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2023年8月

2023年8月27日 (日)

雷雨の修学院離宮を参観した(2)

隣雲亭の開け放した軒先が見たかった。雷雨のなかにいると名前のとおり雲の隣りのように感じる。軒桁はまっすぐな丸太で柱も丸太だった。古びた丸太であるゆえに、肩肘張らない自然で優しい回廊となっていた。

雨に煙る浴龍池が見下ろせた。まさに龍が水浴びをしているように見える。隣雲亭から池までの斜面に大きな樹木はなく大刈込としているので景色がよく見える。この庭園は今まで見た庭園とはまったく似ていない。見通しを大事にする英国風景式庭園が近いと思う。

一二三(ひふみ)石のオリジナルも見た。赤と黒なのがおもしろい。赤は鞍馬石だという。これはチャートだろう。赤と黒は五行説でいうところの陽気と陰気を示す。

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2023.08.24、京都市、修学院離宮、隣雲亭

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2023年8月26日 (土)

雷雨の修学院離宮を参観した(1)

中離宮の門を出たとき大風が吹き、次に森の木立の騒ぐ音が聞こえてから大粒いの雨が降り始めた。上離宮の隣雲亭までの400メートルほどの登り道を逃げるようにして進んだ。風が強くて傘が役に立たない。15分ほどのあいだにズブ濡れになった。隣雲亭で一息ついていると眼前で稲妻が踊っていた。雷雨の修学院離宮という得難い体験をしておもしろかった。

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2023.08.24、京都市、修学院離宮、隣雲亭

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2023年8月25日 (金)

旧平賀邸のディテール(3)

造り付け家具や暖炉まわりなどに寄木作りが使われていた。花輪をくわえた小鳥の図はよくできている。これを見ただけでも来たかいがあるというものだ。

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2023.07.30、兵庫県、川西市郷土館

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2023年8月24日 (木)

旧平賀邸のディテール(2)

ステンドグラスがいくつかある。ランマのものはチューリップだろうか。なかなか愛らしい。おもしろいのは四隅にカットガラスを入れていること。近づいていくと光線の具合が変化してカットガラスがきらめく。

ガラス戸の型ガラスもきれいだ。表面が割り肌のテクスチャーで、しっとり濡れたように光る。

造り付け家具にステンドグラスが使われていた。家具にステンドグラスを使うというのは無いことはないが珍しい。これは中から光ったりするわけではなかろう。

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2023.07.30、兵庫県、川西市郷土館

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2023年8月23日 (水)

旧平賀邸のディテール(1)

大きな屋根をかけるのは私の理想の建築だ。屋根の下がり棟は銅板で巻くのが定石だが、ここでは瓦で押さえているのが珍しい。竣工時から瓦だったのかどうかは分からない。控えめな玄関、出窓のついた応接間、暖炉煙突、屋根窓など華やかだ。こういう建物を設計したい。

平賀義美(化学者)邸として1918年竣工。松本兎象設計(大林組)、鴻池組施工。1990年移築。平賀は明治初期の科学者で英国留学をしたのでイギリスの田園都市風の自宅を作ったという。明治中期に多さkあ商品陳列所所長となり、大阪の工業の近代化に尽力した。

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2023.07.30、兵庫県、川西市郷土館

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2023年8月22日 (火)

京都市役所で波型の天井飾りを見つけた

以前中庭への車の出入り口だったところの廊下の天井に他とは違うタイプの照明が下がっている。天井には波型模様の縁飾りがある。白く塗られた天井模様が淡い外光を受けて浮かび上がりとてもきれいだ。照明器具は八角形の吊り灯籠のような形で、それを天井から吊り下げた8本の棒に球形の結び目があってかわいい。

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2023.08.04、京都市役所

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2023年8月21日 (月)

松尾ビルの豊かな内部装飾が見たい

小橋屋呉服店神戸支店として1925年に竣工。竹中工務店設計施工。呉服店とあるが百貨店だ。文化財オンラインには、内部に「柱頭飾、梁や廻縁の蛇腹引など、 豊かな装飾をもつ」とある。1階は新設された天井で隠されてしまったようだ。2階以上は間仕切壁で分割してテナント貸しをしているらしい。ひょっとすると2階以上なら「豊かな装飾」を見ることができるのかもしれない。

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2023.08.10、神戸市中央区元町通り

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2023年8月20日 (日)

河南工藝社のリニューアルについて

2021年に河南工藝社がテナントビルに再生された。まだ見ていなかったので行ってきた。残念ながら正面デザインが変わっていた。大切に遺してきた建物の古さを活かして再生しようとするとき、よっぽどの理由がない限り正面デザインを変えてはいけない。正面を変えてしまうと別人になったように見える。惜しい。

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2023.08.10神戸市
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2011.08.11、改修前

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2023年8月19日 (土)

阪急三宮駅の外壁が透き通ってとてもよい

阿部美樹志設計の大鉄骨アーチの美しさはかねてから知られている。実は側面の扁平アーチ型トラス梁もとてもよい。以前は吊り広告があってよく見えなかったが、先日行ったら南側は広告がはずされて、透明感のある外壁に作り替えられていた。扁平アーチがはっきりと見え、大アーチとあいまって鉄骨駅舎の美しさがいや増しである。北側も同じようにしてほしいです。

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2023.08.10、神戸市

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2023年8月18日 (金)

神戸の高架下商店街は戦災復興住宅ではなかろうか

木造に見えるが、戦後復興期の軽量鉄骨の遺構かもしれない。JRの高架下は三宮駅から神戸駅までの1.8キロほどが商店街となっている。三宮駅から元町駅まではピアザ神戸(三宮高架商店街)、元町駅から神戸駅まではモトコー(元町高架通商店街)と呼び名は変わるが、ほとんど同じ形の長屋が続く。歴史的には闇市がらみらしいが、建物を見る限り計画的なものに見える。JRと神戸市共同の戦災復興住宅ではないか。

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2023.08.10、神戸元町

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2023年8月17日 (木)

池田で酒蔵アパートを見つけた

未確認ではあるが、このアパートは元酒蔵だろう。池田は今でこそ酒造家は2軒だが戦前にはもっとあったようだ。町を歩いているとまだ残っている酒蔵を見つけることができる。酒蔵をたどることで町の構造が見えてくるように思う。元酒蔵はたいがい細い道に面しており、どうやって出荷したのか興味深い。運河があったのではないかとも思うがそれも未確認である。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月16日 (水)

小林一三記念館のディテール(9)

コンクリート土間にモルタルを敷いて黒石を「ひふみ(一二三)」に散らしている。修学院離宮のまねっこだね。石を散らしただけなのだが、動きがあって特別な場所へ通じる廊下のようなおもむきがある。ちなみに「ひふみ」は一つのカオスが陽気と陰気に分裂した宇宙の誕生を象徴している。2は陰気を示し、3は陽気を示す数字だからだ。

HPによれば岡田孝男の監修した茶室「人我亭(にんがてい)」の土間で昭和39年竣工だそうだ。わたしはよく知らないが岡田は茶室研究で名高い建築家だそうだ。今年は茶室の勉強をすると言いながら全然できていない。精進せねばな。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月15日 (火)

小林一三記念館のディテール(8)

旧小林邸の3つの茶室が公開されていた。「即庵」は土間から庭の緑が見渡せて気持ちがよい。外がよく見える茶室もよいものだ。土間に反射した光線が天井をほのかに照らすようすも美しい。

土間にイスを並べている。イス座と畳座の双方でお茶をたしなむらしい。HPには「和洋が見事に融合した昭和の名席」とあるが、和洋融合ではなく立礼の一種だと思う。立礼とはイス式の茶室のことで、畳はなく土間が中心となる。ここの場合、三畳台目の畳座があるのが珍しい。これなら着物でも洋装でも気軽にお茶会を楽しめるだろう。小林一三らしい気遣いだと思う。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月14日 (月)

小林一三記念館のディテール(7)

和室の透かし彫り。後補かも知れないが、おもしろいデザインなので私もいつかやってみたい。模様は源氏香かと思ったがそうでもない。なにをかたどったのかとりあえず謎ということで。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月13日 (日)

小林一三記念館のディテール(6)

ピンクのバスタブが遺っていた。暖かい感じがとてもよい。洗面台も石鹸置きもシャワーのカランもピンクだった。洗面台のTOTOのマークが昭和3年から36年までのものなので、ピンクのバスセットは小林邸の竣工した昭和12年当時のものだろう。ワンセットで遺っているのは珍しいのではないか。

そもそもTOTOがバスタブを作っていたことを知らなかった。TOTOのHPによれば大型浴槽の製造は昭和3年からで新大阪ホテル(S10)、甲子園ホテル(S5)などへ納入したらしい。このピンクは赤藤色、薄赤藤色、薄紅藤色のいずれかであろう。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月12日 (土)

慶野松原の豆石を調べてみた

慶野松原で拾った石の種類を調べてみた。ほとんどがチャートだった。チャートとは放散虫という深海プランクトンの死骸が堆積して固まったものだそうだ。基本的には白いが、混じり込んだ不純物によって色の違いが出るらしい。深海3~4キロの深さでできる岩石で海洋プレートの表層を覆っている。けっこう深い海でできた地層が淡路島あたりで露呈している証拠なのだろう。

ちなみに慶野松原に続く五色浜は郷土記念物のため採取禁止だそうだ。

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2023.08.06、淡路島にて採取

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2023年8月10日 (木)

慶野松原の豆石

なぜ一所にかように多種の豆石が集まっているのか不思議だ。濡れると色目がはっきりしてきれいだ。

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2023.08.06、淡路島

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2023年8月 9日 (水)

5色の豆砂利

淡路島の慶野松原は五色浜とひと続きの砂浜で、波打ち際は5色の豆砂利で覆われていてとても美しい。


2023.08.06、淡路島、慶野松原

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2023年8月 8日 (火)

慶野松原

淡路島の慶野松原へ行ってきた。午前9時ごろの波のようす。夏休み中にもかかわらず人出が少なくてほぼ貸し切り状態だった。久しぶりに海へ行って気持ちがよかった。


2023.08.06、慶野松原(淡路島)

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2023年8月 5日 (土)

小林一三記念館のディテール(5)

飾り格子が窓の内側にある。こういう手もあったかと目からウロコだ。

外開き窓に防犯用格子を付ける場合、窓の開閉ができるくらいの大きさの鳥かごのような格子を外側へ取り付けることが多い。格子は外に付けるという固定概念があるからだ。その固定概念を軽々と飛び越えてなおシルエットが美しい。窓のレバーのところだけ手が入るように小窓を作っているのもおもしろい。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月 4日 (金)

小林一三記念館のディテール(4)

メインホールの壁が「ササラ撥ね付け仕上げ」だった。素材は着色した漆喰だと思うがプラスター(西洋漆喰)かも知れない。表面にしわがよったような模様ができて、その陰影が壁面を柔らかく見せている。大壁面でありながら圧迫感がなく落ち着いた雰囲気となっているのは、ひとえにこの仕上げのおかげだろう。

ちなみに「ササラ」とは竹の先を裂いてホウキ状にした道具のことだ。コテ台に載せた漆喰をササラで撥ねて壁面に飛び散らせる仕上げを撥ね付け仕上げという。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月 3日 (木)

小林一三記念館のディテール(3)

玄関ドアの小窓。角に四つ葉模様を配してゴシック風にまとめている。割り肌風の型ガラスが光をモザイク状に反射して幻想的だ。とてもよい。

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2023.07.30、大阪府池田市


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2023年8月 2日 (水)

小林一三記念館のディテール(2)

玄関ドア上に採光用のランマがある。ブロンズ製の飾り格子がゴシックの四つ葉模様(クワトル・フォイル)で見ごたえがある。

横に細長いランマは珍しいしかっこいい。こうすることで天井を照らすことができて明るい玄関となる。小林利助はうまいな。

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2023.07.30、大阪府池田市

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小林一三記念館のディテール(2)

玄関ドア上に採光用のランマがある。ブロンズ製の飾り格子がゴシックの四つ葉模様(クワトル・フォイル)で見ごたえがある。

横に細長いランマは珍しいしかっこいい。こうすることで天井を照らすことができて明るい玄関となる。小林利助はうまいな。

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2023.07.30、大阪府池田市

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2023年8月 1日 (火)

小林一三記念館のディテール

30年ぶりに訪れた。相当改造されてはいるが、諸所に竣工当時のオリジナルが残っていて見どころ満載だ。とくに玄関まわりが中世風でとてもよい。写真は玄関扉の装飾。金属の切り抜き細工でとても美しい。

阪急文化財団のHPによれば、竹中工務店の設計施工で1937年竣工、担当は小林利助だそうだ(よく知らない)。

※ 一部を除いて撮影可である。

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2023.07.30、大阪府池田市

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