妄想読書

2017年10月 3日 (火)

宮部みゆき「荒神」

 670ページもある。遅読ゆえ読み通せるか自信がなかったがスラスラ読めた。それでも1ヵ月かかったが、ストーリー展開が速くて楽しく読めた。

 ストーリーそのものには異論がある。本当にあの終わり方で良かったのか。からみあったいくつかの筋を最後の10ページで断ち切るように終わらせている。それがこの人の書き方なのか。1ヵ月も読んできてズバッと終わられると途方に暮れてしまうぞ。
 
 宮部みゆきは初めて読んだ。1960年生まれ。1987年オール読物推理小説新人賞を「我らが隣人の犯罪」で受賞しデヴュ。その後数年おきに各賞を受賞している実力派だ。


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2017年9月 6日 (水)

小野不由美「図南の翼」

 これを読んでいると言ったらかみさんが「最初から?」と尋ねる。「?」 聞いてみるとこの本は十二国記というシリーズもので読む順番があるのだそうだ。そんなこと知らなかったが、これは単独でもちゃんと読めた。

 小野不由美も初めて読む。おもしろかったので続きも読みたい。

 中華風の世界観なので、難しい漢字がいっぱい出てくる。女性に人気、ファンタジー、難しい漢字というのがつながらない。わたしは半分読んでも主人公の名前の読みを覚えられなかった。ただし文章は平易で分かりやすい。さすがエンタテイメント小説だ。ワクワクドキドキのスリル満点の冒険活劇小説だ。

 小野不由美は1988年に講談社X文庫ティーンズハートでデヴュ。これは少女小説系のラノベレーベル。他大学ながら京大推理小説研で活動したそうだ。そのころの作品を読んだ講談社の編集者から声がかかったとウイッキにあった。翌年「悪霊シリーズ」がベストセラー化し一躍人気作家となる。十二国記は1992年からでシリーズ未完。

 ずっと受賞歴がなかったが、2013年「残穢」で山本周五郎賞を受賞した。デヴュ25年目の受賞である。こういう時代小説とファンタジーのあいだのような小説は酒見賢一や高田大介を思い出す。ものすごく売れるけれどなぜか出版界から冷遇されている。なぜだろう。遅筆だからかも知れない。


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2017年8月27日 (日)

加藤眞吾著「清水寺の謎」

 これも謎解きではなかった。「謎」で読者を釣るのはやめてほしい。副題に「なぜ舞台は造られたのか」とあり、かねがね私もその意味を考えていたので買ってみた。でも結論は「狭くなったので増築した」「舞台というからには芸能を奉納した」「記録が残っていないので本当のことは分からない」だった。それは推理ではない。

 おもしろいエピソードはいくつもあった。平安時代に貴族の若ボンが舞台の手すりを蹴鞠のリフティングをしながら渡った話などおもしろくて仕方がない。また、清水寺の僧侶が尊王の志士として活躍した話など興味深かった。百科事典のようで読むのに苦労したが、案内本としてよくまとまっている。良書である。

 著者は清水寺の学芸員の方なので、さすが取り扱う内容が的確で信頼できる。1942年生れ2013年没。この本は亡くなる前年70歳のときの出版。京都新聞の記者だったとあるが詳しい履歴は不詳。他の著書があるのかどうかも不明。


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2017年8月21日 (月)

邦光史郎「法隆寺の謎」

 驚いたことに謎解き本ではない。

 たとえば中門が4間である謎に対して諸説を紹介し、最後に自分はこの説がいいと感想を述べてすませている。なぜそれがよいのか理由を書いていない。推理の経過が無ければ謎解きにならないだろう。中門の謎を軽視しているのかも知れない。

 この本は「日本史の旅シリーズ」の1冊なので「謎解き本」ではなく「旅行ガイドブック」なのだ。それなら「謎解き」を紹介文に使うのはまぎらわしいのでやめてほしい。ガイドブックとしてなら読みやすくて良い本だ。さまざまな謎を総まくりしいるので、法隆寺を考えるための準備になった。

 邦光史郎は産業推理小説というジャンルを開拓したことで知られる。わたしは読んだことがない。1996年に74歳で亡くなっている。この本は1989年なので67歳の作だ。変わった経歴の持ち主で、最初で構成作家をしていた。40歳のときに「欲望の媒体」でデヴュし一躍人気作家となる。多作で年に2~3本書いた。一度直木賞候補に挙がったことがあるが生涯文学賞を受賞せず終わった。

 45歳から65歳までを「熟年」と呼ぶ言葉を提唱したひとりとされる。そのとき彼は50歳だった。おもしろい人だと思う。いずれ作品も読んでみたい。


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2017年8月10日 (木)

梨木果歩「裏庭」

 ファンタジーだった。異世界と現実とで書体を替えているのが珍しい。現実のドロドロが異世界で解き明かされていく対比がおもしろかった。

 名前の設定に凝るあたりは平山夢明の「ダイナー」主人公オオバカナコを思い出した。梨木果歩は前に「リカさん」を読んだことがある。人形たちの物語でおもしろく読んだ記憶がある。

 梨木果歩は35歳のときに「西の魔女は死んだ」でデヴュ。ベストセラーとなり翌年第28回日本児童文学者協会新人賞・第13回新美南吉児童文学賞・第44回小学館文学賞を総なめした。同年「裏庭」を出版し第1回児童文学ファンタジー大賞を受賞。世に出てから賞が追い付いていく珍しいタイプの小説家。

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石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

 意外にもハードボイルドだった。いつもクールなかっこいい主人公が駅前の果物屋の息子だというのもおもしろい。池袋のストリートギャングの話。ニューヨークみたいな池袋の感じがとてもよい。大阪だとどこだろう。南堀江か、それとも桃谷か?

 石田衣良は37歳のときにこの小説でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデヴュした。人気が出てシリーズ化された。次作も読んでみたい。

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2017年7月14日 (金)

瀧羽麻子「うさぎパン」

 表紙買いした。月イチ2文(参照)の2冊目。瀧羽麻子はたきわあさこと読む。

 あさのあつこは、読者を何ページ目で泣かせるかということをコントロールできると書いていた。それを思い出した。計算されているのだろうけどそれを感じさせない自然なストーリー運び。

 わたしの涙腺は「失われていたものを取り戻す」ところで緩むが、それは他の人も同じかも知れない。ストーリー運びの常套なのだろう。でも何度でも泣ける。ストーリーを仕込むと小説は自立するのだろう。でもストーリーって何だろう。

 瀧羽麻子は2007年ダ・ヴィンチ大賞を「うさぎパン」で受賞、26歳でデヴュ―。


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2017年7月13日 (木)

夢枕獏「陰陽師」

 岡野玲子のコミック版は読んでいた。その独特の世界観が好きだったが、それは原作ゆずりだった。清明と博雅のかけあいが楽しい。キャラはかけあいから生まれるな。

 単行本が1988年だからもう30年も前だ。岡野のコミック化が1999年。コミックを読んでいなかったら原作も手にとっていなかったかも知れない。コミックは原作に忠実だった。岡野オリジナルの部分も夢枕の原作の延長上にあることが分かった。あまりにコミックが忠実なので、読んで浮かぶイメージが全部岡野の絵になってしまうのが難点かな。

 驚いたのは一文ごとに改行していること。いちいち改行するのでページの半分くらいは白紙だ。これってネット小説の書き方じゃん。30年前ならまだケイタイ小説もないぞ。なんでこんな書き方をしたのだろう。そういうのは誰に聞けばいいのか。

 月に2冊本屋で文庫を買って読む「月イチ文2」(参照)に参加している。これが最初。2017年6月。

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2015年9月26日 (土)

高田大介「図書館の魔女(上)(下)」

 おもしろかった。上下2巻本の長編ファンタジーで読書の苦手な私に読めるだろうかと思っていたが、途中からどんどんおもしろくなって読み気ってしまった。楽しめたのはキャラが好みだったからだろう。主人公の図書館の魔女マツリカは典型的な内向思考型で、既存キャラで言えば「ゴシック」(2003)のビクトリカや「神様のメモ帳」(2007)のアリスあたりか。アニメ化してほしい。2010年講談社メフィスト賞受賞、2013年刊行。


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2015年1月 4日 (日)

杉井光「神様のメモ帳」(1)-(9)

 これも私好みの話だった。状況が変わることによって凡才が天才に変る物語だ。アニメで興味をもって原作を読んでみたらもっとおもしろかった。舞台の池袋かいわいの日常風景が秀逸だ。アニメでもそうだが、背景がしっかりしているほうが私は好きだ。9巻もあるがすぐ読み切ってしまった。続刊を希望するが無理だろうから1巻から読み直している。


 

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