2022年11月
2022年11月30日 (水)
2022年11月29日 (火)
2022年11月28日 (月)
2022年11月27日 (日)
仁和寺霊宝館と藤井厚二について
片岡の設計した仁和寺霊宝館(1926)で片岡展を見てきた。仁和寺に残っていた図面類を大工大が調査したそうだ。ちなみに大工大は片岡が創立した関西工学専修学校が前身で今年100周年だ。展覧会はその記念事業として開かれた。
霊宝館はコンクリート和風・高床式通風・中庭式採光の3つが特徴だろう。校倉造り風の外観はコンクリートの壁にV字型のプレキャスト板を取り付けることで実現している。これは展示されていた図面でよく分かった。
考えたことがふたつあるのでメモしておく。
ひとつめは構造が日比忠彦(1873-1921)的であること。霊宝館は床・壁・屋根のコンクリートボックスに見える。ボックス構造の初めはライトの帝国ホテル(1923)と言われるが、わたしは日比の藤田美術館収蔵庫(1911)が最初ではないかと思う。日比と武田と片岡は友人どうしだった。3人でよってたかって鉄筋コンクリート造を導入しようとした時代の初期作品として霊宝館は興味深い。
ふたつめは通風と自然採光の工夫が藤井厚二的であること。霊宝館とよく似た収蔵庫に清水組設計施工の豊国神社宝物館(1925)がある。豊国神社宝物館は武田五一の関与もとりざたされている。中庭を使った自然採光の工夫はたしかに武田的だ。
当時、武田が教えていた京大建築学科で設備講座を担当していたのは藤井厚二だった。もし豊国神社宝物館の設計に武田が関与したのであれば、通風や採光などの設備的な工夫は藤井が担当したろう。片岡は武田や藤井の研究を応用して霊宝館の設計を仕上げたのではないか。
藤井は同時期に大覚寺心経殿(1925)を設計している。鉄筋コンクリート造の八角堂だが、高床式であることや校倉造り風の外観が霊宝館とよく似ている。このことも片岡や藤井が情報共有していたことを思わせる。
片岡が大工大の前身である関西工学専修学校を開いたのは1922年だった。日比や武田や藤井も開校に協力したのであれば、卒業生たちが片岡や武田たちのコンクリート建築の導入の仕事を引き継いだといえよう。導入期の作品である霊宝館は100周年記念のテーマとしてふさわしいかろう。
2022.11.17、京都市、仁和寺霊宝館
2022年11月26日 (土)
2022年11月25日 (金)
2022年11月23日 (水)
2022年11月22日 (火)
彫刻師・中井喜一郎の作品を見た
喜一郎(昭和33年没)は中井家9代目の彫刻師だそうだ。中井家は法隆寺大工から江戸幕府の建築を取り仕切る棟梁家として知られるが、この中井家は柏原藩お抱え大工だったと「養父市を飾るまちの彫刻」にある。柏原藩とは今の兵庫県丹波市柏原で養父市と近い。
柏原中井家はもともと大工棟梁家だったが、4代目中井君音(天明7年・1787年没)から彫刻師を名乗りはじめた。大工職は親族の別の中井家が継いだというから、君音は彫刻の専門職だったのだろう。
これは諏訪立川(たてかわ)家と似ている。立川家はもとは江戸幕府系の大工棟梁家であったが、その別れの諏訪立川家のほうが有名になった。豊富な彫刻が目をひいたからだ。彫刻で有名な諏訪松本の旧開智小学校も立川家の作品である。諏訪立川家の初代・立川和四郎は1744年生まれ、1807年没という。つまり柏原の中井家4代君音と同時代人なのだ。彫刻師が大工職から分離したのは諏訪と但馬だけではなく、おそらく18世紀なかごろの全国的な動きだったのだろう。
「養父市を飾るまちの彫刻」(養父市教育委員会編2019年)
この本は養父市内のすべての神社を調査して中井家をはじめとする神社彫刻の全貌を明らかにした。見て楽しく読んでためになる本である。
https://www.city.yabu.hyogo.jp/soshiki/kyoikuiinkai/shakaikyoiku/1/2/2406.html
2022.11.19、兵庫県養父市八鹿町伊佐、船山神社
2022年11月21日 (月)
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2022年11月 3日 (木)
2022年11月 2日 (水)
京都モダン建築祭の応援記事が載った
ぽマガジンに京都モダン建築祭の応援記事が載った。建築祭主催のまいまい京都から宣伝のために取材に応じるよう依頼された。ぽマガジンは「定説ではないがもっともらしい噂話」をしてほしいというので武田物件を中心のヲタク話をしてきた。とめどもない話をうまくまとめている。自分で読んでもおもしろい。みんなも読むといいよ。
ぽマガジン 噂で知る京都シリーズ「武田五一を愛する建築探偵の推理が、京都のモダン建築の謎を次々に解いているらしい」https://www.potel.jp/kyoto/cityguide/feature/modern_architecture/?fbclid=IwAR2XgVHBRRrrJZ3Z45HTzqJrXtycRIUHK1dXC55nTMHcb1vgPyDV0M-GEvQ
府立図書館のコンパスの跡
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