五龍閣のディテール(1)吹き抜けギャラリー
中央の吹き抜けが圧巻だ。ここを見上げたり見下げたりしながら昇り降りするのが楽し過ぎる。
松風家は関西美術院のパトロンだったそうだ。吹き抜けは若手洋画家の作品を並べるためのギャラリーとして設計されたという。吹き抜けは2階までしかない。2階のバルコニーは3階へ上がる階段の手前で幅が狭くなっている。つまり2階の広幅のバルコニー部分と1階ホールとがギャラリーだったというわけだ。
興味深いのは、2階から3階へ至る階段の途中に踊場があって、そこから先の階段の幅がさらに狭くなっていることだ。その踊り場は、いまは上履きに履き替える場所となっている。案外その使い方が正しいのかも知れない。つまり3階は客室として設計されている可能性がある。
2階のバルコニーが狭くなる>3階へ上がる途中に踊場がある>そこから先の階段がさらに狭くなる。この3点の変化が吹き抜けの南東角に集中している。見上げたときに吹き抜けが複雑にみえるのはこのためだ。この複雑さが吹き抜けの魅力になっている。武田は機能的にバルコニーや階段の幅を決め、その変化を逆手にとってデザインしている。武田のおもしろいところがここにある。
2024.12.02、京都市東山区
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