2021年7月 5日 (月)

天龍寺庭園の夢(4)

曹源(そうげん)池の名の由来は禅宗の法灯の系譜を示す。図示すると次のとおり。

 仏の世界 > ダルマ > 慧能(えのう) > 禅宗各派

夢窓国師はこの法灯系譜に王統を重ねたのだろうと思う。

 神々の世界 > 天皇家とりわけ亀山天皇 > 後醍醐天皇

したがって天龍寺庭園は後醍醐天皇こそ天皇家の正統であることを主張している。つまりいずれ後醍醐天皇の末裔が皇位に復帰することを暗示する。

ただし天龍寺を開いた北朝側がそのような
ことを微塵も思っていないはずなので、それはあくまでこの庭園のなかだけの話だ。夢窓国師は後醍醐天皇のもっとも喜びそうな主題を庭にこめた。だからこの庭は、天竜となった後醍醐天皇をなぐさめるための装置と化したわけだ。これが夢窓国師の公案だったとわたしは思う。

天龍寺庭園の書院に座して、このたてラインの利いた風景を眺めたのは足利尊氏だった。

彼はこの庭を見せられてどう思ったろうか。南朝こそ正統という主題は庭を見ればすぐに分かったろう。そのことを苦々しく思ったろうか。

それとも、後醍醐天皇と過ごした変革の日々を遠い夢のように思い出していただろうか。

Img_1260
2021.06.27、京都市、天龍寺庭園

|

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。