2020年5月18日 (月)

【タイル大好き 22】表紙貼りバリ土タイル

モンドリアン風の構成主義パターンなので昭和初期かと思いきや洗い目地なので1960‐70年代あたりと推察。洗い目地とはタイルを覆い隠すほど目地材を塗って乾き始めたあたりで水洗いする手法。目地を手で掻かないので早く仕上がるがタイル表面が若干汚れるのが難点。水が引いて目地面が下がり深目地になるので見れば分かる。

バリ土タイルは粒子の荒い粘土を使った押し型成形の大量生産品。昭和初期から普及している。戦前コンクリート小学校の玄関床によく使われている。表面に色の違う斑点があるのが特徴。粒子が荒いので混ぜ合わせた土の色が残っているのだ。そこに風趣がある。ここの場合は白に黒い粒が浮いており白レンガタイルのようだ。なかなかよいタイルである。

パターンをよく見るとタテヨコに通る目地がある。これは表紙(おもてがみ)の大きさだ。モザイクタイルは目地が多いので滑り止めになり外部床に適している。1枚ずつ貼るのに手間がかかるので30センチ角くらいに並べたものの表に紙を貼ったシートを使う。これをモルタルを塗った床に押し当てて並べたあと表紙を濡らしてはがす。あとは洗い目地で仕上げる。

ここの場合のパターンは4種類あるがよく見れば1種類をアレンジしたようだ。

A 基本パターン
B Aの下1段と左1列を切って調整したもの
C Aの左1列を切って調整したもの
D Bと同じ(90度回転)

表紙は窯元か問屋で貼ってくれるがアレンジしたのは現場のタイル工なのかも知れない。床の大きさに合わせて調整は必要なのだが、適度に散らすことによって表紙貼りでありながら規則性を感じさせず1枚ずつ貼った乱貼りのように見せている。さすがである。

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2017.06.09、京都市東山区、長楽館(1909)

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