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2021年11月

2021年11月30日 (火)

武田的ディテール(49)旧京都市陳列館の門柱はなぜTの字なのか

京都市美術館のリニューアル工事にまぎれて無くなりはしないかと不安だったが、ちゃんと残ってよかった。これは武田五一の設計した京都市陳列所の門柱だ。門柱までデザインするのか、と思う向きもあろうが、見てのとおりの武田的ディテールである。

門柱の断面は正方形ではない。ということに最近気づいた。普通は四角い断面の石材から刻みだすので、断面が正方形でないというのは異例だ。なぜそうなっているのかといえばデザインに合わせたからだ。

ご覧のように正面の幅が側面の幅よりも広い。正面から見たときにTの字のように頭の部分が両側に突き出ている。その分だけ正面側が横に長いのだ。これは図面に寸法が入っていなければ石工さんも間違うだろう(たぶん石工は白川の内田鶴之助さんだろうけど)。こうやって写真だけ見ていても断面が正方形ではないとは気づかないだろう。

寸法を書き入れているということは柱頭の前部分の庇を削ってペタッとしたデザインにしたということだ。そのやりかたはセセッション的であって武田以外でも、たとえば同級生の片岡安なんぞもよくやる。でもだからと言って武田が手グセでこれを作っただけだとは思えない。武田は偏執的に謎の答えを用意しているからだ。

わたしもずっとこの謎を考えてきた。最初にこれを見つけたときからTの字だと気づいていたから20年以上考えてきたわけだ。で、先日久しぶりにこいつに会いに行って謎が解けた。これは陳列所(TINRETUSHO)の「T」ではないか。陳列所を英語で書けばShow Roomだが、これは英語ではなくヘボン式ローマ字の頭文字なのである。

弟子「先生、なぜTの字なんですか?」
武田「分からないかね、君。これはTINRETUSHOのTだよ」
弟子「なるほど! これは1本とられましたな」
一同「ははははは」

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2021.11.19、京都市岡崎公園、京都市京セラ美術館

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2021年11月29日 (月)

武田的ディテール(48)フォーチュンガーデンの丸タイル[続報]

既報のとおり丸型モザイクタイルなのだが、チョコレート色の縁取りラインはどうやって入れているのか確かめてきた。やっぱり1枚ずつ半分にカットしてつなぎ合わせている。これはモザイクタイルの場合よく使う手である。四角い普通のモザイクタイルの半分カットをわたしは旧明倫小学校の玄関で見たことがある。

旧明倫小学校のモザイクタイル http://www.tukitanu.net/2020/08/post-30e0da.html

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2021.11.19、京都市、フォーチュンガーデン(旧島津製作所本店)

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2021年11月28日 (日)

武田的ディテール(47)島津の謎の塔[真実編]

島津の斜め塔屋について進展があったのでメモしておきたい。

先日「モダン建築の京都展」を見てきたが、そのなかに旧島津製作所本店の竣工当時の説明書が展示されていた。そこに最上部の塔屋は「展望台」であり望遠鏡を備えると書かれていた。また、その下の部屋は休憩室だったそうだ。やはり屋上は一般に開放することを目的としていたわけである。

ほかに当時の写真をスライドショーにして見せていた。初めて見る写真ばかりで何度も繰り返し見た。そのなかに展望台の写真があり望遠鏡も写っていた。なんとそれは大型の天体望遠鏡だったのである。展望台とは星空を見るための展望台だったのだ。

ひょっとして天体望遠鏡を島津は販売していたのではないか。そう同行の山崎さんに話したところネットで調べてくださった。香川県の天体望遠鏡博物館のサイトにある講演録に当時島津製作所が天体望遠鏡を販売していたことが紹介されていた。ドイツのエミールブッシュ社製天体望遠鏡や国産の村上式天体望遠鏡を扱っていたそうである。スライドショーの写真に写っていたのはそのどちらかであろう。

それらの望遠鏡は1メートルほどの筒の手前から覗く構造である。したがって使用するには2メートルほどの余地が必要となる。島津の屋上塔屋が斜めなのは望遠鏡を扱うためのスペースを確保するのが目的だったのである。そして塔屋は望遠鏡の格納庫だったわけだ。

屋根がドーム型なのは天空を意識したデザインなのであろう。そしてわざわざ柱をラッパ型にしたのは宇宙から連想される未来的なイメージを表現したと考えられる。

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2021.06.23、京都市、フォーチュンガーデン(旧島津製作所本店)

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2021年11月27日 (土)

スケッチは2枚目がいい

大工大のスケッチ大会のとき、わたしは絵の具係なので学校前から動けない。そこでしかたなく目の前の風景を描くことにした。

1枚目は何を描いているのかよく分からない。とりとめのない風景のなかにこそ光る宝石はあると信じている。さて、どこに宝石があるのか。

2枚目は建物のすき間に着目している。最初はなんとなく描いていたもののなかに自分の描きたいものを見つけたわけだ。これが宝石である。宝石は2枚目で見つかることが多い。

3枚目は時間つぶしに描いた。2枚目よりもすき間をクローズアップしている。3枚目のほうが2枚目よりも何が描きたかったのかよく分かるな。

4枚目はスケッチタイム終了間際に学生さんが実演してほしいというので描いた。色塗りを入れて15分くらい。これも2枚目を描けば宝石が見つかるだろうが時間切れ。

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2021.11.25/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/大阪市、大阪工業大学梅田キャンパス

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2021年11月26日 (金)

大工大でスケッチ大会をした

大工大ビルの前で絵の具を開いた。だんだんと学生たちが集まってくる。絵の具をおもしろいと感じてくれたならうれしい。スケッチを楽しむ人がもっと増えてほしいと思う。

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2021.11.25、大阪茶屋町、大工大梅田キャンパス

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2021年11月24日 (水)

竹田の街並み

見た感じでは、2階の階高が高い町家は戦後建築だと思う。半分以上がそうだ。屋根にお城のようなシャチホコが載るのも戦後のものだろう。この町は戦後の一時期、通りの風景を一変させるほど栄えた時期があったということだ。おそらく生野銀山関係かと思うがよく分からない。いかなる生業があって、それがその後どう衰退したのか知りたい。

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2021.11.20/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県朝来市竹田

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2021年11月23日 (火)

旧木村酒造をスケッチした

いまはリニューアルされてホテル「EN」になっている。線路側は昔ながらの醸造所の風情が色濃い。踏切ごしにスケッチした。描いているうちに警報器が鳴って一両編成のあずき色の各停が通り過ぎるのも風情がある。竹田はよい町だ。

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2021.11.20/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県朝来市竹田

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2021年11月22日 (月)

5年前のスケッチと比べてみた

竹田には小さな流れに面した寺町が残っている。透明感のある清冽な流れで水音が心地よい。この門は以前にも描いたと思っていたが、描いたのは隣の門だった。

5年前のスケッチである。並べてみたけどあまり変化はない。流れの石垣の描きかたが一緒だ。緑の入れ方も同じだな。本当は5年前から変化しているはずだが、はがきサイズだと分かりにくいのかも知れない。

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2021.11.20/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県朝来市竹田

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2016.09.19/ワトソン紙ハガキサイズ、グラフィックペン0.3、固形透明水彩/兵庫県朝来市和田山町竹田

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2021年11月21日 (日)

養父市スケッチ教室で竹田へ行った

天空の城で有名な竹田でスケッチ教室。天気に恵まれ気持ちよくスケッチしてきた。写真は実演のようす。今回は斜め描きのコツをご紹介した。コツと言っても二点パースのことなのだが、パース通りに描くと画面がゆがむのであくまで参考という程度のコツである。実演のあとは各自題材を求めて町へ散る。町を歩きながらのスケッチの時間は2時間だったが、あっという間に過ぎた。とても楽しい。
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2021.11.20、兵庫県養父市和田山町竹田

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2021年11月20日 (土)

京都京セラ美術館をスケッチした

地下出入口の前階段状になっているのでスケッチするのにちょうどよい。お天気もよくてゆっくりスケッチできた。この美術館はでかいので正面エントランスまわりだけを描いたが、それでも建築の特徴がよく分かる。これで1時間くらい。

全体構成だけ見ればシンプルな古典的な様式建築だが、その枠からはみ出るようにあふれ出す装飾がアールヌーボーのギマールを思わせる。そういう感じはライトに似ているし、おそらくライトには日本建築はこんな風に見えていたのだろうと思う。
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2021.11.19/ヴァフアール紙粗目F3 、グラフィックペン0.3、固形透明水彩 /京都京セラ美術館

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2021年11月19日 (金)

三角大屋根の設計をしていたことを思い出した件

自分の作品を忘れていた。三角大屋根もっとやってみたい。

2013年「竜骨の家」 http://tanuki.la.coocan.jp/office/ryukotsu.html
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2021年11月17日 (水)

大学1年の課題を解いている

大学1年生の住宅設計演習を担当しているが、見本用の模型を作ろうと思いたった。そのための設計をしている。大好きなゴシック館にしようかと思ったが、それではあまりにもあれなのでバンガロー風にした。模型を作ったらまた報告する。

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2021.11.16/セクションペーパーA3、0.5シャーペンB

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2021年11月16日 (火)

三角形の大屋根の洋館を見つけた

1950ー60年代に見える。妻側にある6つの天井裏換気口の付け方がかっこいい。スイスのバンガロー建築に似ているが、どことなく茅葺民家のシルエットにも似ている。このころは和風の形を意識したデザインが流行ったような気がする。戦後の民芸運動の流れではないかと思う。三角形の大きい屋根の一部を折り上げて窓にするこの形はいつか私もやってみたい。

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2021.11.06、京都市左京区鹿ケ谷

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2021年11月15日 (月)

北山モザイクを見てきた

友人のモザイク作家・菅原真咲さんが参加していると聞いたので見てきた。北山通りのパン屋さんブリアンの店頭に飾られていた。透明感のあるさわやかな作品で店の雰囲気とよく合っていた。とてもよいと思う。北山モザイクは11月30日(火)まで。

北山モザイク モザイク作家が北山通り各所に作品を展示している
https://kitayama-mosaic.jimdofree.com/

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2021.11.10、京都北山通り、菅原真咲さん作品

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2021年11月13日 (土)

和中庵の象鼻

二度見した。目がある。鼻の先が丸くなっている。これは象だったのか。象鼻は日本建築のデザインで本来は象ではなく獏なのだが象にしか見えないので象鼻と言われている。この洋館は洋風でもなく和風でもないオリジナルディテールにあふれているところが楽しい。

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2021.11.06、京都市左京区鹿ケ谷、和中庵

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2021年11月12日 (金)

開かない点検口の謎を解く

手すりがあるのでこのままでは点検口を開くことができない。なぜこうなったのか推理してみる。

開けるときには手すりを取り外すことになっていると思われる。この点検口は二重壁の内部を見るためのものだとろう。ここは地下なので二重壁のなかに地下水が溜まるのだ。それは排水口から地下ピットに集められてポンプで排水される。

この点検口は排水口が詰まったときのための掃除用だろう。掃除のために点検口はこの高さでなければならなかった。そしてこの点検口はめったなことでは開けないわけだから、手すり取り外し方式となったと推理できる。

それにしてもこれでは悪目立ち過ぎではないか。そう思うのは一部の人間だけで大多数はなんとも思わないのだろうか。私ならステンレス扉にタイルを貼って目立たないようにすると思う。

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2021.11.10、京都市

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2021年11月10日 (水)

和中庵のバランスの良さ

和中庵の座敷から角のほうを見ると柱がほとんどない。ここへ来る前に田所さんに写真を見せてもらったがどうなっているのだろうと不思議に思った。現場へ来ることができたので確かめてみた。外から見ればよく分かる。母屋の屋根はさほど大きくない。大きいのは庇なのだ。庇は瓦を少なくして軽くしている。だから縁側の柱は少なくて済む。さらに見事に左右対称となっている。このバランスの良さが建物を強くしているわけだ。よくできている。こういう建築を作りたい。
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2021.11.06、京都市東山区「和中庵」

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2021年11月 9日 (火)

和中庵(和館)の土壁がきれいだった

和館の外壁は赤い土壁でとてもきれいだった。中塗り仕上げなのだと思うが、ざらっとした仕上げも表情があってよい。渡り廊下の垂れ壁が雲形になっていた。遊び心があっておもしろい。こうしたディテールは数寄屋風なのだが広間は長押のまわった端正な書院風だった。すっきりとしたモダンなようすでかっこよかった。こうした建築を作りたい。

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2021.11.06、京都市左京区鹿ケ谷「和中庵」

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2021年11月 8日 (月)

和中庵の折り上げ丸天井を見た

田所さんから和中庵(旧藤居彦四郎邸)を公開していると聞いたので行ってきた。工芸家具グループの創工会の展覧会が開かれており建物の写真を撮ってもよいというのでじっくり見せてもらった。洋館と和館のふたつがありどちらもよかった。

ここは25年ほど前に京都市の近代化遺産調査で実測をしたがすっかり忘れていた。洋館の内部がけっこう様式からはずれたオリジナルデザインなのがおもしろかった。2階の洋間に折り上げ丸天井があった。そういえば25年前に見たような気もする。左官さんの鮮やかなこてさばきで見事な三次曲面を描いていて美しかった。いいものを見せてもらった。

半円しかないのが不思議だ。2部屋を同時使用するときにシャンデリアがほぼ真ん中にくるようにしたのだろうか。これは謎だな。ちなみに「折り上げ丸天井」と言う用語はわたしが考えた。

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2021.11.06、京都市東山区、和中庵

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2021年11月 7日 (日)

堀川茶室へ行ってきた

京都建築専門学校の学祭ではいつも学生たちが堀川に茶室を建てる。今年は川の上にほけほけとした苫葺きの草庵ができあがっていた。竹を編んだ壁が東南アジア風で涼しげだ。わたしは中塗り仕上げの土壁のようすが良いと思う。お茶部が接待してくれるのでぜひ訪れてほしい。会期は本日11/7(日)まで。お昼ごろから開いている。場所は堀川丸太町下ル。

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2021.11.06、京都市堀川丸太町下ル

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2021年11月 5日 (金)

武田的ディテール(46)島津の謎の塔[解決編]

前村さんから島津の古い写真を見せていただいた。そのおかげで謎が解けたのでご紹介しておく。前村さんありがとう。

言わずもがなだが、これはあくまで推理であって裏付けがあるわけではない。誰かが証明してくださるとうれしいが、ほとんどの場合真相は分からないだろう。武田は証拠を残さないからだ(同時代を生きていたはずの教え子たちも武田の意図を理解していないことが多い)。

古写真で分かったことはふたつある。当初、塔の西側に階段があったことととバルコニーに手すりがめぐらされていたことだ。このことから分かるのはここが一般人の上がることのできる展望台だったということだ。そうであれば塔を45度振った理由はひとつ。そのほうがバルコニーが広く使えるからだろう。

メモ図を見てほしい。

普通ならば上図のように塔をまっすぐ配置する。わたしもそれ以外は考えつかないだろう。しかしこうするとバルコニー部分は細い縁側のようなものであまり広くない。ところが塔を斜めに置けば四方に三角形の余地ができて小さなテーブルくらいなら置くことができるようになる。

ここは五山の送り火を観る格好の場所となる。

左右の大文字を望むことのできるのはバルコニーの東北と西北の隅だが、三角形の余地を作っておけば、そこに人が溜まることができる。

涼やかな風に吹かれながら次第に大の文字型に炎が広がるさまを眺めるのはさぞ気持ちがよかったであろう。もともとここは送り火を眺めるための展望台として構想されたのだと私は思う。
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2021.11.05スケッチ

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2021年11月 4日 (木)

空間というあいまいな言葉

あれは留年2年目のころだったと思う。恩師から定義せずに術語を使うなと教えられた。術語とは「空間」や「都市」といったたぐいの言葉で、建築系の人間はありきたりに使う。定義がなければ「空間」を「ミカン」と言い換えても同じだ。「これは崇高なの空間だ」と言えば格好いいが、定義されていないのであれば「これは崇高なミカンだ」と言うくらい間抜けだ。暗い研究室でそう恩師は言った。なるほどなぁと学生だった私は思った。以来30数年間、わたしは「空間」という言葉を使っていない。

このブログ10年分を検索したところ「空間」を定義せずび使ったのは2回あった。まあ、定義すれば使っても良いのだが、それはいちいち面倒くさいし、「空間」は「場所」という言葉で代替することが多い。「都市」は「空間」よりは一般的な気がする。ブログ検索したところ「都市」はけっこう使っているのが分かった。

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2021年11月 2日 (火)

武田的ディテール(45)島津の謎の塔

旧島津製作所本社ビル(現フォーチュンガーデン)の屋上に展望台のようなものがある。正方形の平面がなぜか45度振って斜めに立っている。なぜこうなっているのか。デザイン的にこうしたという説があるが、斜めになったからと言ってデザイン的な効果があるとは思えない。わたしは構造的な理由かと思ったが、先日訪れてそれもないことが分かった。しかもこの展望台へは当初から階段がなかったそうだ。それも解せない。つまり展望台ではないということだ。いったいこれは何なのだろう。謎は深まるばかりである。

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2021.06.23、京都市、フォーチュンガーデン(旧島津製作所本店)

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2021年11月 1日 (月)

武田的ディテール(44)栄光館のテラコッタ(2)

栄光館のテラコッタのどこが麻の葉模様なのか確かめておきたい。ちなみに麻の葉模様は日本に古くからある図案のひとつで組子細工や唐紙など和風建築のディテールとしてよく見かけるデザインである。

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2021.10.27、京都市、同志社女子大栄光館

左がバルコニー壁手すりで右が玄関庇の先端部である。まずバルコニーのほうが分かりやすい。

麻の葉はスケッチにあるとおり正三角形をふたつ組み合わせた六芒星を基本としている。つまり六芒星のなかに十字を入れると麻の葉模様となる。

一方、武田の栄光館テラコッタは正方形をふたつ組み合わせた八芒星がベースだ。八芒星のなかに十字を入れると栄光館テラコッタとなる。だから作り方が麻の葉模様と同じなのだ。

そうやってできた模様を少しずらしたのが庇のテラコッタだ。どちらを先に考えたのか分からないが八芒星を基準にデザイン展開させたことが分かる。

実は栄光館の頂上には八角形の時計塔が載っている。いまは時計は失われてそこは瞑想室となっている。武田は栄光館のデザインを平面からディテールに至るまでは八角形をベースに展開させたわけだ。ひとつのテーマを繰り返すのも武田的ディテールの特徴である。
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