建築探偵の写真帳

2025年1月16日 (木)

三菱UFJ銀行京都支店(1925)

桜井小太郎設計で1925年(大正14)竣工。いまは外壁の一部が遺されている。

ギリシャローマ式列柱の控えめな扱いが奥ゆかしい。京都に合わせて桜井がデザインした結果だろう。その小振りな列柱がライトアップされて美しい。

正面アーチ裏に内装の一部も保存されている。私は中へ入ったことが無かったが、残された部材を見ると内装もすごかったことが想像できる。

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2025.01.12、京都市下京区

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2025年1月15日 (水)

網干の洋館

網干にはいくつか洋館があることが分かった。これはそのひとつ。縦長の窓に統一したデザインがおもしろい。軒下の壁をざらりとしたドイツ壁のように仕上げている。その下の石貼り風の仕上げもすべて左官仕事だ。ここにも播州左官の良い仕事が遺っているわけだ。元病院だったように見える。近代化遺産リスト未掲載につき詳細不詳。

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2024.12.09、兵庫県姫路市網干

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2025年1月14日 (火)

網干商工会館(1940)

玄関ポーチ柱のモザイクタイルがなかなか良い。玄関ポーチ上丸窓を配している。端正な木造モダニズムだ。はびこったツタをはがして修理してやりたい。近代化遺産リスト未収録。姫路フィルムコミッションのHPによれば昭和15年(1940)竣工。

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2024.12.09、兵庫県姫路市網干

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2025年1月13日 (月)

本と酒の「鍛治六」

地下バーのあるシェア型書店だそうだ。まだ中に入ったことはないが、HPによれば内装も古いままらしい。今度行ったら寄ってみる。隣りの電器店カナイと一棟の建物に見える。トタンが貼られた妻側に、カナイ側と似た飾り壁の跡がある。いったいどうなっていたのだろう。

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2024.12.09、兵庫県姫路市網干

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2025年1月12日 (日)

株式会社カナイ

旧網干銀行のすぐ横にある。見事な左官仕事がほとんど壊れずによく残っている。頂部にSにKのマークがついている。当初の店名を示すのだろう。近代化遺産リスト未掲載につき詳細不詳。

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2024.12.09、兵庫県姫路市網干

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2025年1月11日 (土)

旧網干銀行 湊倶楽部(8)

レンガ壁の所々に木片がはめ込んでいる。これは木(もく)レンガと呼ばれるもので、釘留めをするための下地材だ。ここでは腰壁の上の見切り棒を釘留めしている。

そこから上は塗り壁だが、黄色い下塗り材に繊維材を混ぜている。土壁材だと思う。伝統的な左官技術によって、この西洋館が作られているのだ。

播州は左官技術の高い地域として知られる。姫路城の修理のために全国から若い左官技術者が集まってくるのだ。この建物は外壁側の内装もいたるところに左官さんの仕事が多く遺る。いかにも播州らしい建築だとわたしは思う。

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2024.12.09、兵庫県姫路市

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2025年1月 5日 (日)

旧網干銀行 湊倶楽部(7)

奥の小部屋を見せていただいた。ここは漆喰をはがしたままでお使いになっている。真っさらに修理するより古い感じが出て雰囲気がよい。わたし的には通常なら見えない下地のようすが分かるのでうれしい。

外壁側はレンガ積みに直接仕上げ材を塗っている。レンガに残った塗り材が白いので、仕上げ材は漆喰ではなかろうか。間仕切壁はバラ板と呼ばれる巾の細い板を隙間をあけて張って下地(木摺り下地という)としている。仕上げ材が絡みつきやすいように隙間を開けるのだ。

天井の飾りも遺っている。繊細な左官仕事がすばらしい。円形模様の4ヶ所にシュークリームのような飾りがついている。これはバラのツボミをモチーフとしたものだ。バラ模様は19世紀末のウイーン分離派がよく使った模様のひとつである。この建物がウイーン分離派風と言われる理由のひとつがここにある

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2024.12.09、兵庫県姫路市

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2025年1月 4日 (土)

旧網干銀行 湊倶楽部(6)

吹き抜けの営業室がほぼそのまま残っているのがすごい。戦後の改造で2階床を設けて吹き抜け部分が小さくなっていたようだ。改修時に2階床の一部を撤去して吹き抜けを広げている。吹き抜けに取り付けられたバルコニーが途中で途切れているのは、そこまで2階床があったことの名残りだろう。吹き抜けが広がったことで美しい天井の眺めがよくなり、気持ちのよいレストランとなった。

天井は格子状に区切られた飾り天井で、中央のシャンデリアの吊元を45度傾けた飾り貼りとしている。白漆喰で仕上げられている。いまもほとんど壊れていないのは左官仕事の精度が高いからだろう。あっさりとした幾何学的なデザインで様式建築にありがちな大仰なところがないのはこの建物の特徴だろう。

興味深いのは、外から見えた円筒形の塔が内部にはないことだ。外観上だけ塔状に見せているだけで、塔と内部との関わりは天井の角が丸いことくらいだ。ようするに円筒塔は看板建築風のフェイクなのだ。こうした遊び心もこの建物の魅力である。

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2024.12.09、兵庫県姫路市

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2025年1月 3日 (金)

祓禊(みそぎ)橋(1916)

清荒神への参道にかかる。コンクリートのアーチ橋。宝珠を載せた和風デザインがかっこよい。親橋には大正𫝀年十二月二十八日架橋とある。𫝀が読めなかったが五の異字だそうだ。

清荒神参道商店会のFB投稿記事によれば大正13年の水害で流出して現在の橋になったとある。したがって欄干部分は流出した旧橋のものを再利用したことになる。元は石橋だったのかもしれない。

清荒神は大正年間に整備されている。旧橋もその一環として架けられたのだと思う。

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2025.01.01、兵庫県宝塚市

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2025年1月 2日 (木)

旧網干銀行 湊倶楽部(5)



食事の後、館内をくまなく見学させていただいた。そのとき、ご案内いただいたマネジャーさんから、窓の上が斜めになっているのはなぜかとご質問をいただいた。そのときは外観をまだ観察していなかったので「斜め」の意味が分からなかったのでお答えできなかった。今ならそれなりに説明できる。

まず「斜め」とは図(イ)の場所だ。なぜここが斜めになっているのかというのは純粋にデザインの問題である。それを理解するためには、まずアーチの説明をせねばなるまい。

アーチは半円形であることで上からかかる重さに耐える構造である。これをレンガや石で作るためには、まずアーチ状の型枠を作る。そして起点となる左右の迫持ち石とアーチ頂部のキーストーンを型枠の上に設置する。そして、そのあいだを石やレンガでアーチ状に埋めていくのだ。

設計者はキーストーンの形を上方に引き伸ばして窓上の装飾とした。左右の斜め線はアーチ構造の名残りだろうと思う。アーチのフェイスですよ、と設計者は言いたかったのだろう。結構、律儀な設計者である。#近代建築

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2024.12.09、兵庫県姫路市

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