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2022年12月

2022年12月31日 (土)

富士ラビットのディテール(2)

ブロンズ製のレリーフについても詳しい解説を聞いたことがない。見えにくいということもあるだろうが、分かりにくいということもあるだろう。

中央は太陽神アポロンだと思う。アポロンは馬車に乗って世界を周回するという神話通りの図柄だ。後光のように頭から光が出ていることも彼が太陽神であることを表している。

画面左手にいる神は羽根の生えた帽子をかぶり杖のようなものを持っている。これはヘルメスだろう。ヘルメスは富の象徴でもあるので描き添えたのだろうか。

車の形式を示すセダンやクーペは馬車の種類を表す言葉だったそうだ。自動車の先祖は馬車なのだ。だから自動車ディーラーである日光社の正面に馬車が掲げられたのであろう。日光社という名前もギリシャ神話から採ったように思える。

右側は写真が粗くてよく見えないが3人の天使だろう。上のひとりは翔びながらラッパを吹いているのが分かる。アポロンの登場を寿いでいるのだろう。

左側のレリーフはプロペラを持つふたりの天女だ。神話と科学が混じるのがおもしろい。プロペラはラジエーターファンだとわたしは思う。これら3枚のレリーフはすべて空を飛ぶ図柄なので、飛行機を連想させるプロペラを自動車の象徴として使ったのではないか。

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2022.12.27、京都市七条通り

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2022年12月30日 (金)

富士ラビットのディテール

授業で使うために富士ラビットをじっくり眺めてみた。いくつか分かったことがあるのでメモしておく。

正面の高窓のトップに日光社の社章があることはよく知られているが、両脇の装飾についてはあまり紹介されたことがない。わたしもこれまで注意したことがなかった。写真を拡大して初めて分かった。これはずきんを被った修道女がひざまづいて両手を合わせる図であろう。いかにも世紀末のフォーゲラーの絵にありそうな図柄だ。

同時にわたしは岩本禄の西陣電話局(1921)を飾る裸婦像を思い出した。富士ラビットは西陣電話局と並ぶ京都の表現主義建築と位置付けられるべき建築なのではないか。

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2022.12.27、京都市七条通り、富士ラビット

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2022年12月29日 (木)

マーブル模様のぷっくりタイル

ぷっくり型でマーブル模様は珍しい。白とベージュが混じりあって清々しい。

どうやって作っているのだろうか。白の釉薬がまだらにかかっていて素地の茶色が顔をのぞかせているのだろうか。それとも、にじんでいるようにも見えるので、透明釉薬を塗った上から白の釉薬を垂らしてにじませたのかも知れない。

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2022.12.27、京都市七条通り

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2022年12月28日 (水)

大倉三郎の飾りジョウゴを見よ

こんな不思議な集水器(ジョウゴ)がついていたとは気がつかなかった。知っていると思っていてもよく見ると発見があるものだ。建物がインドサラセン式だからこれもインドサラセン式なのか。インドにも集水器があるのか。大倉が宗建築事務所勤務だったころの作品。

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2022.12.27、京都市七条通り、旧鴻池銀行七条支店(S2)

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2022年12月27日 (火)

京都新阪急ホテル(1981)

同じものがたくさん並んだ迫力がある。ホテルやマンションの立面は高層になるほど単調になりがちだが、それをうまくかわして織物のような表情を獲得している。それは小さなバルコニーの影がリズムを刻んでいるからだろう。壁面が白いので軽やかなレースのような爽やかな趣きに仕上がっている。設計施工不詳。

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2022.12.23、京都駅前、京都新阪急ホテル

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2022年12月25日 (日)

増田清のユーゲントシュテールを見よ

顕道会館のレリーフ。同じものが正面とホール壁面にあるので型押しだろうと思う。顕道会館にはこうした左官さんの作るレリーフがたくさんあって楽しい。この花柄パターンはユーゲントシュテールだろう。岩本禄の西陣電話局(1921)に似ている。増田はけっこうロマンティックな作風だと思う。

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2011.04.25、京都市下京区、顕道会館(1923)

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2022年12月23日 (金)

ふるさと庵をスケッチした

民家風のフリースペースで中にいろりがある。見かけだけでなく作り方も伝統工法なのがすばらしい。けっこう大きな茅葺きで迫力がある。茅葺が山間の風景によく馴染んでいるのがスケッチするとよく分かる。
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2022.12.17/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県養父市「長寿の里」

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2022年12月22日 (木)

寒かったので屋内スケッチ

新築古民家のなかでスケッチ実演。2点パースのルールを応用している。スケッチの左側に消失点のひとつが描かれている。実際はパース法通りにはスケッチは描けない。もっと自由に描いたほうが力のあるスケッチになる。ただし、どう描けば分からないときの参考にはなるので説明しておいた。
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2022.12.17/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県養父市「長寿の里」


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2022年12月21日 (水)

新築古民家でスケッチ教室

養父市でのスケッチ教室の今年度最後となった。雪の降りそうな天気だったので午後からは室内でスケッチした。いろりを囲みながら背を丸めて描くスケッチもいいものだ。今期はこれで終わり。来期もよろしく。
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2022.12.17、兵庫県養父市、長寿の里

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2022年12月20日 (火)

龍谷大学本館の渡り廊下の軒飾りがよい

龍大本館と教室棟をつなぐ渡り廊下がよい。愛らしい軒飾りが見どころ。細い木を斜めに組んだ透かし天井もよい。

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2011.04.25、京都市下京区、龍谷大学大宮学舎本館渡り廊下

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2022年12月19日 (月)

なぜ八角形の窓なのか

色ガラスが美しい。あまり見たことのないような型ガラスだ。緑色がクリスマスを連想させる。色ガラスが駅舎開業当時のものかどうかは知らないが、スキー客でにぎわった冬の駅舎にふさわしい。八鹿町なので八角形なのかと思っていたが雪の結晶なのかもしれない。

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2022.12.17、兵庫県養父市八鹿駅

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2022年12月17日 (土)

若林仏具店のイオニア式(解体)

下京区の若林仏具店本店のショーウインドウのイオニア式。ブロンズ製の鋳物だったと思う。仏具店なので仕事関連の鋳物屋に依頼したのだろう。デザインは見たとおりの本格派で、わたしはひそかに大倉三郎ではなかったかと思っていた。いまはもうないのが惜しい。

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2011.04.25、京都市七条通り

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2022年12月15日 (木)

謎の駅舎(解体)

梅小路の機関車庫の裏にあった。鉄道博物館ができる前は子供用のチンチン電車があって、その乗り場になっていた。どこから見ても移築なのだが、どこにも説明がなかった。鉄道博物館が建ったあとは姿を見ないので解体されたのだろうと思う。見た感じでは山陰線の小駅のプラットフォーム上屋で大正時代くらいのものだ。いったいこれは何だったのだろう。

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2011.04.25、京都市梅小路

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2022年12月14日 (水)

「翠園」のポストモダン

店の説明書きによれば大正8年の原綿倉庫を70年後に中華レストランに改造したのだそうだ。レンガ倉庫も元の形をよく遺していて見ごたえがある。歴史的価値をよく理解した建築家の手によると思われるが誰がやったのか調べていない。ポストモダン風のエントランスホールも嫌味がなく楽しい作品に仕上がっている。

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2022.08.10、大阪府吹田市、中華料理「翠園」

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2022年12月13日 (火)

茂庵パラダイス

実業家・谷川茂次郎は神楽岡の東斜面を買い取って住宅地を開発した。彼はその住宅地の上の斜面に茶室を散りばめたティーガーデンを作った。そして神楽岡の頂上近くに見晴らしのよいダイニングルームを設けた。それが茂庵である。

丸太を柱に使い貫で挿し固める伝統工法の2階建て建物。緩い勾配の銅板張りの沿った屋根が軽やかに載る。壁は板蔵のような板の建て込みでスイスの古民家のような木質系の優しい表情を見せてくれる。

2階のダイニングルームからは京都市内が一望できる。今は樹木にさえぎられて見えないが、かつては五山送り火の大文字が正面に見えたはずだ。谷川のティーガーデンが天上の仏の世界に通じている証拠だと思う。

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2022.11.09、京都市左京区吉田山神楽岡


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2022年12月12日 (月)

家邉徳時計店のショーウインドウのコリント式

家邉徳さんは明治23年竣工だが、このショーウインドウは少し新しいと思う。湾曲ガラスが使えるのは大正から昭和初期だと思うので、そのころのものだろう。京都でも古いショーウインドウのひとつだ。ガラスを支える小さな柱がコンポジット式になっている。渦巻の下のアカンサスの葉がレタスに見えるのが愛らしい。

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2022.12.03、京都市中京区、家邉徳時計店

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2022年12月10日 (土)

京都府文化博物館に長野宇平治らしいところ

文博の窓が1階と2階とで違い過ぎる。2階は教科書通りのルネサンス様式だが1階は様式から自由なセセッション式だ。左右の迫持ち石と中央の要石に丸印があるのもおもしろいが、それらを繋ぐ横長の石に彫られた唐草模様が愛らしい。わたしは2階が辰野で1階が長野だろうと思っている。長野は水平垂直のはっきりした様式建築が特徴なのでセセッションは珍しい。ひょっとすると2階も長野で辰野にいろいろやらされたのかも知れない。

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2022.12.03、京都市中京区

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2022年12月 9日 (金)

パステル鉛筆の使いかたが分かってきた

吉田さんに教えてもらったパステル鉛筆の使いかたが少し分かってきた。芯にねばりがあるので弱い線もくっきり見える。筆圧の強弱を楽しむような描きかたになるようだ。ペンと違って細い線を引くには向いていないので紙の大きさも大きいほうがよかろう。今年になって使っているF6のスケッチブックはバカでかくいと思っていたが、パステル鉛筆でゆったりスケッチするのには向いているように思う。もう少し練習してみる。

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2022.12.08/ヴァフアール水彩紙粗目F6、パステル鉛筆4B(ブランジール社) /京都御苑

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2022年12月 7日 (水)

ヴォーリズ天井に見とれる

東華菜館へ行くと、階段室の1階から見上げたところにいつも見とれる。少し広くなっていることと、適度に薄暗いことで気持ちよい場所になっている。天井飾り、八角形の窓、不思議な形のアーチがとても楽しい。

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2022.08.11、京都市、東華菜館

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2022年12月 6日 (火)

スケッチ教室で伏見稲荷へ行った

メンバーが千本鳥居を見たいというので伏見稲荷へ行った。赤いトンネルのような千本鳥居を抜けてコダマ池に出た。ここは古代の溜池で取水口のところに熊鷹社が祀られている。人出が多かったので溜池の土手の端まで行ってそこでスケッチした。誰もいないと思っていたらそこは池のコイにエサをやる場所だったようで入れ替わりたちかわり麩をもった人がやってくる。大きなコイも集まってきて群れてエサを食べる水音が響きわたって落ち着かない。そのうち山伏がやってきて耳もとでほら貝を吹き始めた。それに引かれるように観光客も集まってきてさらににぎやかになった。そんななかで描いた。

近代建築を描くお散歩スケッチ https://culture-house.com/course/61e4c7e8a9defb00291ef6a2

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2022.12.03/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/京都市伏見稲荷
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2022年12月 5日 (月)

大阪市立大江幼稚園(1930)

園舎が木造のまま残っていること自体が珍しくなった。下見板張りの愛らしい園舎である。ガラス扉の上にガラスの欄間を設けて明るい玄関にしている。手慣れたデザインだ。屋根は葺き替えられているが、窓がアルミに変えず木造のままなのがうれしい。大切に使われているのだろう。HPの沿革によれば1930年竣工、設計施工不詳。

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2022.10.23、大阪市天王寺区

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2022年12月 4日 (日)

千代田ビル別館(1971,75増築)

壁面がすべて同じデザインなのが潔い。その同じものがこれだけ集まると迫力があっておもしろい。高度成長のころのビルが続々と姿を消すなかでこれだけの大物が残っていたことに驚く。ビルの大きさは接する道路幅に依存するが、この場合は道幅が狭すぎる。ビル裏の1号線まで敷地があるのかも知れない。不動産情報によれば1971年竣工、1975年増築、設計施工不詳。

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2022.11.10、大阪市北区

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2022年12月 3日 (土)

NTT西日本大阪北営業所別館

60年代のものに見える。張り出した2階のタテのラインがリズミカルでかっこいい。モダニズムの佳品といってよかろう。

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2022.11.10、大阪市北区

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2022年12月 2日 (金)

協繊京都営業所

外壁のトップが中央で高くなっていて、左右にセセッション風の飾りがついている。窓はアルミサッシュに入れ替えられて一回り小さくなっている。外壁の下部が立体的な幾何学模様なのがかっこいい。玄関ドアが元のままでガラス窓の上部が曲線なのがきれいだ。

協繊は西陣織のネクタイメーカー。HPの沿革によればこの場所へ移ったのは戦後らしい。ということは何かの建物を購入したということだろう。見た感じでは金融か保険関係に見える。前身が何なのかは戦前の地図で調べればすぐ分かるのではないか。「京都の近代化遺産(2006)」によれば竣工は昭和初期、設計施工不詳。木造2階建てとあるが本当だろうか。

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2022.11.30、京都市上京区

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2022年12月 1日 (木)

日展本社ビル

角をカットした形がおもしろい。床から天井まで窓として、その中ほどを出窓風にしたところがかっこいい。1970年代風だがHP沿革に1965年に現在地に移転とあるのでそのときの建物なのだろうと思う。日展は展示関係の設計施工会社だそうだ。

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2022.11.10、大阪市北区

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