フィッシュダンスは誰が設計したのか
フィッシュダンスのなかへ入った。これは貴重な体験だろう。中から見て、どうやって作っているのかよく分かった。写真はコイの頭の下から尻尾のほうを撮ったもの。
構造的にはシンプルだ。鉄骨の塔のようなものが建っており、そこから二次部材が突き出されてコイのかたちを作っている。そこへ亜鉛メッキされた鉄網製のウロコをステンレス針金で取り付けていた。よく考えられていると思う。外装材の鉄網のウロコが1枚ずつ形が違うので、作るのはたいへんだったろう。亜鉛メッキが不十分なために海風の塩害によりサビ始めている。
さて、このフィッシュダンスは誰が設計したのか。公式にはフランク・ゲーリー設計、安藤忠雄監修、竹中工務店施工となっている。
フィッシュダンスという施設はカフェ、カフェの事務所、鯉のオブジェ、ダンススタジオの4つから成る。実見した印象では、鯉のオブジェと蛇のかたちの事務所のふたつはゲーリーの基本設計として良いと思う。
鯉のオブジェは、敷地周辺の鯉川の地名に紐づけられているが、2017年にゲーリーが設計したバルセロナオリンピックのモニュメント「フライングフィッシュ」の写しだ。
フライングフィッシュ
設計には2種類ある。全体の方向性を定める基本設計と見積もりのできる設計図を用意する実施設計のふたつだ。フィッシュダンスの実施設計は安藤忠雄さんが担当したのだろう。ただそうすると安藤さんの作品になってしまうので「設計」ではなく「監修」としたのだと思う。
フィッシュダンスは世界的に有名な建築家であるゲーリーの作品として神戸に誕生した。それを誘致したのは安藤忠雄だ。安藤さんは日本の建築を元気づけるために、交友関係をフル活用して海外の有名作家の作品を日本に誘致しようとしている。その一環としてゲーリーの作品が神戸にあるというわけだ。
したがってわたしは、フランク・ゲーリー基本設計、安藤忠雄建築研究所設計、竹中工務店施工で良いと思う。
2024.11.24、神戸市中央区
| 固定リンク
「建築探偵の写真帳」カテゴリの記事
- 森田慶一の作品を発見した(2019.02.04)
- 丸五薬品(宇治市)(2019.01.30)
- 会員制ホテルのデザインがおもしろい(2018.12.28)
- ハンズのパンチングメタルは夜がいい(2018.12.27)
- 大阪駅の溶接がすごい(2018.12.23)
コメント