天龍寺庭園の夢(2)
池の名前は「曹源(そうげん)池」という。曹源の「曹」は曹渓という場所を指す。そこで慧能(えのう)という僧侶が禅を体系化した。そのおかげで禅宗はさまざまに枝分かれしながら盛んになった。まるで源流の水の一滴が大海を成すように。つまり曹源とは曹渓こそ禅宗の源流だというほどの意味なのだ。
曹源池をL字型に囲むように東側に大方丈、北側に書院がある。これは二条城の二ノ丸庭園の配置と同じだ。二ノ丸庭園は東側に大広間、北側に黒書院がある。家康の座所は黒書院である。つまり二ノ丸庭園は北側の黒書院から見るのが正面となる。
だからこの庭園も北側から見るのが正しいのではないか。と思って書院側から写真を撮ってみた(ちなみに天龍寺庭園は撮影可である)。北側から見渡す庭には途方もない奥行きが備わって吸い込まれるような景色となる。そしてここから眺めれば、この庭の意味も、なぜ曹源池という名前なのかも分かってしまう。これは夢窓国師の残した大いなる公案(禅問答)なのだろう。その謎解きは次回に。
2021.06.27、京都市、天龍寺庭園
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