2023年10月20日 (金)

諏訪立川流研究(4)

大隅流の春宮のほうが全体的に過剰である。これが本来の形式だったのだろう。それは2階バルコニー下の装飾を比べるとよく分かる。春宮のほうが立体的で陰影が濃く、装飾が柱梁の枠組みからあふれ出している。この過剰さは桃山時代以来の伝統といえよう。

立川流の秋宮は個々の彫刻の輪郭がゆらいでいるところに特徴がある。獅子やバク鼻のラインが柔らかく波打つことで大隅流よりも流麗な印象を受ける。桃山時代の力強さから江戸後期の優美さへの変化が起きているのかもしれない。

この目新しさがうけたようで諏訪立川流はまたたくまに全国に普及したという。大隅流は幕府作事方の平内正信(へいのうち、1583-1645)が初代。江戸の立川(たてかわ)流は立川小兵衛富房(こひょうえ、初代立川和四郎の師匠)が初代。

Img_7435秋宮(立川流)
Img_74562春宮(大隅流)
Img_7437秋宮(立川流)
Img_74592春宮(大隅流)
2023.08.29、長野県下諏訪町

 

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