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2022年7月

2022年7月31日 (日)

ケイアイ興産京都ビル(1971)

バスを待っていて気がついた。何気なく見えるがけっこうかっこいい。

今では珍しいスチール製のカーテンウォールで焼付塗装の縦長枠に熱戦反射ガラスを入れているように見える。上下階のサッシュの継ぎ目が奥へ引っ込んでいるのでガラス面が出窓のように前に突き出して見える。そのため構造材が見えず軽やかに仕上がっている。 このカーテンウォールは既製品かも知れないので他にもあるのかもしれない。不動産情報によれは1971年竣工。

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2022.07.29、京都市中京区

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2022年7月30日 (土)

四条通りは曲がっている

四条大橋東詰めで信号待ちをしていて気づいた。菊水ビルの階段塔が四条通りと並行でない。写真で見るように階段塔の屋根のトップのラインとその下の四条通りに面した外壁上端のラインの角度がずれている。つまり菊水ビルの平面が台形であるということだ。菊水ビルは四条通りと川端通りの角地に建つので、すなわち四条通りと川端通りの角が直角ではないということだ。

そんなことあるのかなぁと思って、向いの南座を見たらやっぱり直角ではなかった。写真の右側のビルがそば処「松葉」だが、この外壁上端のラインが四条通りと並行である。その左側の南座は四条通りからひっこんで建っているが、これは川端通りと直角に建っている。南座の平面は台形ではないということだ。

三条通りが平安京を出てから少し斜めになることは聞いたことがある。それと同じ現象が四条でも起こっているわけだ。三条通りの場合は蹴上の坂へ向かって斜めになるわけだが四条通りの場合はなぜ斜めなのか分からない。ちなみに四条通りは八坂神社へ向かって弓なりに曲がっている。なぜこうなっているのかはもう少し考えてみたい。

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2022.07.29、京都市四条大橋東詰め

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2022年7月28日 (木)

林ビル

河原町通りの戦後ビルのなかで異彩を放っている。前面だけ横筋を入れたコンクリートパネルを校倉造のように張り上端に庇をつけている。モダニズムが空気のように流れていたアトリエで設計されたのであろう。手慣れているが鈍重にならず風のような軽やかさを身にまとっている。

賃貸住宅と事務所との複合ビル。地下ホールがライブハウスとなっている。以前は社交ダンスの教室があったように思う。設計施工不詳。不動産情報によれば1966年竣工。

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2022.07.26、京都市下京区

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2022年7月26日 (火)

西光寺(京都市伏見区)

散歩していて見つけた。鉄骨造に見える。たっぷり庇を伸ばして軒回りに影を呼び込んでいる。そのことがお堂の表情を深めている。大屋根にはむくりがあって、包み込むような優しいシルエットを作っている。木部を際立たせたシンプルな表面処理など設計者の手腕はただものではない。アスプルンドの森の礼拝堂(1940)や内井昭三の久遠寺宝蔵(1976)を思わせる秀作である。

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2022.07.10、京都市伏見区横大路「西光寺」

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2022年7月25日 (月)

石山寺はモンサンミッシェルだ

久しぶりに滋賀県の石山寺を訪れた。寺そのものが大きな岩の上に建っていることに驚いた。まるでモンサンミッシェルではないか。以前訪れたときにも見ているはずなのだが気づかなかった。当時はどこへ行くにも幼児を連れていたので景色を確かめる余裕がなかったこともあろうが、むしろ風水の知識が無かったのでさほど気に留めなかったのだろう。では風水で考えるとどうなるのか。

この岩は石灰岩が熱や圧力によって変成した硅灰岩というものだそうだ。だから鍾乳洞のように水で浸食されて風変りな形になっている。岩は金気である。金気は水を生むのでここは水の湧き出る霊地なのだろう。水気はさらに木気を生む。観音は木気であることが多い。岩の上に如意輪観音が顕現したのは水気が木気を生んだからであろう。やはり海上の岩上に聖ミカエルの降り立たったモンサンミッシェルの伝説とよく似ている。岩上には木気の神様が降り立つのである。

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2022.06.19、滋賀県大津市、石山寺

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2022年7月24日 (日)

淡いベージュの窯変タイル

町家の腰壁に貼られていた。100角タイルに見えるが測ったわけではない。100角というのは100ミリ×100ミリということ。優しいベージュ色のタイルで淡く緑色に窯変している。貫入(微細なひびわれ)の入った味わい深いタイルである。

目地が太いのが特徴かな。タイルの色に合わせた黄色い目地材を丁寧にかいている。目地材を入れることを「掻く」という。目地幅はタイルの厚みに合わせることが多いので、見た目よりも分厚いのかも知れない。

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2022.07.15、京都市錦通り烏丸西入ル

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2022年7月23日 (土)

布目窯変ボーダータイルを見つけた

孟宗山をスケッチした帰り錦小路で見つけた。背の高い防火壁の道路側を布目の窯変ボーダータイルが飾っていた。ベージュが青く窯変している。土灰だろうか。味わい深い。

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2022.07.15、京都市

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2022年7月22日 (金)

強運の「孟宗山」を描いた

ゆっくり作っているように見えて、見ているあいだにどんどんできてくる。筋交い部分の蝶結びが始まったので2枚目を描いた。1枚描くのに30分くらいなので、朝から順を追って描いていってもおもしろいかもしれない。今年、孟宗山は巡行の順番が山の一番だったと喜んでいた。「一番とは珍しいですね」と大工型の棟梁に話を向けると「そうでもない。わりと一番はよく引く」とおっしゃっていた。強運な山である。山を解体するときに軸組をむすびつけている縄を小刻みにしてお守りとして希望者に分けるそうだ。わたしもあやかりたい。

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2022.07.15/ヴァフアール紙粗目F6、グラフィックペン0.5、固形透明水彩 /山鉾建て「孟宗山」

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2022年7月21日 (木)

祇園祭の山鉾建てをスケッチした

スケッチ演習で3年ぶりの山鉾建てのスケッチに出た。この日に建てていたのはふたつほどだったが、みな熱心にスケッチしていた。わたしは大工型の棟梁からいろいろお話をうかがえて勉強になった。また来年も行きたい。

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2022.07.15、祇園祭(前祭り)孟宗山

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2022年7月20日 (水)

養父公民館のカフェ「はなびより」をスケッチした

久しぶりの室内スケッチ。スケッチするとその店がよく分かる。はなびよりは花屋さんがオーナーなだけに店内に多肉植物やドライフラワーが多く居心地がよい。ランチは鶏肉団子のトマトシチューだった。季節野菜満載でおいしかった。次はカレーを食べてみたい。ごちそうさまでした。

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2022.07.16/ワトソン紙A4サイズ、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/兵庫県養父市

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2022年7月19日 (火)

養父スケッチ教室で室内をスケッチした

今月の養父スケッチ教室は暑いし雨も降りそうだったので薮公民館の館内でスケッチした。パースの仕組みを知りたいとみなが言うので少しだけ座学。パース通りに描くとスケッチがおもしろくなくなるけれど、困ったときの援けにはなる。それから館内カフェ「はなびより」で室内スケッチの実演。室内スケッチもおもしろいぞ。

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2022.07.16、兵庫県養父市、養父公民館にて

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2022年7月18日 (月)

木気を克(こく)して雨が降る

最近、風水の話を書いていないので少しだけ。

新型コロナウイルスのが蔓延し始めた3年前から全国の社寺では疫病を抑えるお祓いや修法が行われている。それは勅使差遣の公式のものから各社寺の自主的なものまでさまざまなレベルで一斉に行われていよう。ではその祭祀とはいったいどのようなものなのか。

もっとも古典的な疫病除け祭祀は「金克木(きんこくもく)」つまり金気によって木気を克する(滅する)ものであろう。疫病除け祭祀として知られる祇園祭りは金気の神様である牛頭天皇の神力によって木気である病を滅する祭礼である。これが古来から日本で行われてきた疫病除け祭祀だ。

病は五行のなかでは木気に配される。なぜなら病は悪い風が体内に吹き込むことで起きると考えられたからだ。そして風は木気に配される。だから木気である疫病を滅するためには金気の力が必要となる。

さて、ここ数年台風の発生が少ないのは金克木の祭祀のせいではないかと思っている。金克木の祭祀は疫病を抑えるのが目的だが風全般をも克してしまう。だから風のかたまりである台風は日本に上陸できないのではないか。もし上陸しても各地で行われている金克木の祭祀によってたちまち撃墜されてしまうのだろう。

台風が九州から日本を縦断するコースをたどろろうとすれば、最初に九州の宗像大社、大宰府天満宮、宇佐八幡宮を通り抜けねばならない。そのあとは中国地方の厳島神社、出雲大社、吉備津彦神社と続き、畿内へ入れば円教寺、住吉大社、松尾大社、伏見稲荷大社、上賀茂下鴨神社、そして高野山と比叡山延暦寺が待ち構える。中部地方から北へかけても続々と金克木の祭祀は行われており台風の北上は難しかろう。

もうひとつ思うのは、金気が強すぎて水気が増えることだ。ここ数年、台風は少ないわりに夏の雨が長いのは金克木の祭祀の副作用ではないか。金気は水気を生むからだ。しばらくは大雨に注意したほうがよいだろう。

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2022年7月15日 (金)

旧乾邸のディテール(14)

連載が長くなった。最後にタイルを紹介して終わろう。

内玄関の布目のモザイクタイル。この大きさの布目タイルは珍しい。表面が少し膨らんでいるので部分的に光を反射して光る。緑色の釉薬が白っぽく窯変したものと混ぜ貼りされていて深い表情を得ている。こうした色むらは長い時間をかけてこうなったように錯覚させる。その錯覚を利用した「時間を封じ込めた」表現でもあるだろう。

背面階段の白タイルはつや消しになっていて光らない。このタイルも珍しい。ピカピカ光らないのだが白さが光を集めて少し肌色のさしたタイル面全体が優しく発光している。

Img_3303内玄関
Img_3293背面階段
2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年7月14日 (木)

旧乾邸のディテール(13)

階段ホールの天井の飾り。梁を現しにするのはスパニッシュコロニアルスタイルの常套手段だが、梁下にこのような飾りを取り付けるのは珍しい。青銅の打ちだし細工に見えるが、それをブドウ紋様と花模様を交互にとりつけている。よく見ると花柄に五弁と八弁がある。まさか木気(8)を土用(5)でいや増すつもりだろうか。ともかく芸が細かい。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉
 

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2022年7月13日 (水)

旧乾邸のディテール(12)

ゲストルームの天井飾りをどうやって作ったのか。2枚目の写真にパネルのつなぎ目が見えるので、パネルに分解してつくったものを現場で組み立てていることは間違いない。

壁際の松ぼっくり模様は木目が見えているので木を彫刻して作っている。ではその内側のブドウ模様も同じ木製かと言えばそうでもない。4枚目の写真のように表面のひび割れがランダムなので、この部分はプラスターの型押しではないか。

同じ渡辺が設計した綿業会館の天井飾りは木製であると説明していたが、左官さんによる型押しのようにも見えた。一方、同時代の東華菜館の天井飾りはパネルの継ぎ目が見えるので木製パネルと思われる。このあたりの正解は修理報告書にかかれているのだろうか。

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Img_3281パネルの継ぎ目
Img_3277壁際は木製
Img_3279ひび割れがランダム
2022.05.19、神戸市東灘区住吉 

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2022年7月12日 (火)

旧乾邸のディテール(11)

1枚目はゲストルームの窓、2枚目は玄関ホールの窓だ。いずれも天井ぎりぎりまで窓にしている。こうすることでて天井を明るくしている。この建物はどの部屋も窓を高く取ることでクラシックな見かけとはうらはらに明るく近代的な美しさを得ている。これまで渡辺節を中世主義者だと思っていたが、ここには中世的な暗がりはみじんも無い。そういえば自泉会館も綿業会館も明るくかったかも知れない。これまで先入観で目がくもっていたようだ。渡辺節をもう一度見直さねば。

このゲストルームの大窓の下は開け放して庭と視線の行き来ができるようになっている。パーティをしたときに内外の一体感をもたせるための工夫だろう。こうした横長の窓も古典主義にはないモダンなデザインだ。見逃さないように。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉 

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2022年7月11日 (月)

神戸税関をスケッチした

前からスケッチしたかった。学生たちと神戸へ行ったので見学コースを抜けてスケッチした。角の丸いところが難しくてゆがんでいる。ゆがんでいるけれど学生たちは「すごーい」と言ってくれる。考えてみればともっとゆがんでもよかった。また今度スケッチしたい。武田の弟分である大熊喜邦の作品。

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2022.07.10/ヴァフアール紙粗目F6、グラフィックペン0.5、固形透明水彩 /神戸税関

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2022年7月10日 (日)

旧乾邸のディテール(10)

古い洗面照明器具が残っていた。最初のは寝室の洗面で古いタイプの蛍光灯かと思うがよく分からない。壁面を白い大理石で仕上げて光がよく反射するようにしている。ふたつめはダンスホールのトイレで両側に電球をつけたタイプ。左右に配置して顔に影が落ちないようにしている。こうした器具が残っているのは珍しい。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉 

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2022年7月 9日 (土)

旧乾邸のディテール(9)

和室の小上がりの暖房用ラジエーターのグリルが青海波だった。汽船会社だから波模様なのだ。伝統的な和風図案であるが、横長の透かし彫りにするとモダンな感じがする。これはそれを狙ってデザインしているのだろう。渡辺のモダンデザインはアールデコだと思う。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉 

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2022年7月 8日 (金)

旧乾邸のディテール(8)

ドアの表面を寄せ木風に模様貼りして中央に菱形のレリーフをはめ込んでいる。なんとモダンなデザインだろう。上部の楕円はもとは欄間だったと思う。サンドブラストのガラスがはまっていたのではないか。

断っておくがわたしが驚いているのは渡辺がモダンデザインをしたことではない。一見クラシックな乾邸のそこここにモダンデザインが混ざり込んでいることに驚いている。これはほぼ同時期の自泉会館には見られないことで旧乾邸の一大特色であろう。

このドアなど見ていると客船の内装を思い起こしてしまう。様式とモダンの混淆は艤装でまず始まって、その後で建築へ戻ってくるのかも知れない。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉 

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2022年7月 7日 (木)

旧乾邸のディテール(7)

3階のダンスルーム。あまりにモダン過ぎて本当に当初からこうだったのか自信がない。天井の間接照明は照明器具がダンスの邪魔にならないようにするための工夫だろう。窓サッシュが天井まで達しているのですっきりとしたモダンデザインになっている。

壁際の大理石のベンチシートはシンプルなモダンデザインだが、その足元に
暖房用ラジエータを仕込んだ親切設計だ。その上の照明を仕込んだガラス窓のサンドブラストは波がしらをかたどっていて、ここが汽船会社のダンスホールであることを示している。

乾汽船のことをよく知らないのだが、外国航路の客船をもっていたのではないか。先に紹介したゴム床のパーツが小さいのは湾曲した船室の床によく馴染ませるためかもしれない。乾邸は客船の内装を積極的に取り入れることで船会社であることをアピールしているように見える。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年7月 6日 (水)

旧乾邸のディテール(6)

玄関を入ったところの階段ホールにはモザイク風のゴム製床材が張られていた。こんなの初めて見た。いまもってほとんど色あせていない。本当に当時にものなのだろうか。とてもモダンである。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年7月 5日 (火)

中之島図書館のあっさり感

図書館の目の前に大きな市役所が建っているために、正面からしみじみ見たことが無かった。今回3時間ほどながめていて、今までこの建物のことを勘違いしていたことがよく分かったのでメモしておく。

結論から言えば、古典主義建築としてはいろいろ省略されている。そのために古典主義のこてこて感が薄れてあっさりとした清楚な建築に仕上がっているのだ。

省略のもっとも目立つのは三角形の三角形の破風にアカンサスの屋根飾りが無いことだ。これが無いのは珍しい。わたしは最初、壊れて無くなったのかと思ったが建設当初の写真を見ても無い。屋根飾りが無いために耳のないネコのようになっている。これはこの建物のもっとも大きな特徴と言っても過言ではなかろう。

もうひとつあげれば柱にタテの筋がない。コリント式の場合は柱に筋が入るのが正式だ。日本の近代建築の場合、筋を省略することはよく行われる。ここは建築家の考え次第なわけだ。筋が無ければ影が入らずあっさり感が増す。設計者の野口はやはりこの建物をあっさりとした清楚なものに仕上げたかったのだろう。

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2022.07.02、大阪府立中之島図書館
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2022年7月 4日 (月)

中之島図書館でスケッチ教室を開いた

朝から気温がうなぎ上りなので、日陰をもとめて図書館前へやってきた。市役所の玄関ポーチが風通しもよくて気持ちよくスケッチできた。スケッチ教室始まったばかりだけど、それぞれ個性化の方向が見えて興味深い。

カルチャーハウス香里園
https://culture-house.com/course-type/606719216d23ff001b4c4088

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2022.07.02、大阪市北区中之島、大阪府立図書館

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2022年7月 3日 (日)

中之島図書館をスケッチした

思っていたより描きやすかった。もっと晦渋な建物だと勘違いしていた。描いてみたらシンプルでいかめしさのない優しい建物だと分かった。

陰で描いたのでさほど暑くは無かったが腹が減って力が出ない。そんな脱力系のスケッチになった。F6の大きな画面には慣れた気がする。案外描きやすい気もする。これで1時間くらい。

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2022.06.04/ヴァフアール紙粗目F6、グラフィックペン0.5、固形透明水彩 /大阪市北区、大阪府立中之島図書館

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2022年7月 2日 (土)

旧乾邸のディテール(5)

真ちゅう製の飾り格子や階段手摺の繊細さが意外だった。玄関回廊が中世風の重いテイストなのに、室内は近代的な軽さと明るさを兼ね備える。その軽さを金属格子が演出している。同じころの渡辺の作品である自泉会館にもこうした金属格子があったから、渡辺の手法のひとつなのだろう。

こうやって写真を見直しても作りかたがよく分からない。基本的に叩いたり伸ばしたりする鍛金なのだろう。真鍮のような堅そうな素材をよく自在に扱えるものだ。部分的に削り出しもしているようだが、鋳造のように見えるところもある。真鍮で鋳造ができるのだろうか。いずれにしても大阪の優れた金属加工職人の作品であることは間違いない。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年7月 1日 (金)

旧乾邸のディテール(4)

中世風な回廊から一歩なかへ入るとモダンデザインに包まれていて面くらった。ひょっとして戦後の改装かと見まごうようなモダンさであった。

緑色の壁面は釉薬掛け布目ボーダータイル貼りで、ちょうどよい色むらが全体をタペストリーのように仕上げている。乾邸の特徴のひとつはこの見事なタイル遣いにあるだろう。そのタイル壁の装飾らしい装飾はなく、ここだけ見ればモダンスタイルの建物だと思ってしまう。

床はシンプルな大理石の模様貼りで、これもコルビュジェを思わせるほどのモダンデザインだ。とくに中央の小判型の模様の入れ方がいかにも大胆で、マチスをフォービズムを思わせる。

照明器具は古いのか新しいのか分からないが、ガラス玉で覆った特注の小型シャンデリアで、その光が白い天井に映って美しい。こういうところもモダンだと思った。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

 

 

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