2022年1月 8日 (土)

薬師寺の塔の謎を解く(4)薬師三尊という形式

さて、薬師寺の塔の風変りなかたちを易で読めば火と水であることが分かった。これを五行で読み直せば火克水であり金気のご本尊薬師如来を護る呪術であることを見た。実はこれは薬師三尊のありかたそのものだ。

というのは、易における火と水のイメージは太陽と月に置き換えられることができるからだ。すなわち薬師の脇侍である日光菩薩は火気、月光菩薩は水気ということになる。薬師三尊は金気を中心として左右に火克水の相克の呪術をまとう形式だったのである。
220106
日光菩薩と月光菩薩とはお姿がよく似ていて見分けがつかない。しかし易によって方位が決まっている。易による8つのイメージの方位配置は先天図と後天図の2通りある(これも陰陽なのだろう)。先天図を示す。
220106_20220106210101(風水の図表は南を上とするのが標準)

先天図によれば水は西に火は東に配置される。これも陰陽による配置だろう。陽気である日は昇っていく東へ、陰気である月は沈んでいく西へ配置しているわけだ。これが入れ替わることはまずない。したがって南面した薬師三尊の場合ならば、薬師と向き合ったとき右側(東側)が日光菩薩、左側(西側)が月光菩薩となる。

元来、日本古代の塔は神そのものと考えられてきた。塔の中心にある柱がご神体もしくは依り代というわけだ。これは四天王寺型と呼ばれる寺院配置で釈迦の墓所である塔を寺院の中心に据える。ところが薬師寺では塔が東西ふたつに分かれている。つまり塔はご神体でも依り代でもない。塔は中央の薬師を護るための脇侍なのだ。平城京の造営に当たって適応された風水理論は、古来の信仰の枠組みから大きくはみ出していると言わざるをえない。

さて、薬師寺の平城京内における位置についても火と水の呪術は適用されている。この件は次回に。

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