2022年1月10日 (月)

薬師寺の塔の謎を解く(6)観音の聖地・大安寺

大安寺の住所を確かめてみよう。図のように大安寺は6条東4坊に立地する。6は水気、4は金気である。つまり金生水の相生の呪術が成り立つ。水が増えて喜ぶのは木気の神様だ。それは観音であろう。大安寺のご本尊が観音であればこの住所表示はふさわしい。わたしはこのときまで大安寺のご本尊のことを知らなかった。さっそく検索してみるとご本尊は天平時代に造られた十一面観音菩薩であった。推理通り、と思った。

しかし、ご本尊は当初釈迦如来であったという。その釈迦像は1596年の慶長伏見地震で損壊したので、ご本尊を十一面観音へ変えたのだそうだ。釈迦が木気である事例をわたしは知らない。しかし他の状況証拠から考えて大安寺が木気であることは動かないように思う。
220106_20220107111701平城京図

状況証拠についてメモしておく。

まず塔の形式が木気を喜ばせるものである。ここにはふたつの七重の塔があった。7は火を示す数字だ。火は金気を克す。木気は金気を嫌うので火気を供えれば木気の神様は喜ぶのだ。塔には火克金の相克の呪術がかけられている。

もうひとつは境内の東北の角に古墳があることだ。それが乳房のかたちをしていたことから大安寺は乳がん封じの寺として信仰されている。古墳に乳房のイメージを重ねることは、ここが子安の聖地であることを示すのだろう。子安とは安産と乳児の健康を祈ることだ。

木気は四季でいえば生命の芽生える春に相当する。春は木気の季節であり生命誕生を象徴する。子安の聖地であるとは、すなわちここが木気の聖地でもあると言っていることと等しい。大安寺の安の字は子安を示すのかも知れない。

易の8つのイメージは方角にも配当される。先天図によれば東北には雷が配当される。雷は木気であり妊娠を象徴するイメージでもある。一方、古墳は土のかたまりなので土気である。つまり境内の雷の方角に古墳のあるレイアウトは、木気を土用によって盛んにする相生の呪術を成す。

以上の状況証拠から、大安寺は木気の神様をまつる子安の聖地であると推定できる。
220108大安寺の構成
さて、薬師寺と大安寺のどちらも数字のマジックで護られていることが分かった。当時は神仏習合の進んでいた時代である。薬師寺の薬師と習合していたのは龍田大神であることは先に見た。では大安寺の釈迦如来に習合する神はどなたであろうか。それは次回に。

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