2025年9月16日 (火)

〈 越前を行く〉越前古窯博物館

旧水野九右衛門(くえもん)邸を移築したもの。移築が丁寧でとてもよい。軸組は能登半島の枠の内づくりと同じだ。耐震構造である枠の内づくりは少なくとも福井県まで届いている。

正面の小窓のあいだの柱の上に小さな斗(ます)が載っている。斗と柱の木目が通っているので、柱の先を斗の形に削り出したのだろう。斗が支えるのは仏堂建築で用いられる虹梁(こうりょう)だ。梁の両端の流れるような模様が美しい。それが懸魚(けぎょ)の波模様と響きあって見事だ。ちなみに裏側には懸魚も虹梁もなかった。

虹梁の中央を斗で受けるのはイレギュラーである。この建物には天保年間の墨書があったそうなので、江戸中期の建築なのだろう。しかし虹梁を斗で受ける正面デザインは様式から自由になった明治以降のものだと思う。そのころに屋敷正面を虹梁や懸魚で飾りたくなるような慶事が水野家にあったのだろう。

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2025.07.06、福井県越前町

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