武田的ディテール(52)岡崎公園の大鳥居問題
この鳥居は幾何学的で作られている。鳥居の内側が正方形になっていることは以前から気づいていた。そこで全体がどうなっているのか写真をもとに検討してみた。
方眼にあてはめてみれば鳥居の内側は4:4の正方形であることが分かる。それを敷衍すれば高さは5、巾は約8の方眼にうまく納まる。実は5:8は大鳥居の一般的の比率であるようだ。有名な安芸の宮島の海上大鳥居も5:8の比率なのだ。
おもしろいのは5:8が黄金比であることだ。黄金比は1,1,2,3,5,8,13…というフィボナッチ数の隣り合うふたつを近似値として使うことが多い。武田が2:3の比率を多用するのはそのためだと本人が言っていた。だから大鳥居の伝統的な比率が5:8の黄金比であることにも武田は気づいていたろうと私は思う。
この鳥居がそっけないとそしる向きもあるが、そっけなさは武田的ディテールの本領なので問題ない。問題はこの鳥居が大きすぎたことにある。武田の誤算はそこにあった。あまりにも大きすぎるため地上から見上げたときに5:8の比率に見えないのだ。おそらく1.5キロほど離れた青蓮院門前あたりからならばきれいな比率で見えることだろう。今度確かめてみよう。
最近のコメント