大仏様を見た(3)
大仏様は「貫(ぬき)で挿(さ)し固める」構造だと習った。その意味が少し分かった気がする。貫とは柱同士をつなぐ水平材のことだ。南大門は6本の貫で挿し固められている。重要なのは柱と貫のつなぎ目である。
Aは内側の貫が外へ飛び出している。この貫は1本の材ではなかろう。〇印で継いでいると思われる。したがって貫は4つの部材を継いだものでだろう。実際にどのように継いでいるのか知らないが、おそらく車知栓(しゃちせん)留めのようなつなぎ方だと思う。この継ぎ方だと貫は柱と一体化して決して抜けない。風や地震で建物が揺れたとき建物は変形するが、貫が引っ張られて変形を抑える。引っ張りによって構造体の変形を防ぐ。これが大仏様の構造的な特徴のひとつである。
大仏様は庇が深い。これは軒下の三角形の組み物が支えているのだと思う。瓦が載って軒が下がると三角形の組み物が締まって堅くなる。瓦の重さで組み物を固めるのが大仏様の構造特徴のふたつめであろう。
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