アンティークハウス(2)ジョネス窓の貸与
設計の途中で1階窓にちょうどよいのがあると、お施主さんが見つけてきた。「旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会」が保存していたジョネス邸(1919)の窓である。ジョネス邸は神戸市垂水区塩屋の海岸沿いに並んでいた洋館のひとつで、不思議な和洋折衷が魅力的だった。わたしも保存運動のことは聞いてはいたが、なにもお手伝いできずにいた。2013年解体。
引き継ぐ会はレスキューした部材を公共建築などに移植して保存することを決め、学校などに次々と移植していった。建具は引き継ぐ会から購入するのではなく貸与という形式をとっているのがおもしろい。売買することで途切れがちな糸を貸与契約で繋ぎ留めようとする試みだ。
引き継ぐ会は塩屋の旧グッゲンハイム邸に事務局を置いている。施主さんと一緒に塩屋に何度か訪れて、洋館を新築したいことをお話しした。そして許可をいただいてジョネス邸の窓と階段手摺などを借りることができた。ジョネス窓が手に入ったことで設計に弾みがついた。塩屋のみなさん、」ありがとうございます。
※ 写真は写真家・谷口菜穂子さんの作品です。そうでないものは特記いたします。
2024.10.26、1階正面に設置されたジョネス窓
2024.10.26、ジョネス窓内観、窓枠も遺されていた。
カーテンレールは室谷邸もの
2021.06.19、保管されていたジョネス窓(設計者撮影)
2021.11.24、ジョネス窓を含む建具表の一部
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