2020年5月16日 (土)

【タイル大好き 20】タイルの魔術師・大倉三郎

大倉三郎の師匠である武田五一はタイルの模様貼りの初期考案者のひとりだったが、大倉のそれはすでに魔術といってよいレベルにまで高まっている。

水平に貼られたボーダータイルは瓦土塀を模している。その上の輪違いタイルは瓦屋根で用いる飾り瓦を模している。いずれも和風の伝統的なデザインだ。ところがその上にモザイクタイルの不思議な乱貼りを載せた。

これはモンドリアンのロシア構成主義を思い起こさせる。建物の全体は東洋風モチーフで飾りながら、軒下、窓枠、袖壁頂部などよく見ないと気づかないようなところにヨーロッパ最先端のデザインを散りばめた。それはこの建物が最先端の西洋科学によって古代東洋を扱う図書館であることを示すのだろう。

決してこれ見よがしでなく、さりげなくデザインの隙間に忍ばせる鮮やかな手管こそ彼が魔術師と呼ばれる所以である。

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2017.07.16、京都市下京区、龍谷大学図書館(1936)

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