大仏様は庇がおもしろい
東大寺南大門をスケッチして幾つかのことが分かったのでメモしておく。
まず、南大門の屋根の1層目と2層目の軒の出が同じである。こういうデザインは日本建築でほかに見たことがない。普通は1階のほうを大きく作る。それは法隆寺以来の日本建築の伝統だ。それがそうなっていないのはこの建築の最大の特徴だといってよい。なぜそうしたのかは分からない。理由についてはもう少し考えてみたい。
もうひとつ気づいたのは1層目の庇の取り付け方がシンプルであることだ。内側から見ると庇は壁に突き刺さっているだけだ。それが下から丸見えなのも珍しい。普通は軒裏はフェイクである化粧垂木が見えていてその上に本当の垂木がある。そのすきまには跳ね木が仕込んであるのだが大仏様に跳ね木はない。跳ね木のかわりに七手先斗栱が頬杖の役目をはたすという不思議な構造になっている。考え方が通常の日本建築とは根本的に違うのだ。とてもおもしろい。
実は法隆寺も同様の構造となっており、大仏様と関連があるのかないのか分からない。そのあたりも今後よく考えてみたい。
2020.12.08、東大寺南大門
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