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2025年2月

2025年2月27日 (木)

アンティークハウス(8)ジョネス式書斎

サンテラスの反対側はジョネス窓のある書斎である。この窓がけっこう大きい。この窓の高さを基準として1階の高さは決めている。だから天井高さは3メートル弱ある。ただし天井が高いという印象は受けない。ちょうどよいのである。このくらいの高さがあれば、吊り照明も取り付けやすい。

籐の椅子は施主さんの家にあったもの。ジョネス窓とよい感じに馴染んでいる。カーテンレールはお借りしたヴォーリズ建築からのレスキューもの。真ちゅうパイプが2本並んでいる。端部の飾りが愛らしい。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 

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2025年2月26日 (水)

天理市役所は鳥のかたちか?

天理市役所の南側玄関前に彫刻家・金谷哲郎の「Bird」(1984)という彫刻があった。いままで市役所のかたちが何なのか分からなかったが、これは鳥の形なのではないか。それを示すために玄関前に鳥の彫刻を置いたのではないか。

そういえばスペースシャトルに似ていると思っていた。鳥の飛翔感が屋根のかたちに表れているせいだろう。市役所の東南隅に噴水があるが、その吐水口も鳥に見える。これも傍証となろう。

では、なぜ鳥なのか。もっとも適切だと思うのは石上(いそのかみ)神宮の存在だろう。ここにはフツノミタマの大神が祀られている。フツノミタマは古事記に出てくる剣の名前だ。すなわち金気の神である。石の上という社名の石も金気を示す。上は神の言い換えだろう。

一方、十二支の酉(とり)も金気の方角だ。鳥は金気を表す。しかも、市役所の屋根も酉の方角である西を向いているではないか。

天理市役所は石上神宮にちなんで鳥のかたちに調えられたのだろう。ただし政教分離の原則から神宮にちなんだとは公式には言えない。だから、せめて金谷氏の彫刻を据えて謎解きのしるべとしたのではないか。

国交省近畿整備局基本設計、東畑建築設計事務所実施設計、村本建設施工、1984年竣工。

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2025.02.23、奈良県天理市

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天理市役所は鳥のかたちか?

天理市役所の南側玄関前に彫刻家・金谷哲郎の「Bird」(1984)という彫刻があった。いままで市役所のかたちが何なのか分からなかったが、これは鳥の形なのではないか。それを示すために玄関前に鳥の彫刻を置いたのではないか。

そういえばスペースシャトルに似ていると思っていた。鳥の飛翔感が屋根のかたちに表れているせいだろう。市役所の東南隅に噴水があるが、その吐水口も鳥に見える。これも傍証となろう。

では、なぜ鳥なのか。もっとも適切だと思うのは石上(いそのかみ)神宮の存在だろう。ここにはフツノミタマの大神が祀られている。フツノミタマは古事記に出てくる剣の名前だ。すなわち金気の神である。石の上という社名の石も金気を示す。上は神の言い換えだろう。

一方、十二支の酉(とり)も金気の方角だ。鳥は金気を表す。しかも、市役所の屋根も酉の方角である西を向いているではないか。

天理市役所は石上神宮にちなんで鳥のかたちに調えられたのだろう。ただし政教分離の原則から神宮にちなんだとは公式には言えない。だから、せめて金谷氏の彫刻を据えて謎解きのしるべとしたのではないか。

国交省近畿整備局基本設計、東畑建築設計事務所実施設計、村本建設施工、1984年竣工。

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2025.02.23、奈良県天理市

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2025年2月25日 (火)

アンティークハウス(7)サンルームと坪庭

1枚目の写真は、1階居間からサンルーム側を見通したところ。天井に梁を見せているのでリズム感がある。真壁づくりで天井に梁を表すと電気配線ができない。ここは電気屋さんが苦労して配線を通してくださった。

2枚目はサンルームの窓。2枚の開き戸は片方ずつ別のところにあったものなので寸法が違う。三宅家具店さんがうまく調整してくださった。左右の縦長窓も借りたもので、もとは洋館のランマ窓だったものをたて使いにした。ドア上のランマ窓だけ新調した引き違い窓だ。

こうしていくつかの建具を組み合わせたおかげで光がたっぷり入ってくる。部屋を直列にすると中央が薄暗くなりがちだが、それを明るいサンルームが補ってくれた。

吊り照明はガラス棒をランプシェードに使ったアンティークもの。ガラス棒の影が天井や壁に放射状に映り込んでとてもきれいだ。これは猪原さんが調整してくださったもの。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
(3枚目だけコントラストを調整しました)
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2024.10.26撮影 

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2025年2月24日 (月)

ふわふわコフン(天理駅前広場コフフン)

天理駅前には古墳をイメージした円錐形の造形物が並んでいる。あるものはこどもたちの遊び場に、あるものは天理大の学生たちの運営するカフェになっている。いつも楽しそうな場所だ。ふわふわコフンは圧搾空気をを送り込んだゴム製の山でトランポリンのように遊べる。これはおもしろすぎる。佐藤オオキ(nendo)設計、2017年竣工。

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2025.02.23、奈良県天理市

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2025年2月21日 (金)

アンティークハウス(6)4部屋直列型レイアウト

1階は書斎、リビング、食堂、サンテラスと直列させた。ひとつながりに見通せるので広く感じる。柱梁の塗装はお施主さんによる自家施工だ。塗料はドイツの自然系塗料メーカー「オスモ」から選んでいる。

窓と室内建具はお施主さんが買いためていたものと、今回お借りしたものが混じっている。いずれも三宅家具店さんに調整していただいた。家具類は元からお使いのものがほとんどだった。それが新築住宅とよく馴染んでいる。

もともとお施主さんはアンティークがことのほかお好きで、古いものをうまく取り入れた生活をなさっていた。だから新築しても戦前から遺る洋館のような暮らしの風景が実現したのだと思う。

※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 

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2025年2月20日 (木)

紫明会館その2

玄関風よけ室の天井は黒い小梁を見せてスパニッシュ風に仕上げている。床は大判の布目タイルがめずらしい。ろうそくのような3連窓がかっこよい。内側のドア上にはステンドグラスの飾りらんまがある。シンプルな柄だが黄色い星がとてもよい。

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2025.02.18、京都市北区

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2025年2月19日 (水)

紫明会館(1932)

紫明会館の西面。とぼけた良い顔をしている。ドイツ壁風のやわらかい質感が優しさをかもしている。ポンプを使った吹付仕上げだろうか。それとも手仕事(ササラ撥ね付け仕上げ)だろうか。今度行ったらよく見てくる。「京都の近代化遺産」に設計施工清水組、工事監督十河安雄とある。

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2025.02.18、京都市北区

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2025年2月18日 (火)

アンティークハウス(5)2階ホール

ジョネス階段を上がると2階ホールに至る。大きなアーチ扉のなかは本棚となっている。この扉は施主がアンティークショップで見つけたもので由来ははっきりしない。海外のものだそうで、わたしにもそう見える。枠の一部が無かったので三宅家具店に補っていただいた。

天井から下がる大きな照明器具もアンティークだ。これは照明や家具の作家である猪原秀彦さんに修理してもらった。彼には鴨東教会の照明を考案製作していただくなどこれまでもお世話になっている。とても重い照明器具だったが、この吊り込みも猪原さんにしていただいた。ありがとうございました。
 
※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記します。
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2024.10.26撮影 
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2021.08.07、円満字撮影
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2021.09.16、円満字撮影

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2025年2月17日 (月)

旧美松劇場(1955)

2館並んでいる。最初からこうなのか、片方が増築なのかよく分からない。以前入ったことがあるが、天井の高いショップになっていた。ところどころ映画館だったころのなごりがあった。天井が高いのだから貸しホールのような使いかたができるのではないか。個人サイト「消えた映画館の記憶」https://hekikaicinema.memo.wiki/ によれば1955年竣工(このサイトはとてもていねいで参考になります)。

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2025.02.13、京都市中京区

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マンションのケヤキ

わたしの住むマンションのケヤキは高さが20メートルほどになる。このマンションが築49年だから、こいつも樹齢50年を超えよう。建材にするケヤキは毎年枝を払ってまっすぐ育てる。しかしそうしなければこのような扇を広げたような樹形になる。枝の先がふんわりと赤くかすんでいるのは、すでに芽がふくらんでいるからだ。落葉樹の春を待つ姿は美しい。

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2025.02.13、京都府

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2025年2月16日 (日)

旧八千代館(1928頃)

増築されているので分かりにくいが、元は左右対称の堂々たる姿だった。左右が全面に突き出し、その最上部に飾りがついている。アールデコというより分離派に見える。中もそのまま残っており、模様の入った鉄板の天井板は見もの。京都の近代化遺産リストには(#770)昭和3年頃とある。

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2025.02.13、京都市中京区

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2025年2月15日 (土)

京都コンサートホール(1995)

大きなナマズがふわふわとしたヒレをなびかせているようでかわいい。入り口がどこにあるのか分からないのはわざとだろうか。迷路のようなプランも謎めいて楽しい。磯崎新設計。

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2025.02.14、京都市左京区

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2025年2月13日 (木)

西院市街地住宅(1969)

西院団地と呼ばれるURの賃貸マンション。窓下に小さな庇が付いている。その庇に格子のはまったU字型の何かがある。これは何だろう。このU字が壁面構成の単調さを破ってリズム感を出しているのがおもしろい。このころの市街地住宅にはバルコニーが無いものが多いがどんな間取りなのだろうか。不動産情報によれば1969年竣工。

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2025.01.23、京都市右京区

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2025年2月12日 (水)

京福電鉄西院車庫

車窓からなので不明瞭だがレンガ壁がある。壁高さの半分までがレンガでその上が木造だ。変則的な作り方で、なぜこうなっているのか分からない。レンガ部分は開業当時の1910年代かも知れない。
 
木造部分は室戸台風(1934)以後の耐震木構造となっている。増築や改修が重なっていまの姿になっているのだろう。近くで詳しく見たいぞ。「京都の近代化遺産」産業遺産編リスト80には明治43年(1910)頃とある。

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2025.01.23、京都市中京区

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2025年2月11日 (火)

東九条の看板建築

窓上が角丸になっていて和風とも洋風ともつかない独特の雰囲気をもっていておもしろい。壁の角をコテ押さえで平滑にして柱風に見せ、そのほかはかき落としにしてコントラストを付けている。玄関上にコテで作った飾りがついている。なかなか左官ワザが利いている。「京都市の近代化遺産」リスト459。

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2025.01.30、京都市南区

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2025年2月10日 (月)

大石橋の小さいビル

大石橋交差点に面する。スクラッチタイルのいい感じの小さいビルだ。いまは政治家の事務所として使われている。外壁上部の左官仕事がとてもいい。

「京都市の近代化遺産リスト」の「467.山田くつや(大石橋交差点西北角)」がこれだろう。木造2階建てとあるが木造3階建てではないのか。

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2025.01.30、京都市南区大石橋交差点

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2025年2月 9日 (日)

豊地(とよち)のエノキ

兵庫県の三木市へアンティークハウスで使わなかった古建具を返しにいった。無事返し終えた帰り路、大きなエノキがあったので思わず撮った。根元にお地蔵さまが祀られている。このあたりの田園風景は気持ちがよい。藤原惺窩(せいか)の出生地とあった。藤原惺窩ってだれだっけ? 勉強せねばな。

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2025.02.07、兵庫県三木市細川町豊地

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2025年2月 7日 (金)

箕面スパガーデン(6)内部階段の手すり

内部階段の手すりも外部と同じデザインだった。架木(ほこぎ)があって受け枡(うけます)がある。

この階段はレジャーランド部門とホテル部門との隙間にある。いくつかの動線がふくざつにからみあっている。

もとは部門それぞれ別玄関だったようだ。それをある時期に統合したようで、かえって動線が混乱している。もとはもっとすっきりしていたようだ。

それとこの建物には随所に吹き抜けがあり、そこには必ずトップライトがあった。現在はほぼ全部それにフタをしている。

今は迷路のような複雑で暗い内部だが、元は明るく開放的な造りだったことが分かる。この階段にもどこからか光が差し込んでいたのだろうと思う。

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2025.01.25、大阪府箕面市

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2025年2月 6日 (木)

箕面スパガーデン(5)和風の手すり

和風の手すりがかっこいい。角でクロスする手すりを架木(ほこぎ)というそうだ。架木は丸棒だが、それを鉄パイプで表現している。

架木を斗束(とつか)という短い柱が支えている。斗束は十字断面の鉄骨だ。その短い柱の上に丸パイプを受ける部材が載っている。これは受枡(うけます)と呼ばれるもので架木とセットの伝統的な部材だ。これがないと丸棒の架木をしっかり留めることができない。

先に紹介したしとみ戸風の天井パネルもそうだが、伝統的なデザインを組み立て方から理解しなおしているところがおもしろい。さすが西澤文隆である。

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2025.01.25、大阪府箕面市

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2025年2月 5日 (水)

箕面スパガーデン(4)隣接する良さげな木造旅館

数寄屋造りのいい感じの木造旅館が隣接している。斜面を利用した3階建てに見える。スパガーデンより古いのではないか。元々この旅館があって、スパガーデン構想が生まれたのではなかろうか。きれいに整備されているのでいまも使われているように見える。この座敷で食事をしてみたい。

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2025.01.25、大阪府箕面市

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2025年2月 4日 (火)

箕面スパガーデン(3)しとみ戸風の天井

ホテルのトビーやレストランの天井はしとみ戸風の格子パネルだった。しとみ戸は跳ね上げ式の板戸で片側に蝶つがいがついている。それを跳ねあげたときに、戸をひっかける金具があるが、それもまねている。格子天井が広がるようすがかっこよい。格子パネルのあいだの隙間に照明器具を仕込むあたりもおもしろい。内装は失われがちだが、それをこうして遺しているのがすごい。

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2025.01.25、大阪府箕面市

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2025年2月 2日 (日)

京大人文研分館(1930)

まいまい京都のツアーで旧人文研に寄った。ものすごいよい天気で写真映えがハンパない。非公開なので中へは入ることができないが、外から眺めるだけでもしあわせな気分になる。

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2025.01.18、京都市

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2025年2月 1日 (土)

箕面スパガーデン(2)工事経路

こんな高さのところに、どうやって高層ホテルを建てたのか。搬入経路を考えてみた。ひとつは、ホテル裏の駐車場へ至る道路だ。観光バスが通れるからある程度の大型車両なら上がれるだろう。まず道を作って敷地を平たんに造成したのだろう。ミキサー車が上がれるとは思えないので、現場にコンクリート製造プラントを設置したのではないか。こうすればセメント、砂、砂利、鉄筋を運び入れれば建築できる。

有名な展望エレベータも搬入に使ったように思う。これは主に職人さんの出入り用だったかも知れない。タワークレーンも設置できるかもしれない。

そのほかの経路として謎の人道橋がある。今は使っていないようだが、これも工事の名残りかもしれない。その橋の下に今は使われていない道路があった。本当はこれが搬入経路かも知れないが、屈曲が大きいので大型車両の進入は難しいかも。いずれにしてもプロジェクトエックス的な工夫がこの現場にはあったと思う。

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2025.01.25、大阪府箕面市

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