。


 興味深かったのは加門七海「大江戸魔方陣」。レイラインを江戸に応用したもの。易を無視しているのが気にいらないが、戦国期の風水もラインで考えるのである程度共通性はあるだろう。最近はやりの風水が、フリーメーソン的魔術の日本版として考えられていることがよく分かった。


 和田竜「のぼうの城(上)(下)」は残念ながらよく分からなかった。トルストイの「イワンのばか」の写しなのだろうが「イワンのばか」ってこんな話だったっけ? もっと人智を超えた天変地異が起こってしかるべきではなかろうか。

 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月29日 (水)

深沢美潮「女優のたまごは寝坊する。」

 ラノベのミステリーでおもしろかった。台本を読んでいるうちにそのなかの人物が自然と主人公の隣りにいるという設定で、このふたりのかけあいで真実を追うという趣向だ。事件が解き明かされるのと同時並行に台本上の物語も進んでいく。この物語もミステリーなのだが、まったく関係のないふたつの物語がパラレルに語られるとき、どっちが現実なのか分からなくなっていく。そこがおもしろかった。


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月20日 (月)

大倉崇裕著「福家警部補の挨拶」(創元推理文庫)

 福家警部補シリーズはおもしろい。女刑事が主人公のミステリーで最初に犯行現場を見せるタイプ。密室トリックやアリバイくずしより、犯人を追い詰めていく心理劇に主体がある。でも本当に明らかになるのは主人公の素性のほうなのだ。

 主人公の素性は完全に伏せてあって、今3冊目を読んでいるが、いまだに下の名前さえ分からない。それでも1話ごとに少しづつ分かってくる。けっこうヲタクで、めっぽう酒に強い、とか。この小出しにするところが反則的におもしろい。たぶん最後にはいろんなことがばれるのだろう。追い詰められていくのは実は推理マニアの主人公のほうなのだ。目が離せないおもしろさである。
 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年4月 5日 (金)

仁藤敦史「“都”がつくる古代国家」NHKさかのぼり日本史10奈良飛鳥

 読みやすかった。ですます調に抵抗があったがすぐ慣れた。著者は歴博の先生でNHKの歴史特番を監修した内容をまとめている。古代の遷都を現代の行政改革に引き寄せて描いてみせる。わたしは都城は呪具だと思っているから、現代的な遷都とはわけが違うだろうと思いながら読み進めたが、当時の政治状況の分析はなるほどその通りだろうと感じた。古代の歴史を国際情勢のなかに置いて読み解く試みは梅原猛が切り拓いたが、それをうまくまとめているので参考になった。



NHK出版 (2012/6/21)

| | コメント (0) | トラックバック (0)