雷雨の修学院離宮を参観した(3)
窮邃亭(きゅうすいてい)は島の頂上にある。小高いので全体が見渡せる。窮邃亭は四方が開け放しにできる開放的な作りだった。ここは茶室ではなく茶屋(休憩所)だ。この風通しのよい茶屋でお弁当を広げるのだろう。修学院離宮庭園は大勢を招いて催す大茶会の会場というよりも、わずかな親しいものたちだけでピクニックを楽しむような私的な庭園に見える。
後水尾天皇のお書きになった扁額が残っていた。八角形をふたつ並べて、その交わったところに結び目を描いている。これは陰陽図だろう。八角形をふたつ並べてできた12ヶ所の角に十二支を引きあてる。陽気側である左側に6つ、陰気側である右側に6つだ。そう考えれば、ふたつの八角形に配置された窮邃の文字はそれぞれ陽気と陰気を示すはずだ。
窮はきまわる、邃は奥深いという意味だ。窮は空高く極まった天を指し、邃は大地の奥深まった地を示すのだと思う。もちろん天は最大の陽気であり、地は最大の陰気である。陽気側に陰気である邃を、陰気側に陽気である窮を置く。窮は陽気側へ、邃は陰気側へ戻ろうとするので陰陽は真ん中で入り混じる。陰陽和合の呪術であろう。
2023.08.24、京都市、修学院離宮庭園
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