2022年6月 3日 (金)

半田の旧カブトビール工場(4)

ドイツ民家風のハーフチンバーが異国情緒を盛り立てている。この建物の一番の魅力である。

斜材と横材とをボルトで締めている。実際のハーフチンバーでは込み栓で固定するが、それを金物で代用している。このハーフチンバーは随所に金物を使用していることが目をひく。

建物が竣工したのは明治31年(1998)だった。明治24年の濃尾震災から6年後である。直下型地震に西洋流のレンガ造が弱いことが明確になり、このあとレンガ壁内に平鋼を仕込んだ耐震レンガ造が普及する。このビール工場の金物を使ったハーフチンバーや断熱層をはさんだレンガ造も耐震性の向上をテーマとしていたように見える。

さて、このハーフチンバー部分はラベル貼りなど出荷のための作業場だったそうだ。このまえにトロッコ線路があり、おそらく工場に配備された小型機関車がビールを積んで半田駅まで運んだのだろう。

なぜここだけがハーフチンバーなのか。おそらく将来的な増改築に備えたものだろう。もちろんレンガ造でも増改築はできるが、ハーフチンバーなら解体しても木材部分と金物は再利用可能だ。これは増改築の自由な一種のプレハブ工法なのである。

半田のカブトビールに先立つ明治27年(1894)に妻木は広島議事堂を作っている。日清戦争の大本営が広島に開かれたので国会議事堂を臨時に設けたものだ。これはわずか20日間で竣工させたことで有名だ。これはレンガは使っていないがハーフチンバーだった。

寸法を統一した木材を金物を使って組み立てるプレハブ工法だったらしい。この半田のビール工場と同じ工法だったのではないか。妻木は工期を短縮しながら耐震性を向上させ、しかも増改築に対応できるシステムを考えていたのではないか、と私は思う。

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2022.04.24、愛知県半田市、半田赤レンガ建物

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