2025年3月15日 (土)

大仏様を見た(4)

大仏様の貫(ぬき)の働きについて書いてきたが、深い軒も貫を強化するのに役立っている。つまり、瓦が載って軒が下がると挿し肘木(さしひじき)は柱から抜けようとするだろう。しかし車知栓が利いて抜けはしない。逆に貫にテンション(引っ張り力)がかかって骨組み全体が締まるのである。よくできていると思う。

1.瓦が載って軒先が少し下がる
2.挿し肘木の上側が伸びる(引っ張られる)
3.挿し肘木が柱から抜けようとするが車知栓で留められているので抜けない
4.おそらく柱は外側へ倒れようとするのだろう。実際に少し傾くのかもしれない。
5.貫は挿し肘木に引っ張られて伸びようとする(引っ張り力が加わる)。
6.貫に引っ張り力が加わることで、貫の緩みやガタツキがなくなる。
7.6本の貫のうち5本までが瓦の重さの影響を受けて伸びきる。

結果的に建物をロープで縛ったような状態となり建物が安定する。風や地震などで建物が揺れたとしても貫が張り詰めているので大きく変形しない。これが大仏様が構造的に強い理由だと思う。

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2025.03.11、奈良市

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