大仏様を見た(5)
長くなったのでこれで最後にしたい。
大仏様の念の入っているところは、角に45度斜めの貫が入っているところだ。斜めにかかる様子が美しい。図のように建物が平面的に変形したとき、斜めの材は引っ張り力を発揮して変形を抑える働きがある。このことによって大仏様はさらに強くなる。これが大仏様のふたつめの特徴だろう。
2025.03.11、奈良市
もうひとつの特徴は、引っ張り力を利用すれば大きなアーチを作ることができることだ。南大門は両端に庇がある。それがヤジロベイのように左右から引っ張りあって釣り合っている。それは南北方向だけではなく東西方向でも同じだ。だから軒の出は四周同じなのだ。そうやって屋根の重さで釣り合っているのが大仏様なのだ。
そのつり合いを応用すれば大きなアーチが作ることができる。レンガや石のアーチだと上からの重さでアーチが締まって強固になるが、引っ張りあっていても同じことができるわけだ。こういう発想はなかった。ほんと頭がよいと思う。
ということを踏まえて現代式大仏様を考えてみた。
1 引っ張り力を発揮する挿し鴨居で固める
2 建物の角は斜めの材で補強する
3 小屋組み(屋根の骨組み)にも引っ張り力を利かせる
次にわたしに設計依頼する者は、大仏様の優位性について説かれることになるであろう。ではまた。
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