旧網干銀行 湊倶楽部(6)
吹き抜けの営業室がほぼそのまま残っているのがすごい。戦後の改造で2階床を設けて吹き抜け部分が小さくなっていたようだ。改修時に2階床の一部を撤去して吹き抜けを広げている。吹き抜けに取り付けられたバルコニーが途中で途切れているのは、そこまで2階床があったことの名残りだろう。吹き抜けが広がったことで美しい天井の眺めがよくなり、気持ちのよいレストランとなった。
天井は格子状に区切られた飾り天井で、中央のシャンデリアの吊元を45度傾けた飾り貼りとしている。白漆喰で仕上げられている。いまもほとんど壊れていないのは左官仕事の精度が高いからだろう。あっさりとした幾何学的なデザインで様式建築にありがちな大仰なところがないのはこの建物の特徴だろう。
興味深いのは、外から見えた円筒形の塔が内部にはないことだ。外観上だけ塔状に見せているだけで、塔と内部との関わりは天井の角が丸いことくらいだ。ようするに円筒塔は看板建築風のフェイクなのだ。こうした遊び心もこの建物の魅力である。
2024.12.09、兵庫県姫路市
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