2022年1月 3日 (月)

コンクリート寺院の伏見のかましきさん

HPによれば昭和53年(1978)竣工。小さいながらもコンクリート寺院の佳作である。深い軒を支えるはさみ梁のデザインが丹下健三の香川県庁舎(1958)と同じだ。設計者など詳細不詳である。

いわずもがなだが、どこが優れているのか説明しておく。コンクリート寺院はもっと評価されてよいと思うからだ。

屋上を平にした場合に防水層の縁を押さえるために高さ30センチほどのコンクリートの小壁が立ち上がる(パラペットという)。それをはさみ梁の上の軒桁のように見せた処理がうまい。

また、垂木を模した軒下の細かいリブが、無装飾のために大味になりがちなコンクリート寺院のファサードを引き締めている。

さらに、壁上のランマ窓が、暗く閉鎖的になりがちなコンクリート寺院の壁を明るく軽やかなものに変えている。

そして、床の低さと前面の回廊は本堂の親しみやすさを作り出している。

それでいて水平と垂直を強調したデザインが祈りの場にふさわしい正しさと静けさを印象づけてくれる。このデザインならば、おそらく設計者は本堂前を水面として構想していたろう。

ちなみに地獄の釜茹での身代わりとなる釜敷地蔵を祀ることから地元では「かましきさん」として呼ばれて親しまれている。
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2026.02.10、京都市伏見区

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