〈 越前を行く-16 〉中村家住宅の本座敷
次の間から本座敷を望む。明るく清潔感のあるお座敷で気持ちがよい。襖絵がやランマの組子細工が美しい。青い土壁は聚楽塗りだろう。きれいに修復されている。
正面の床の間の位置が逆である。通常は庭のある左側が床の間で右側が違い棚になる。それが逆なのは座敷の右となりに廊下をはさんで隠居所があり、そこはもとは金沢藩主の前田候の休憩所だったので、そちら側を上手としたからだと説明があった。床の間に光を入れるために廊下に煙突のような光井戸を設けている。
わたしはその説明には無理があると思う。この床の間が作られたころは休憩所はなく庭だったのではないか。その後の休憩所が設けられて床の間が暗くなったので、仕方なく光井戸を設けたのだろう。
そもそもこの座敷を含む母屋は明治20年に建て替えられたのだから、前田候の御座所は元のままではない。ただし、本陣であったことは中村家の誇りなので、床の間まわりは古いものを再利用したのだと思う。
休憩所と言われる部分(休足の間、隠居の間)がいつの時代のものか分からないが、設置されている風呂桶が明治以降に普及する「改良箱風呂」なので、明治20年の建て替え時に作られたものだと思う。その時点で床の間が暗くなり光井戸を設けたのだろう。
風呂場はあまり使った跡がないので、明治になっても中村家は前田侯爵家の御座所だったのかもしれない。

2025.07.07、福井県南越前町
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