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2023年3月

2023年3月31日 (金)

阪急中津駅高架橋(1926)

阪急中津駅あたりの高架橋には模様がついていておもしろい。橋をイメージしているのだろうけど、こうしたものを付けずにいられない人の心がおもしろい。

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2023.03.28、大阪市北区

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2023年3月30日 (木)

旧兵庫県庁舎の特別な柱

普通はこうしない。左右にイオニア式の付け柱を配置するのはよい。まんなかにもう1本追加したのがおもしろい。左右がテキスト通りの柱頭飾りなのに対して、中央はイオニア式を装飾分解した山口半六オリジナルだ。

よく見れば、まんなかの柱は下細りとなっている。様式からの完全な逸脱で、わざとやっているとしか思えない。柱頭上にワンクッション置いたのは左右とのバランスを考えた工夫だろう。よくできている。

彼は県庁の竣工を前にして41才で亡くなっている。肺結核だったようだ。惜しい。

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2023.03.21、旧兵庫県庁舎
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2023年3月29日 (水)

阪急中津駅の白タイル

コーナーのかまぼこ型役物や頂部のボーダータイルがとてもよい。中津駅が高架になったのが大正15年だそうだから、そのときのタイルだろう。先日見た中之島公会堂の白タイルと同じく細かな貫入(ひびわれ)がある。うす暗い通路ななかで仄かに発光しているようでとてもよい。

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2023.03.28、大阪市北区

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2023年3月28日 (火)

これってワッフルスラブだよね

ワッフルスラブとは格子状の小梁を張りつけたコンクリート製の床(スラブ=床版)のことだ。床が強くなるので大きな庇を作ることができる。ここでは格子が変形して菱形になっている。そのおかげで流れるような動きがあって美しい。格子のなかに照明をはめ込んだあたり芸が細かい。さすが光安義光である。

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2023.03.21、兵庫県庁舎

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2023年3月27日 (月)

中之島公会堂の白タイル

これは見るからに古い。大正7年でよいと思う。光沢があって美しい。小さな貫入(ひびわれ)も手作りらしくてよい。

角で突きつけにしている。タイルの端部を45度カットしているのだろう。とてつもなく丁寧だ。部屋内だけでなく廊下にも同じものを貼っている。何もために貼ったのかな。

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2023.03.22、大阪市、中央公会堂

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2023年3月26日 (日)

紀三井寺で多宝塔を描いた

多宝塔が大好き。紀三井寺で見つけたので手持ちのノートにボールペンで描いた。モノクロなのでもっと塗り込んでもいいかも。1449年再建というからもの義政のころだ。見た目よりも古いので驚いた。

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2023.03..25/A5ノート、ボールペン0.5/和歌山県、紀三井寺

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2023年3月25日 (土)

このタイルはいつのものか?

地下カフェの床タイル。これは古いぞ! パーティの始まる前からテンションあがるね。さてこれはいつの時代か? ヒントはふたつ。黄色いタイルが2種類あること。白いタイルに黒の粒が入っていること。

黄色いタイルが2種類あるのは、施工時期が違うのだろう。よく見ると大きさも違う。地下カフェは間仕切り壁を撤去して2室を1室に改造している。写真は2室をつなぐ扉の跡だ。わたしの推理では、後から2室をつなぐ扉を設けたときに明るい色のほうを足したと思う。暗い色のほうが古い。

ならば古いほうは公会堂竣工時である大正7年かと言えばそうとも言えない。なぜなら白いタイルがバリ土タイルだからだ。なかに入っている黒い粒は粘土の攪拌度合を調整して作る。撹拌機が普及してからのタイルなので昭和初期だと思う。

そういえば、この地下には今と違うホテル直営のレストランが入っていた。レストランが入ったのが昭和初期だったのかもしれない。手許に資料がないので推理はここまで。

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2023.03.22、大阪、中央公会堂

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2023年3月24日 (金)

分解されたコリント式

あまりこういうことはしないかな。窓上のフクロウのような飾りはコリント式の柱頭飾りを分解して再構成したものだ。コリント式はアカンサスの葉の上にうずまき模様が載っている。フクロウ模様はうずまき模様を中央で切って左右逆転させ、アカンサスの葉を上下逆さまにしてくっつけている。これは古典主義の範疇を超えて装飾分解が始まっていたと考えたほうがよいのではないか。野口孫市はバリバリの古典主義者として語られることが多いが、そうでもないんじゃないか。

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2023.03.22、大阪市、中之島図書館
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2023年3月23日 (木)

なぜ目玉をつけたのか

旧兵庫県庁のアーチ左右の目玉照明は戦後の復旧で取り付けたらしい。そのおかげで正面が顔になった。目玉下のスペイン風の旗竿受け金物もそのときに付けたらしい。槍を持った衛兵が顔を守っているように見えておもしろい。もともとアーチのキーストーンが牛の舌のような唐突なデザインなので顔になる素地はあった。山口半六って思っていたより自由で楽しい建築を作るんだな。

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2023.03.21、神戸市

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2023年3月22日 (水)

スパニッシュなブロンズ製ランマ

昔から知っている建物なんだが、玄関扉の上のランマがブロンズの鋳物だと初めて気がついた。今まで何を見ていたんだ。内側が太陽模様になっていて、外側の半円と放射線との交点に小さな円がついている。アーチ状の天井と響きあって美しい。

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2023.03.22、京都市上京区、三共不動産

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2023年3月21日 (火)

銅は木材の腐食を防ぐらしい

西澤先生から聞いた話なんだけど、銅は木が腐るのを防ぐ働きがあるらしい。三条大橋を見ていると、たしかに三条大橋の銅製金物まわりだけ腐っていない。なんらかの殺菌効果があるのだろう。建築の屋根まわりに銅板を使うのはこのためなんだね。すごくね。

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2023.03.21、京都市、三条大橋

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2023年3月19日 (日)

ロームシアター京都の敷石(1960)

2階から中庭の敷石がよく見える。敷石には黒、白、黄いろの3色あってにぎやかだ。それぞれ角丸の島になっていて、それが流氷のようにぎっしり詰まっておもしろい。おもちゃの兵隊さんが並んでいそうな幻想的な美しさがある。

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2023.03.19、京都市ロームシアター

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2023年3月18日 (土)

御津八幡宮(1960年)

心斎橋のアメリカ村を歩いていたら神社があった。ここに神社があるとは今まで気づかなかった。のびやかな軒唐破風とブルーの鉄扉がさわやかな社殿だ。HPによれば空襲で焼けたので昭和35年に鉄筋コンクリートで再建したとある。設計施工不詳。

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2023.03.09、大阪市中央区、御津八幡宮

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2023年3月17日 (金)

現場ゲートの影だった

伸縮式ゲートのパネルの影が並んでいた。いったい何の影だか分からないおもしろさがある。

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2023.03.15、京都市


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2023年3月16日 (木)

十三大橋の歯車飾り

これも歯車だろう。二重円の内側の小さい歯車がかわいい。くるくると回っているように見える。歯車は当然、大阪が工業都市であることを示すのだろう。この分かりやすさも大阪らしい。

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2023.03.08、大阪市、十三大橋

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2023年3月15日 (水)

関西電力送配電(株)小曾根電力所

ものすごくでかい。住宅地のなかにあるので場違い感が半端ない。そもそもこの高い作業台が何なのか分からない。隣の送電鉄塔は淀川の向こう側へ電線を渡している。これは電線を取り換えるときに巻き取り機を据える台なのではないか。

鉄骨のつなぎかたがリベットではなくボルトナットなので戦後のものと思う。この付近の地下鉄の開業が1964年なので、そのころのものかもしれない。

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2023.03.08、大阪市淀川区

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2023年3月14日 (火)

阪神水道企業団淀川取水場

なんとなく戦前のものに見える。このポンプ場が操業したのは昭和17年というから、その当時の建物かも知れない。アルミサッシに入れ替わっている。元はスチールサッシだったのだと思う。入れ替えたということは窓からの漏水があったということだろうから、サッシの入れ替えは竣工から30年以上経っていたのではないか。1942年竣工、1970年代に窓を改修、とすればちょうどよいがね。

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2023.03.08、大阪市淀川区

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2023年3月13日 (月)

ルイ・ヴィトン大阪御堂筋(2020)

帆船の大きな帆のように見えて思わず足を止めた。軽やかで涼し気でとてもよろしい。最近バブルのころの建築を個人的に見直しているので、こうした今の建築にも興味がわいてきた。青木淳設計、大成建設施工で2020年竣工。そういえば青木淳は京セラ美術館のリニューアルも手掛けているのだった。あれもよくできていると思う。

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2023.03.08、大阪市中央区心斎橋

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2023年3月12日 (日)

大阪シティ信用金庫桜川支店

 ドリア風の扁平列柱がきれいに並ぶ。プロポーションがしっかりしていて戦前の作品かとも見える。おそらく前身の旧東洋銀行が1952年設立なので、そのころの建築かと思うが詳細不詳。

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2023.03.08、大阪市浪速区

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2023年3月11日 (土)

中央の棒は何だろう

動きのある構成で楽しい。歯車とその躍動感がテーマなのだろう。中央の下から伸びている棒はなんだろう。煙突にしては太くないか?

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2023.03.08、大阪市、十三大橋

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2023年3月10日 (金)

阪急十七番街の夢とは

阪急十七番街の5階ホールには70年大阪万博のころの夢がある。何度か改修されているが、それでもその夢は覚めない。1回転と4分の1のゆるやかならせん階段を上る。ホールの吹き抜けはまるでスタートレックに出てくる宇宙艦エンタープライズ号のコクピットのようだ。「大阪の建築ガイドブック」(第3版、1982)によれば、設計竹中工務店の設計施工、阪急電鉄設計監理で1973年竣工。

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2023.03.09、阪急ターミナルビル、阪急十七番街5階ホール

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2023年3月 9日 (木)

東金堂の整数比分割について(3)

山水蒙とはなにか。易では山と水とが揃うと蒙という答えが出る。蒙は愚かなというほど意味で決してよい漢字ではない。しかし易経は蒙について次のように説明する。

蒙は亨(とお)る。我より童蒙に求むるにあらず。童蒙より我に求む。初筮(しょぜい)には告ぐ。再三すれば瀆(けが)る。瀆るれば告げず。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。

蒙は亨るとある。亨るとは願いがかなうという意味だ。易は64通りの答えが用意されているが、そのうち39通りは亨る。蒙はその39通りのうちのひとつなのでさほど悪い卦ではない。

その次の「我」とは易経を編纂した孔子のこととされる。「我より童蒙に求むるにあらず」とは孔子が愚かなこどもを教えるのではないという意味。「童蒙より我に求む」とはおろかなこどものほうから孔子に問いかけるいう意味。最良の教育は先生が弟子を教えるのではなく、弟子が自発的に先生に尋ねるかたちがよいというイメージを示している。

「初筮には告ぐ。再三すれば瀆る」とは、占いは1回きりのもので何度も尋ねるものではない。それは神を冒涜することになる。そして何度も聞けば神は答えなくなるという。蒙が亨るとは、幼児の純真さをもって祈れば神はそれに応えるという意味にもとれる。その祈りとは聖武帝が母とも慕う元正上皇の病気平癒だというわけである。

とりあえずその解釈で間違いとは言えないが多分にこじつけの感が残る。いまのところ五行説にしたがって水を示すというのは説明がつくが、それと山を組み合わせるというのはピンとこない。病気平癒の願いをかけるのに山水蒙は不適切であろう。

しかしながら、ひとつ気になるのは山水蒙が興福寺の地形と対応することだ。山水蒙とは山の下に泉があって朦朧とした水蒸気が立ちのぼるイメージである。なかなかに幽玄の趣きがある。実はそれは興福寺の立地そのものだ。興福寺は段丘上にあるが、がけ下に猿沢の池がある。池水は春日山から流れ落ちる卒河(そつかわ)をせき止めたものだが、上に山、下に水という形となる。つまり蒙とは興福寺の立地そのもの示す。

泉は神泉なのだろう。その水は薬師が左手にかかげる細首の容器に入った薬水なのだろう。薬師堂が水を示すのならば、その水が育むものは薬師如来であると同時に病床の元正上皇の命なのではなかったか。

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2023年3月 8日 (水)

東金堂の整数比分割について(2)

東金堂の整数比を易で読むとどうなるか。

まず水平方向だが、中央の扉のある部分とその左右とで3分割されている。
扉のある3間は仏像を安置する場所なので陰陽で言えば陽気だろう。そうすれば残りの左右は仏座でないので陰気となる。つまり陰-陽-陰とつらなる。これを易で読めば「水」となる。

東金堂は聖武天皇が先代の元正上皇の病気平癒を祈って建てた薬師堂だ。堂内に祀られていたのは薬師三尊だった。薬師は東方瑠璃浄土に現れる如来だ。方角は東方であり、東方は木気の領域である。水気は木気を育てる。したがって東金堂が「水」を示すとすれば木器である薬師に供える水気としてふさわしい。

垂直方向は、上の3分の1が垂れ壁で陽気、下の3分の2が回廊部分で空洞なので陰気、したがって下から陰-陰-陽となる。これを易で読むと「山」となる。山は土気なので土気の作用(土用)が働く。土気は他の4つの気を活性化さえる触媒の働きをする。この場合は、水平方向の示す「水気」を活性化させて木気を育てようとする願いだろう。

さて、分からないことがひとつある。「山」と「水」とが揃ったので「山水蒙」という卦が成り立つ。この意味が分からない。
長くなったので、その検討は次回に。

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2023年3月 7日 (火)

東金堂の整数比分割について

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2023.03.05、奈良市、興福寺東金堂

興福寺の東金堂はちょっと不思議なお堂だ。まず背が高いので迫力がある。加えて軒下にピンのように挿しこまれた尾垂木が髪飾りの笄(こうがい)のようで華やかだ。優美でありながら風格がある。夜会に遅れて登場した美しい貴婦人のようだ。脇堂でありながら金堂よりも目立っている。新築の金堂も東金堂にならえばよかったのに。

さて、東金堂の比率を考えてみたのでメモしておく。きれいな整数比になっているのは偶然ではなかろう。
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1.まず屋根の幅の3分の2がお堂になっている。
2.さらに中央の扉の部分は屋根の幅のほぼ3分の1である。
3.軒の高さは中央の扉の部分の幅の3分の2である。
4.回廊の高さは軒の高さの3分の2である。

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なぜ3分割ばかりなのか。これは易経に基づいていると考えるのがよかろう。易は天地人の3つの陰陽で構成されているからだ。
では、どこが易で読めるのか。それは次回に。

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2023年3月 6日 (月)

もちいどのセンター街アーケード(1996)

なかなかダイナミックな屈曲でおもしろい。単に曲がっているのではなく、左へ少し曲がってから大きく右へ回り込むから動きが出るのだろう。もちいどの(餅飯殿)の地名伝説に大蛇退治があるそうだが、大蛇のごとき力強さが見える。

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2023.03.04、奈良市、もちいどのセンター街

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2023年3月 5日 (日)

南円堂をスケッチした

奈良行きの特急で鈴木喜一著「まちを歩き、まちを描く」を読んでいたので鈴木風のスケッチになった。わたしが鈴木先生の色使いを初めてまねたのは2017年12月2日のスケッチ教室でだった。以来、鈴木風の色使いで5年になる。鈴木先生がご存命なら、もっと自由に描いていいよと言ってくださるだろう。

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2023.03.05/ヴァフアール水彩紙粗目F6、デザイン鉛筆4B(ブランジール社)、固形透明水彩 /奈良市、南円堂

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2023年3月 4日 (土)

トポロ51(1990)

張り巡らされた電話線にからめとられた巨大生物のようだ。動きのある造形でおもしろい。惜しむらくはコンクリート打ち放しの外装が清潔過ぎてゴミゴミした町になじんでいない。もう少し古くなればすごみが出るだろう。

トポロはトポロジーの略だろう。トポロジーとは幾何学の用語らしい。なんらかの数学的操作を加えた結果の外観なのかも知れない。アメリカ村を歩かないので今まで存在を知らなかったが、不動産情報によれば竹中工務店設計施工で1990年竣工。

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2023.02.23、大阪市中央区

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2023年3月 3日 (金)

府庁近くの洋間付き住宅

岩肌の窯変タイルが美しくて足を止めた。横目地を通して貼りまわし、窓まわりを左官仕上げの額縁が取り囲む。縦長の窓のプロポーションがよろしい。蔵に隣接しているので蔵の前室のような使いかたなのかも知れない。

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2023.02.25、京都市上京区

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2023年3月 2日 (木)

石薬師通りの住宅

丸いステンドグラスが入っている。角に出窓を回した趣向がモダンである。よく手入れされていて竣工時の状態を保っている。

上品に仕上がった数寄屋数風住宅といってよかろう。熊倉工務店を思わせる。近代化遺産リストに載っていなかった。見たところ昭和5年ころ。

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2023.02.22、京都市上京区

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2023年3月 1日 (水)

30年前の町が残っている

旭区を歩いて気づいたことがあるのでメモしておく。

1 商店街の活気
古い用品店や荒物屋がいまも営業している。店主も客筋も高齢者が多いがまだ活気が残っている。これは無人化の進む大正区とは対照的だ。旭区は大正区よりも30年遅れで過疎化が進んでいる。つまり30年前の風景が残っている。

2 大宮八幡宮の玉垣
玉垣に書かれた企業は鉄工所や製紙場などさまざまな業種の中小企業が名を連ねる。玉垣を新しくしたときの氏子エリアに存在した企業一覧が作れるだろう。旭区は中小企業の工員町だったのだ。

3 残った人々
町工場の多くはもう操業していないかも知れない。操業をやめたとき若い工員は転職しただろう。年金生活のできる熟練工はそのまま町に残っただろう。いま大宮の商店街を歩いている70~80代の高齢者はそうした人々ではなかろうか。そうだとすれば町工場が閉鎖されたのは10ねんから20年ほど前だといえよう。

4 想定される年表

  旭区 大正区
1960年代

開発が進み多数の町工場が操業する。
工場主は30代。
工員のための商店街を備えた借家街の形成。

高度成長期に入り、戦前に創業していた大手メーカーと下請けの町工場が再稼働する。
1970年代 中小企業は海外移転もできず経営難に陥る。 オイルショックを契機に大手のメーカーは生産基盤を海外へ移した。
大手の下請けをしていた町工場の閉鎖が続く。
これは経営者の高齢化が原因のひとつかもしれない。
若年工員が転職し町には年金生活者が残る。
2000年代

工場主の多くが70才を超える。
後継者がいないため閉鎖される町工場が続出する。
若年工員は転職し町には定年退職した元行員が残る

年金生活者が減り街の無人化が進む。
借家街が崩壊し商店街が役目を終える。
長屋がマンションに建て替わる。
2020年代 元行員の年金生活者の高齢化が進む。
借家街の無人化が進み、長屋がマンションに建て替わる。
転入するマンション住民が増え始める。
     


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2023.02.16、大阪市旭区、大宮八幡神社の浪速型狛犬

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