2025年3月11日 (火)

永井神社の動物彫刻(1848)

1枚目は拝殿の唐破風彫刻。破風板には鳳凰飾り、その下には唐獅子2頭が遊ぶ。右側で追っかけているのが陽気、左側で振り向きながら逃げているのが陰気を表す。陰陽(おんよう)そろってめでたいわけだ。

2枚目は本殿覆屋の破風飾り。霊亀(れいき)、つまりカメである。これも追っかけと振り向きになっている。波間で遊ぶようすが楽しそうだ。珍しいのは破風板に波乗りウサギがいること(3,4枚目)。破風板は金物で飾ることはあるが木彫を張るのは珍しい。

カメとウサギでセットになっているのかも知れない。この昔話はイソップ童話だが、江戸時代には日本語に翻訳されていたそうだ。双方、波が描かれているので防火の護りとしたと考えるのも間違いではなかろう。でもこの彫刻のもっとも重要な目的は子安(こやす)であろう。

子安とは妊娠と安産、順調な子育てを願うことだ。カメは水気の生き物なので木気を育む。木気は妊娠出産を象徴するので、水気を供えることで妊娠出産を願うかたちとなる。ウサギは東方の守護である。当方は木気の世界だ。これも子安を願うのにふさわしい。つまり永井神社は藩祖を祀ることで永井家の子孫繁栄を祈ったことが分かる。

ちなみに唐獅子は金気の王であるから武家を象徴するにふさわしい。正面ランマは社殿のテーマを示すものだから、この唐獅子は永井直清を表すのだろう。破風飾りの鳳凰は王の誕生をことほぐ神使いである。長清をことほぐだけでなく、次世代の新王誕生をも予祝(よしゅく、あらかじめ祝うこと)しているように見える。

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2025.03.11、大阪府高槻市

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