2025年1月 2日 (木)

旧網干銀行 湊倶楽部(5)



食事の後、館内をくまなく見学させていただいた。そのとき、ご案内いただいたマネジャーさんから、窓の上が斜めになっているのはなぜかとご質問をいただいた。そのときは外観をまだ観察していなかったので「斜め」の意味が分からなかったのでお答えできなかった。今ならそれなりに説明できる。

まず「斜め」とは図(イ)の場所だ。なぜここが斜めになっているのかというのは純粋にデザインの問題である。それを理解するためには、まずアーチの説明をせねばなるまい。

アーチは半円形であることで上からかかる重さに耐える構造である。これをレンガや石で作るためには、まずアーチ状の型枠を作る。そして起点となる左右の迫持ち石とアーチ頂部のキーストーンを型枠の上に設置する。そして、そのあいだを石やレンガでアーチ状に埋めていくのだ。

設計者はキーストーンの形を上方に引き伸ばして窓上の装飾とした。左右の斜め線はアーチ構造の名残りだろうと思う。アーチのフェイスですよ、と設計者は言いたかったのだろう。結構、律儀な設計者である。#近代建築

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2024.12.09、兵庫県姫路市

250102

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