裏千家住宅(4)なぜ咄咄斎は8畳敷きなのか
茶室・咄咄斎は利休を祀る御祖堂と隣り合わせだ。ここでお茶を点てれば利休に供えることになるという。玄々斎は最初から利休への献茶場としてこの茶室を編んだのだろう。
炉の前には大きな下地窓があって御祖堂とつながっている。常からは障子が立てられていて隣室が見えるわけではない。しかし、なんらかの行事の際には障子が外されて御祖堂とつながるのではないか。たとえば年始のお茶は最初に御祖堂に祀る利休に奉じるという。そうしたときには障子は外されるのかもしれない。
茶は火気である。茶を喫することで土気である人体が強められる。これが喫茶養生の大前提となる。
松は土気である。木偏に公と書く字のほかに木偏に白と書く文字がある。この白は六白土星に通じるので土気だというわけだ。土気の作用を土用という。土用によって土気以外の4つの気は活性化する。さて咄咄斎に満ちる土気はなにを活性化させようというのか。
咄咄斎の松は五葉松であった。葉が5つに分かれる松である。5は土気を象徴する数字だ。その松の床柱には3つの節があり、それを堂々と茶席に向けている。デザイン的に考えれば節のようなものを正面に向けないだろう。やはりこの松はご神木として立てられているように見える。3は木気を示す数字だ。このご神木は土気であると同時に木気でもあるのだろう。
木気の3は土用の5によって活性化した木気となる。活性化した木気を示す数字は8である。咄咄斎が8畳敷きなのは偶然ではない。
活性化した木気にはどのような働きがあるのか。
活性化した木気は火気を生むのである。その火気もまた茶室に満ちる土用によって活性化して土気である人体を強める。その人体とは御祖堂に祀られる利休であろう。利休は今も生きた人体として祀られているように見える。祀られた利休が活性化することによって裏千家の繁栄が約束されるという考え方なのだろう。先祖崇拝の茶による形式化が玄々斎によって行われたように私には見える。
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