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2022年11月

2022年11月30日 (水)

能村毛メリヤス製造所伊佐工場

見たとたんに劇場ではないかと思った。福井県名田庄や近江八幡で見た劇場建築とよく似ていたからだ。だが、この建物が劇場だったかどうかわからない。毛メリヤス工場の看板がかかっていた。メリヤス工場はこんなふうに背が高くなるのだろうか。

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2022.11.19、兵庫県養父市八鹿町伊佐

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2022年11月29日 (火)

藤電気ビル(1973)

夜散歩をした。夜だと人目がないので建物をよく見ていられて具合がよい。いくつか発見があったのでメモしておく。

このビルは角がとがっていてかっこいい。両面を大きなガラス面にして軽やかに仕上げたあたりセンスがよい。

藤電気は絶縁体メーカーで沿革によれば本社ビル第1期70年竣工、73年第2期竣工とある。敷地奥が第1期ならこの部分は1973年だろう。

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2022.11.10、大阪梅田

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2022年11月28日 (月)

JR京都線のコンクリート高架橋がかっこいい

新御堂筋と斜めに交差しているので柱断面が菱形になっている。梁の付け根はご覧のように斜めにせりあがっている。平面的にも斜めなので、あらゆるところが斜めになっているわけだ。真っ白に塗られているので形がよく分かる。ダイナミックな美しさがある。通るたびに写真をとっている。新御堂筋が戦後の道路なので、この高架橋も戦後の土木作品なのだと思う。

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2022.11.10、梅田、JR京都線高架橋(新御堂筋)

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2022年11月27日 (日)

仁和寺霊宝館と藤井厚二について

片岡の設計した仁和寺霊宝館(1926)で片岡展を見てきた。仁和寺に残っていた図面類を大工大が調査したそうだ。ちなみに大工大は片岡が創立した関西工学専修学校が前身で今年100周年だ。展覧会はその記念事業として開かれた。

霊宝館はコンクリート和風・高床式通風・中庭式採光の3つが特徴だろう。校倉造り風の外観はコンクリートの壁にV字型のプレキャスト板を取り付けることで実現している。これは展示されていた図面でよく分かった。

考えたことがふたつあるのでメモしておく。

ひとつめは構造が日比忠彦(1873-1921)的であること。霊宝館は床・壁・屋根のコンクリートボックスに見える。ボックス構造の初めはライトの帝国ホテル(1923)と言われるが、わたしは日比の藤田美術館収蔵庫(1911)が最初ではないかと思う。日比と武田と片岡は友人どうしだった。3人でよってたかって鉄筋コンクリート造を導入しようとした時代の初期作品として霊宝館は興味深い。

ふたつめは通風と自然採光の工夫が藤井厚二的であること。霊宝館とよく似た収蔵庫に清水組設計施工の豊国神社宝物館(1925)がある。豊国神社宝物館は武田五一の関与もとりざたされている。中庭を使った自然採光の工夫はたしかに武田的だ。

当時、武田が教えていた京大建築学科で設備講座を担当していたのは藤井厚二だった。もし豊国神社宝物館の設計に武田が関与したのであれば、通風や採光などの設備的な工夫は藤井が担当したろう。片岡は武田や藤井の研究を応用して霊宝館の設計を仕上げたのではないか。

藤井は同時期に大覚寺心経殿(1925)を設計している。鉄筋コンクリート造の八角堂だが、高床式であることや校倉造り風の外観が霊宝館とよく似ている。このことも片岡や藤井が情報共有していたことを思わせる。

片岡が大工大の前身である関西工学専修学校を開いたのは1922年だった。日比や武田や藤井も開校に協力したのであれば、卒業生たちが片岡や武田たちのコンクリート建築の導入の仕事を引き継いだといえよう。導入期の作品である霊宝館は100周年記念のテーマとしてふさわしいかろう。

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2022.11.17、京都市、仁和寺霊宝館

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2022年11月26日 (土)

亀岡末吉がおもしろい

華麗な色使いで見飽きない。門扉の透かし彫りと合わせて遠目にも亀岡の作品だとわかる。仁和寺の勅使(ちょくし)門で1914年の竣工。桃山様式とバロック建築を混ぜているように見える。どちらも1600年ころの建築様式で共通するところもあるから、混ざっていることに気づかないかもしれない。そうした分かるか分からないかギリギリの遊び感覚が楽しい。

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2022.11.17、京都市右京区、仁和寺勅使門

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2022年11月25日 (金)

大工大でスケッチ大会を開いた

幸いにお天気に恵まれた。写真はわたしの開いた絵の具コーナー。入れ食い状態である。楽しそうに絵の具を使っていたのでよかった。各自1時間半ほどスケッチした後で学生100名全員の作品を見た。これだけ多くのスケッチを見ることは一生のあいだでもないだろう。さまざまなスケッチがあることを知ることに意義があると思う。絵はわたしの描いた1枚。

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2022.11.24、大阪市北区梅田

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2022年11月23日 (水)

これが「小倉百人一首」の小倉山だ

小倉(おぐら)百人一首は誰でもご存知かと思うが、その「小倉」の由来となった小倉山がこれだ。藤原定家はこの地で百人一首を作った。小倉山はこのように渡月橋からよく見える。おまんじゅうのような特徴的な形の山で亀山という別称もうなずける。小倉山のふもとに亀山天皇の離宮があり、後に離宮跡が天龍寺となった。天龍寺が東向きに建てられているのは、亀山をご神体と仰ぐからだろう。小倉山のクラは岩倉のことなのだろう。

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2022.11.23、京都市右京区嵐山

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2022年11月22日 (火)

彫刻師・中井喜一郎の作品を見た

喜一郎(昭和33年没)は中井家9代目の彫刻師だそうだ。中井家は法隆寺大工から江戸幕府の建築を取り仕切る棟梁家として知られるが、この中井家は柏原藩お抱え大工だったと「養父市を飾るまちの彫刻」にある。柏原藩とは今の兵庫県丹波市柏原で養父市と近い。

柏原中井家はもともと大工棟梁家だったが、4代目中井君音(天明7年・1787年没)から彫刻師を名乗りはじめた。大工職は親族の別の中井家が継いだというから、君音は彫刻の専門職だったのだろう。

これは諏訪立川(たてかわ)家と似ている。立川家はもとは江戸幕府系の大工棟梁家であったが、その別れの諏訪立川家のほうが有名になった。豊富な彫刻が目をひいたからだ。彫刻で有名な諏訪松本の旧開智小学校も立川家の作品である。諏訪立川家の初代・立川和四郎は1744年生まれ、1807年没という。つまり柏原の中井家4代君音と同時代人なのだ。彫刻師が大工職から分離したのは諏訪と但馬だけではなく、おそらく18世紀なかごろの全国的な動きだったのだろう。

「養父市を飾るまちの彫刻」(養父市教育委員会編2019年)
この本は養父市内のすべての神社を調査して中井家をはじめとする神社彫刻の全貌を明らかにした。見て楽しく読んでためになる本である。
https://www.city.yabu.hyogo.jp/soshiki/kyoikuiinkai/shakaikyoiku/1/2/2406.html

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2022.11.19、兵庫県養父市八鹿町伊佐、船山神社

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2022年11月21日 (月)

旧小出医院(1918)

黄色い壁が美しい。軒下の壁は表面がでこぼこしたドイツ壁風に仕上げている。写真では分かりにくいが、その部分は少し赤みがかかっている。色使いがウイーン分離派風だ。玄関ポーチの柱頭の飾りも分離派風だ。当時の最新流行スタイルを理解したうえでのデザインであることが分かる。ちなみに屋根は赤が似合う。スケッチは赤い屋根にしてみた。

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2022.11.19、兵庫県養父市八鹿町伊佐

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2022年11月20日 (日)

養父スケッチ教室で伊佐を描いた

町角の地蔵堂はきれいに掃き清められ花が活けられていた。ここは出石藩の開発した新田集落だそうだ。開発時の茶室が残っていて外観を見学できた。古い医院建築の前で斜め描きスケッチの実演をし、そのあと1時間半ほどスケッチを楽しんだ。お天気もよく気持ちがよかった。また訪れたい場所である。
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2022.11.19、兵庫県養父市八鹿町伊佐

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2022年11月19日 (土)

和風の仁和寺御室駅(1925)

かっこいい和風駅舎だ。仁和寺門前なのでこの意匠となっている。小さいけれど密度の高い和風で見飽きない。プラットフォーム側が変化があっておもしろいと思う。いまはスレート葺きだが元は檜皮葺きだったように記憶している(違うかな)。元の屋根葺き材に戻せばさらにかっこよいだろう。

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2022.11.17、京都市右京区御室

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2022年11月18日 (金)

嵐山の紅葉いまさかりなり

仁和寺寺宝展のかえりに嵐山を通り過ぎた。中之島橋から見た水面に紅葉が映ってきれいだった。しばし見とれた。



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2022年11月17日 (木)

小さな柱頭飾りを見つけた

小さ過ぎてはっきり見えないが、見てのとおりのかわいらしいコリント式だ。玄関バルコニーの雨トイのトップにあった。トイ飾りにここまで細かく作りこんだ柱頭飾りを取り付けるのをほかで見たことがない。京都の錺(かざり)職たましい炸裂である。

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2022.11.12、京都府庁

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2022年11月16日 (水)

府庁のタイルは輸入ものなのか?

最初は本業タイルかと思った。でも京都府の知事室に愛知県産のタイルを使うわけはなかろう。だからこれは清水焼ではないかと思う。ただし輸入されたヴィクトリアンタイルだという線も残る。今後の課題ということでメモしておく。

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2022.11.12、京都府庁

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2022年11月15日 (火)

建築探偵の建築祭

岡崎公園の特別ツアーのひとこま。参加者さんが撮ってくださった。京都の錺(かざり)職人さんの仕事を解説しているところ。今回は貴賓室へも入った。壁仕上げがスタッコ風だった。参加者さんがほかの場所と壁が違うと指摘してくださったので分かった。建築めぐりは毎回発見があって楽しい。

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2022.11.15、京都京セラ美術館にて(撮影@南野氏)

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2022年11月14日 (月)

京都モダン建築祭・完遂した

第1回目の建築祭が終わった。3日間で予想を上回る参加があった。不手際もさまざまあって申し訳なかったが次回に活かしたいと思う。わたしは3回の特別ツアーを担当した。ツアー参加者にまいまい京都の常連さんが多くてボンクラなガイドを助けてくださった。ありがとう。おかげでわたしも楽しく建築めぐりができた。来年もこの稀有な催しが引き続き開けますように切に願う。
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2022年11月13日 (日)

松室の愛らしいディテール

親柱のうえのレタスみたいのは本当はアーカンサスの葉なのだろうけど、どう見てもレタスに見える。建築家・松室重光の設計はきちんとし過ぎるきらいがあるがディテールは愛らしい。

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2022.11.13、京都府庁

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2022年11月12日 (土)

焼きものブロックを見つけた

久しぶりに見つけた。コンクリートブロックに見えるが焼きものである。アイボリー色の焼きあがりが上品だ。1970年ころの住宅に見えたのでそのころの製品だと思うが見かけることは少ない。

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2022.11.05、京都市下京区

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2022年11月11日 (金)

村岡区中央公民館

正面が講堂で右側に図書館があり幅広の回廊で結んでいる。雪深いのだろう。講堂は庇が出ていて壁面を由紀から守っている。白タイル貼りの清楚なデザインが好ましい。詳細不詳。

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2022.10.15、兵庫県香美町村岡

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2022年11月10日 (木)

村岡の洋館

昭和初期と思われる洋館。食料品店の看板は残るが長らく閉まっている模様。2階建てに見えるが平屋ではないか。平屋ならば上下2段の大窓があることになる。採光の必要な製造業のようにも思うが詳細不明。

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2022.10.15、兵庫県香美町村岡、高元食料品店

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2022年11月 9日 (水)

新阪急ホテル(1964)

最初からこの姿だと思っていたが違っていた。当初の外装はグレーのアルミパネルだったらしい。「大阪建築ガイドブック」(1982第3版)には黒っぽいビルの写真が載っている。今は銀色の金属パネルで包まれてきれいだ。四角い窓が並ぶデザインとよく合っている。同書によれば竹中工務店の設計施工。ウイッキによれば2025年に営業を終える予定。

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2022.10.30、大阪市北区

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2022年11月 8日 (火)

門の上にカメが棲む

南禅寺三門の2階に上がると、扉のかんぬきの持ち手が長さ8センチくらいの愛らしいカメだった。耳がある。カメに耳は無いのでこいつはヒイキか霊亀かなにかだろう。ようするにカメのたぐいである。錆びと手ズレとで良い具合に風化して美しい。

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2022.11.05、南禅寺三門

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2022年11月 7日 (月)

400年の風化を見た

南禅寺の三門は1628年の竣工なのでもうすぐ400年だ。400年経つと木目はこのように風化する。浮き出た木目に覆われながらもなお形を保っている。逆かな。かろうじて形を保ちながら浮き出た木目に覆われている。風化してなお美しい。風化しても美しいのが工芸だろう。

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2022.11.05、南禅寺三門

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2022年11月 6日 (日)

堀川茶室は別天地だった

京都建築専門学校の学園祭「建工祭」の堀川茶室へ行ってきた。堀川の石垣の下にある親水公園に学生たちが自力でお茶室建てた。茶室の中や外でお茶をふるまっている。お天気もよくにぎわっていた。

堀川の底は周囲の喧騒が嘘のように静かだ。市中の山居とはこのことだろう。茶室の順番を小一時間ほど待つあいだ、スケッチをしたりうららかな日差しをあびてぼんやりしたり貴重な時間を過ごすことができた。堀川茶室は6日(日)まで。

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2022.11.05、京都市堀川丸太町

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2022年11月 5日 (土)

三角ビルがとがっている

平面が三角形なので角から見上げるととがって見える。ここは以前も紹介したが、青空を背景に気持ちよくとがっていたので写真に撮った。こうした三角ビルはわたしの知っているだけでも京都に3つある。貸し事務所が多いがどのように使っているのか見てみたい。

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2022.10.20、京都市

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2022年11月 4日 (金)

1903年の色ガラスの世界

まいまい京都のツアーで大阪天王寺へ行った。四天王寺庭園に移築された第4回内国勧業博覧会の八角堂がおもしろい。カギがかかっていて入れない。窓は色ガラスなので内部がよく見えない。みんなで窓に張り付くようにしてのぞき込んだ。室内は色ガラスを通した色付きの光が乱反射していて、そこだけ100年前の空気が保存されているように見えた。

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2022.10.23、四天王寺

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2022年11月 3日 (木)

謎めいた大噴水

たぶん開園当初の遺構だと思う。岩山型の噴水は珍しかろう。高さが3メートルほどもある。いまも盛大に水を吹きあげている。

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2022.10.29、京都市動物園

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2022年11月 2日 (水)

京都モダン建築祭の応援記事が載った

ぽマガジンに京都モダン建築祭の応援記事が載った。建築祭主催のまいまい京都から宣伝のために取材に応じるよう依頼された。ぽマガジンは「定説ではないがもっともらしい噂話」をしてほしいというので武田物件を中心のヲタク話をしてきた。とめどもない話をうまくまとめている。自分で読んでもおもしろい。みんなも読むといいよ。

ぽマガジン 噂で知る京都シリーズ「武田五一を愛する建築探偵の推理が、京都のモダン建築の謎を次々に解いているらしい」https://www.potel.jp/kyoto/cityguide/feature/modern_architecture/?fbclid=IwAR2XgVHBRRrrJZ3Z45HTzqJrXtycRIUHK1dXC55nTMHcb1vgPyDV0M-GEvQ

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府立図書館のコンパスの跡

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2022年11月 1日 (火)

心斎橋大丸の塔屋を見てきた

ウッドデッキのテラスから塔屋をまじかに見ることができる。巨人の頭のようで迫力がある。白と赤のコントラストが思ったより清楚できれいだった。

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2022.10.31、大阪市、心斎橋大丸

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