2021年12月 3日 (金)

武田的ディテール(51)下足入れの年代推定

以前も紹介したが、この下足入れは竣工当時のものかどうかは分からない。とりあえず戦前のものというのは分かる。なぜなら天板の下にモール(くり型)があるからだ。とてもシンプルでモダンな下足入れだが、モールがあるのだからいまだ様式主義の下で作られたことが分かる。戦後のものであれば、ここへわざわざモールを入れないだろう。

だからと言って竣工当時のものには見えない。なぜなら大正3年にしてはあっさりし過ぎているからだ。大正3年なら横長のフタになんらかの細工をすると思う。武田ならフタの下に指がかり用の三角形の刻みを入れたりするだろう。

したがって、この下足箱は竣工からしばらくたった昭和初期のものに見える。しかしながら武田っぽさにあふれている。武田っぽさの一番目はフタを横長にしたことだ。普通なら一足ずつフタを付けるだろう。横長にすることですっきりとしたデザインとなっている。

二つ目は下部の傘立てだ。ここへ傘立てを設けるという発想自体がおもしろい。傘立てと下足箱がこれほどきれいにまとまったデザインは他に見たことがない。

三つ目は傘立ての鉄部のデザインである。上部の横棒を2本添えにしたことがデザインに細やかな優しさを添えている。さらに真ん中の支柱がさりげなく下足箱を支えているのも秀逸だ。構造とデザインの自然な融合は武田っぽさの最たるものであろう。

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 2021.10.27、同志社女子大ジェームス館

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