旧網干銀行 湊倶楽部(2)
外観の特徴はふたつある。ひとつは角に玄関を設けたこと。もうひとつはリズミカルな外壁だ。
角に玄関を据えれば、左右の外壁を同時に臨むことができるので、建物を大きく見せることができる。この場合は玄関部分を円筒形の塔に仕上げている。そこへアーチ窓や半円形の櫛型ペディメントを配置している。
メディメントとはギリシャ神殿の屋根の三角形の壁のことだ。元来三角形だが、そこから派生してさまざまな形がある。半円形のものは窓の庇部分などによく使われる。ここでは窓のかわりに館銘板ははめられている。
ここで注意しておきたいのは、曲面の壁に曲線のアーチ窓や櫛型ペディメントを貼り付けるのはとても難しいということだ。遠目に見てもアーチ窓は半円に、櫛型メディメントは円弧状に見える。しかし実際には壁面が曲がっているので、アーチもペディメントも三次元曲線なのだ。どちらも左官さんの仕事のようだが、これを自然に見えるように作ることは超絶難しい。
アーチ窓の下にふたつの窓がある。これもすごい。壁面の合わせて建具が円弧状に曲がっているのだ。上げ下げ窓だが、曲がっている建具が上がり下がりできるのだろうか。この建物は建具精度はものすごくよい。これも見どころのひとつである。
2024.12.09、兵庫県姫路市
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