理想的な建築・聖ヨハネ教会(9)
そもそも屋根窓の付け根は正三角形に見えるのだが、測ってみると正三角形ではなかった。ただ写真だと誤差が大きいので本当はどうか分からない。どこかに断面図が無いだろうかとさがしたところ国立科学博物館のアーカイブに聖ヨハネの断面図があった。
転載できないので結果だけ述べると大屋根の角度は52度だった。55度なら正三角形の四角錐になるのだが、それよりほんの少し低い。55度にするつもりは最初から無かったわけだ。それではどうやって屋根の角度を決めたのか。実は角度52度の四角錐がある。それはピラミッドだ。
キリスト教の象徴のひとつに三角形のなかに目を描くものがある。プロビデンスの目だ。三角形は天と地と精霊の三位一体を示し目は神のまなざしを象徴するという。プロビデンスとは神の意思という意味だそうだ。
三角形をピラミッドにしたものもありピラミッドアイと呼ばれる。これもプロビデンスの目の一種でドル紙幣に描かれていることで有名だ。フリーメイソンが使うシンボルのひとつでもある。聖ヨハネ教会とフリーメイソンとはまったく関係が無い。ただしフリーメイソンは匿名の互助組織だから個人的な献金があったのかも知れない。
最初のご紹介した礼拝堂出入口上の三角形の破風飾りも52度だった。この珍しい飾りもプロビデンスの目なのだろう。寄付をくださった匿名信者に向けた感謝のメッセージのようにも見える。屋根の52度はプロビデンスの目を設計の基本とした結果であるというのが今のところのわたしの結論である。
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