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2020年5月

2020年5月31日 (日)

釣りたぬき 小島漁港

久しぶりの釣行だ。向かったのはいつもの小島(こしま)漁港。天気が悪かったが小雨なので8時半に竿を出し3時のバスまでねばった。小物中心の波止釣りが楽しめてわたしは満足である。売店も開いていたので助かった。

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2020.05.31、大阪府岬町小島漁港

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(左)カサゴの稚魚。これはリリース。
(中)いつものクサフグ。3回ほどかかった。ギチギチ歯を鳴らして威嚇する。悪い顔をしている。
(右)ベラ。小さいがもらった。

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港内にいっぱいいるスズメダイ。エサ取りとして嫌われているが、こいつのおかげでボウズがない。わたしは南蛮漬けにするために持って帰る。骨は多いが淡白な白身で案外うまい。

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久しぶりにウミタナゴを釣った。サビキで上げたにしては型もよい。海中でペラペラエサ取りをしながら銀色をきらめかせていたのはおまえか。結構な数の魚群がいる。いつもは見かけないのでどこかからやってくるのだろうか。

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今回の釣果はウミタナゴ17.5センチ1尾、スズメダイ11.0‐13.0センチ9尾、サバ12.0センチ1尾、ベラ10.5センチ1尾、合計12尾だった。

海中に見えたのは30センチほどのウマヅラハギや40センチほどのボラなど。ここは透明度が高いので見ているだけでも楽しい。サバは15センチほどのものが浮きサビキで釣れていた。次回はわたしも投げてみようか。

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2020年5月30日 (土)

【タイル大好き 32】東京国立博物館の大理石モザイクタイル

ずっと見たいと思いこがれていたが3年前にようやく訪問できた。モザイクによるシルクロード柄なのだが、タイルを貼っていないところを掻き落としている。その凹凸による陰影が柔らかくて温かみのある表情を作り出しており、その背景の上に繊細で優美な図案が浮きあがっている。こうした手法が元々あったのだろうか。機会があればわたしもぜひ設計したいと思っている。

(東博は個人利用のための館内撮影はオッケーだったのでここにアップしても構わないだろう。タイル写真は現場で撮影許可をもらってもネットへアップするのを躊躇するものが多い。いずれこの原稿がどこかの版元で出版されるときが来れば許可を頂戴したうえでご紹介したいものがたくさんある)

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2017.04.14、東京国立博物館(1937、渡辺仁案、宮内省臨時帝室博物館営繕課設計)

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2020年5月29日 (金)

【タイル大好き 31】手描き初め付けタイル

藍色の釉薬が涼やかだ。1枚1枚少しずつ違う手描きならではの楽しさがある。この手のタイルは江戸時代からある。これは明治から大正にかけてのものに見える。タイル産業の初期作品のひとつだろう。わたしのスケッチ集のエディトリアルデザインをしてくださった山本剛史さんのセカンドハウスにあった。めっちゃ古いやん!と興奮した。

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2020.05.07、京都市(京北町)山本邸

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2020年5月28日 (木)

【タイル大好き 30】ボーダータイル貼りの門扉

タイル貼りの門扉を初めてみた。こんなことができると考えたこともなかった。塀と似た色合いなのでよくなじんで美しい。おそらく庭園管理用の門扉なのだろう。後補に見えるので最初からこうだったのか分からないが、それにしてもよく考えられている。

植木屋さん用の門扉は隠し扉にすることが多い。手入れはあくまで裏方なので人には見せないという考えがあるのだと思う。この門扉もそうした奥ゆかしいの作法に従ったのだろう。デザインの発想に伝統的なものへのリスペクトがある。そこが美しい。

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2017.05.19、神戸市、旧乾邸(渡辺節設計、1936)

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2020年5月27日 (水)

【タイル大好き 29】釉薬がけ割肌ボーダータイル

見た目は瓦積みの土塀なのだがよく見るとボーダータイルという優れものだ。水平に入った影のストライプが壁面を引き締めている。表面の粗面が水平ラインを柔らかくしており土色の釉薬が温かみを作り出している。

一度やりかえており新旧2種のタイルが混在している。最初のものが焼きが甘く凍害で割れたようだ。釉薬部分が割れてはがれても、それはそれでおもしろい。このタイルは凸型断面で頂部だけが粗面となっている。一度凸型に成形したあと頂部だけを粗面にしてたようだ。なかなか手間がかかっている。このタイルはいまでも既製品である。大正後半から昭和初期にかけての10年ほどのあいだに日本のタイルはほぼ完成している。

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2017.05.19、神戸市、旧乾邸(渡辺節設計、1936)

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2020年5月26日 (火)

【タイル大好き 28】湾曲布目タイルの寸法調整

焼きムラが美しい手焼きタイルだ。布目のテクスチャーも適度に異なって手作り感あふれる。モダンでシンプルな玄関ホールはえてして冷たい印象を見るものに与える。この地味なタイルがここを親しみ深いものにしているのだ。

よく見ると2枚の湾曲タイルを繋いでから焼いている。また、1枚の途中で切断して長さを調整している。こうやってタテ目地をぴったり突きつけて仕上げられているわけだ。普通は多少タテ目地も隙間があくのだが、これほどピッタリとくっつけた納まりはあまり見ない。そのおかげですっきり見せることに成功している。

不思議なのは長さ調整したのは成形段階だったこと。タイルは乾燥と焼成で1割縮む。成形段階でぴったり作っても焼きあがると長さはバラバラになるはずなのだ。いったいどうやったのだろう?

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2020.05.19、神戸市、御影公会堂(清水栄二設計、1933)

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2020年5月25日 (月)

【タイル大好き 27】昭和初期のデザインタイル

ジグザク模様が竹の網代編みのように軽やかで涼やかだ。横から見るとジグザグ模様の陰が水平ラインとして浮かび上がる。同じ色でありながら光の当たり方によって見え方が変わるのがおもしろい。昭和の御大礼のときの建築ラッシュのころのデザインタイルは手焼きのよさとアールデコ風のデザインセンスがよくなじんで良いものが多い。

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2017.05.19、神戸市、甲南漬資料館(旧高嶋邸、清水栄二設計1931)

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2020年5月22日 (金)

【タイル大好き 26】モザイクタイルのパッチワーク貼り

アールデコはクールになるきらいがあるが、これは温かみがあり親しみやすいパターンとなっている。青と緑の寒色の上に黄色とオレンジの暖色が浮き上がる立体的なデザインとなっている。よく見れば12×12のマス目で考えていることが分かる。部分は複雑なのに離れてみれば織物パターンのようなリズミカルな楽しさがある。とても頭のいいデザインだ。

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2017.05.19、神戸市、甲南漬資料館(旧高嶋邸、清水栄二設計1931)

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2020年5月21日 (木)

【タイル大好き 25】ターコイズブルーのマジョリカタイル

この風呂場にはマジョリカ焼き風のボーダータイルもあった。独特のターコイズブルーが美しい。岡崎さんのFBで見かけるようなタイルだ。くさり模様の型押しのなかに釉薬をさして作るのだろうか。

岡崎さんのFB「マジョリカタイル」

そういえば小径さんが淡路島のタイルメーカー「ダントー」がマジョリカタイルを焼いていたと言っていたのを思い出した。ダントーのホームページに参考資料があったのでリンクしておく。

ダントーのマジョリカタイル

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2017.05.25、兵庫県川西市、川西氏郷土館(旧平康家住宅)

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2020年5月20日 (水)

【タイル大好き 24】浴室用の粗面タイル(既製品)

白黒ツートンのシンプルさが清々しい。1925年代後半のアールデコの色使いだ。きっちりはめ込まれているので現場で角を切ったのではなく最初から八角形の既製品なのだろう。

年代推定。建物の竣工は大正中後期(1916‐1926年)なのでそのころのタイルかもしれないが見た感じは1930年前後。バリ土を使った粗面タイルなら、なおさら昭和に入ってからだと思う。以上。

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2017.05.25、兵庫県川西市、川西氏郷土館(旧平康家住宅、大正中後期)

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2020年5月19日 (火)

【タイル大好き 23】武田五一の創作タイル

とてもきれいな群青色の陶器質タイルだ。こんな色はほかでは見たことがない。夢二カフェにあった。暖炉は部屋ごとにデザインが違うので、武田が特注したのだろう。施主は五条の窯元なので自家製かもしれない。武田五一の追っかけとしてひとこと言っておくが、彼はタイルの国産化に尽力したひとりだ。忘れないように。

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2017.06.09、京都市東山区、五龍閣「夢二カフェ」

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2020年5月18日 (月)

【タイル大好き 22】表紙貼りバリ土タイル

モンドリアン風の構成主義パターンなので昭和初期かと思いきや洗い目地なので1960‐70年代あたりと推察。洗い目地とはタイルを覆い隠すほど目地材を塗って乾き始めたあたりで水洗いする手法。目地を手で掻かないので早く仕上がるがタイル表面が若干汚れるのが難点。水が引いて目地面が下がり深目地になるので見れば分かる。

バリ土タイルは粒子の荒い粘土を使った押し型成形の大量生産品。昭和初期から普及している。戦前コンクリート小学校の玄関床によく使われている。表面に色の違う斑点があるのが特徴。粒子が荒いので混ぜ合わせた土の色が残っているのだ。そこに風趣がある。ここの場合は白に黒い粒が浮いており白レンガタイルのようだ。なかなかよいタイルである。

パターンをよく見るとタテヨコに通る目地がある。これは表紙(おもてがみ)の大きさだ。モザイクタイルは目地が多いので滑り止めになり外部床に適している。1枚ずつ貼るのに手間がかかるので30センチ角くらいに並べたものの表に紙を貼ったシートを使う。これをモルタルを塗った床に押し当てて並べたあと表紙を濡らしてはがす。あとは洗い目地で仕上げる。

ここの場合のパターンは4種類あるがよく見れば1種類をアレンジしたようだ。

A 基本パターン
B Aの下1段と左1列を切って調整したもの
C Aの左1列を切って調整したもの
D Bと同じ(90度回転)

表紙は窯元か問屋で貼ってくれるがアレンジしたのは現場のタイル工なのかも知れない。床の大きさに合わせて調整は必要なのだが、適度に散らすことによって表紙貼りでありながら規則性を感じさせず1枚ずつ貼った乱貼りのように見せている。さすがである。

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2017.06.09、京都市東山区、長楽館(1909)

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2020年5月17日 (日)

【タイル大好き 21】ガーディナーの花柄貼り

パッチワークのようで親しみやすい花柄模様だ。ガーディナーは明治13年22歳のとき聖公会の伝道のために来日し立教学校の校舎を設計してその校長となった。日本の子女のために半生をささげた教育者だった。この花柄を見ていると優しい先生だったろうことがよく伝わるではないか。

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2017.06.09、京都市東山区、長楽館(1909)

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2020年5月16日 (土)

【タイル大好き 20】タイルの魔術師・大倉三郎

大倉三郎の師匠である武田五一はタイルの模様貼りの初期考案者のひとりだったが、大倉のそれはすでに魔術といってよいレベルにまで高まっている。

水平に貼られたボーダータイルは瓦土塀を模している。その上の輪違いタイルは瓦屋根で用いる飾り瓦を模している。いずれも和風の伝統的なデザインだ。ところがその上にモザイクタイルの不思議な乱貼りを載せた。

これはモンドリアンのロシア構成主義を思い起こさせる。建物の全体は東洋風モチーフで飾りながら、軒下、窓枠、袖壁頂部などよく見ないと気づかないようなところにヨーロッパ最先端のデザインを散りばめた。それはこの建物が最先端の西洋科学によって古代東洋を扱う図書館であることを示すのだろう。

決してこれ見よがしでなく、さりげなくデザインの隙間に忍ばせる鮮やかな手管こそ彼が魔術師と呼ばれる所以である。

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2017.07.16、京都市下京区、龍谷大学図書館(1936)

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2020年5月15日 (金)

【タイル大好き 19】緑青色の釉薬タイル

延暦寺駅で最初に目を奪われたのがこの緑青(ろくしょう)色のタイルだ。表面に白っぽい斑点を散らせて表情に深みを出している。まるでエメラルドグリーンの海底を薄い膜を通して眺めるような静けさと揺らぎを感じる。これほどのタイルを私は見たことがなかった。

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2017.07.21、滋賀県大津市、ケーブル延暦寺駅

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2020年5月14日 (木)

【タイル大好き 18】延暦寺駅の数珠型タイル

見たことのないタイルだ。梁型の角などにライン状に入っている(内装写真参照)。こうやって角のラインを強調することで線描きのパースのように見えて立体感が消失する。立体感とは面ごとの陰影の濃淡で認識される。その境目にラインが入ることで陰影の濃淡が分かりづらくなり立体感をつかみにくくなるのだ。

これはウイーン分離派やユーゲントシュテールがよく使う設計手法だ。きのう述べた床タイルの二次元的表現ともあいまって気持ちのいい分離派世界を実現させている。

石田純一郎さんによれば、これはビード繰り出し状装飾というらしい。ビードはbeadでーズのことだ。延暦寺にちなんで数珠をモチーフにしたと説明板にあった。さもありなん。

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2017.07.21、滋賀県大津市、ケーブル延暦寺駅

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2020年5月13日 (水)

【タイル大好き 17】雪国の粗面タイル

市松(いちま)模様が美しい。古くなって彩度が落ちた感じもよい。

反射光がにぶいのは粗面だからだ。ザラザラしているわけではないが滑り止めに役立つ程度に表面は荒い。ここは比叡山の頂上近くで雪深い地域だ。雪でも滑らないようにという配慮だろう。粗面なので汚れるのも早い。選ばれた色がにぶいのも、そのことを見越したからだろう。目地まわりの破損は凍害だ。100年使くたってもこの程度の破損ですんでいるのは素材がよく焼しめられていることの証左だ。

とくに注意したいのは目地が細いことだ。通常の半分もない。これは格子状の市松模様を際立たせたいからに他ならない。もし目地が太いと市松模様がぼやけていただろう。こうやってピタッとくっつけることでトランプの背模様のような2次元的な雰囲気を作り出している。ひょっとすると根本中堂の石敷きをイメージしたのかもしれない。石敷きだと目地はほぼ無いからこの床模様に似るだろう。

素材の選びかた、色の決め方、目地のとりかた、どれをとってもよく行き届いた設計と言わねばならない。

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2017.07.21、滋賀県大津市、ケーブル延暦寺駅(1927)

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2020年5月12日 (火)

【タイル大好き 16】本野精吾の手焼きタイル

ちょっと変わったタイルだ。あまり見たことがない。表面が手でこねたようにペタペタしているので反射光がぬめるように光る。形も正方形ではなく歪みが大きい。色にはこんがり焼けたタイコ饅頭のような温かみがある。そう、形がいびつなことも、表面がペタペタしていることも温かみに通じている。ヴォーリズが爆裂レンガを使うように本野にもいびつなタイルを受け入れる温かさがある。

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2017.09.23、京都市山科区、栗原邸

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2020年5月11日 (月)

【タイル大好き 15】京大時計台のテラコッタ

何の形なのだろう。ライトの影響なのか? それともインドイスラム様式なのか? 大倉三郎あたりが考えたのだろうがさっぱり分からない。ザクロのように十字の割れ目から中がのぞく。周囲は若葉が飾る。目が離せなくなるような得体の知れない存在感がある。似ているとすれば19世紀末のビアズリーだな。

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2017.10.04、京大時計台記念館

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2020年5月10日 (日)

【タイル大好き 14】タイルのネジリ柱

どうやって作ったのか今もってよく分からない。1960年代くらいの文化アパートの玄関を飾っていた。濃緑の長方形モザイクタイルを基調に黄色と白を混ぜてアクセントにしている。わずかに目地幅を変えることで三次元曲面貼りを実現した。まるで大きな蛇が巻き付いだような活き活きとしてダイナミックな作品だ。大阪タイル職人の神技のひとつである。

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2009.02.25、大阪市東住吉区北田辺

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2020年5月 9日 (土)

【タイル大好き 13】大和文華館の磁器タイル

 なまこ壁風の意匠は知っていたが、それがこんな小さなタイルだったとは知らなかった。測ってないが3センチ角くらいだったと思う。角が少し丸いやつで白いのだったら70年代のビルでよく見かける。通常であればタイルを貼るときには目地をとる。こんな風に突きつけで仕上げるのは初めて見た。わたしだったらグレーの目地材で目地を入れるだろう。ひょっとするとグレーが混じるのがいやだったのか。それなら大判タイルで仕上げればよいのではないのか。60‐70年代の建築家のこだわりは意味が分からないことがままある。

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2017.10.15、大和文華館

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豚ミンチとジャガイモの包み焼き

最近コストコで肉を買うのが我が家の流行だ。コストコは単価は安いが量が多い。ミンチも量が多かったが味はよろしい。豚肉の旨みがジャガイモによく染み入ってうまい。

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2020年5月 8日 (金)

スケッチライブ3回目 ホタルイカ

3回目はホタルイカを描いた。昔描いたことがあるので簡単かと思ったが、当時と絵が変わっているのでどうなるのか分からないまま見切り発車で描いている。スケッチはアドリブだ。

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スケッチライブ 2020.05.08 ホタルイカ https://youtu.be/Wgf61GyVWco


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2020年5月 7日 (木)

【タイル大好き 12】大倉三郎のタイル飾り貼り

武田五一の京大時計台を後ろからそっと抱くように建つ大倉三郎設計の法経済学部校舎は見どころが多い。

タイルの飾り貼りもそのひとつで、たとえば写真のような不思議な飾り貼りがある。ほとんど目立たなくてお公家さんの薄い描き眉毛のようだ。それでも他がヨコ貼りでしかも深目地のため横ラインに影が落ち水平線が強調されるのに対し、窓上はタテ貼りなのでタテに影が落ちる。その微妙な表情の違いを楽しんでいるのだろう。

とくに飾り貼り部分の角を正方形タイルで押さえたため角が目立たなくなり、タテヨコの違いの境目があいまいになってうすぼんやりとした表情となった。どこまで狙っているのかは分からない。

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2017.10.26、京大法経済学部本部(大倉三郎設計)

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2020年5月 6日 (水)

【タイル大好き 11】玄関ホールのモザイクタイル

壁タイルの一部分だけモザイクタイルとなっている。たぶんここにはヒーターがあったのだろう。濡れたコートを乾かすためのための温水パネルヒーターか電熱ヒーターのようなものだと思う。設備が悪目立ちしないようにここだけタイルを変えたというわけだ。行き届いた丁寧なデザインである。

白いはずのモザイクタイルが赤茶に変色している。これはタバコのヤニだろう。鉛釉タイルの赤が茶色っぽいのもそのためだったのだ。洗えばもっと深みのある赤になるはずだ。でもヤニを取るのは大変な作業になる。タイルを壊してもいけないのでこのままでいい。この汚れも建物の歴史ということだ。

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2017.11.08、京都市、楽友会館

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2020年5月 5日 (火)

【タイル大好き 10】楽友会館の鉛釉タイル

茶褐色の布目タイルは珍しい。鉛釉の暗い赤に似ているが少し違う。なにか特別な釉薬を使っているのだろう。

表面が波打っている。そのため部分的に光を反射してヌラヌラ光る。色目のばらつきと部分的なテカリの効果があいまって深みのある落ち着いた表情を作っている。

目地が細いのも珍しい。こうすることで全体を一枚の布のように見せたかったのだろう。設計者のこだわりが見える。

この階段室は森田慶一特有の未来的なイメージなのだが、それとこのタイルの渋い選定とは相反する。タイルは共同設計者の森谷延雄が選んだのだろうと思う。

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2017.11.08、京都市、楽友会館

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2020年5月 4日 (月)

【タイル大好き 09】名古屋市役所の窯変タイル

これほど複雑で美しい窯変タイルは見たことがなかった。あまりの驚きと喜びに目を見開いたまま立ち尽くしていた。

1枚に赤と青が混じっているのは窯変だろう。そうした釉薬があるのか知らないがなにか特殊な工夫をこらしているようにみえる。もうひとつ不思議なのは泡だ。どうやって作ったのだろう。この泡が独特の表情を作り出している。こうした工夫のかいあって美しいタイル壁となった。

ちなみにインテリアは見事なアールデコなんだが、どこか第一次大戦前のウイーン分離派の匂いがする。アドルフ・ロースのアメリカンバーやホフマン先生のウイーン工房を思い出した。質のよいインテリアデザインの主役に窯変タイルをもってくるあたりがえらい。
 
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2018.02.19、名古屋市役所

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2020年5月 3日 (日)

【タイル大好き 08】モザイクタイルの玄関ホール

モザイクタイルの床は縁飾りをつけるのが基本だ。床はたてよこの長さが違うので縁飾りの幅で調整するのだ。ここは縁飾りに三角模様をつけて調整している。よくできたアールデコだ。チョコレートの包み紙のようで愛らしい。

興味深いのは真鍮目地棒を入れて人造石研ぎ出し仕上げとしていることだ。モザイクタイルと人研ぎの組み合わせはあまり見たことがない。すっきりとモダンに仕上ってかっこいい。

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2018.05.29、京都府立医科大学旧付属図書館

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2020年5月 2日 (土)

【タイル大好き 07】 変形モザイクタイル

もともとモザイクタイルは小さいのだが、それをさらに分割している。角を扇状に切り取り連続模様を作る。それが波のように見える。よく見ると小さい扇型のほうは細かすぎていびつな形をしている。それがかえって波のうえで遊ぶ千鳥に見えて愛らしい。藤色と青白の配色もさわやかだ。

それにしてもよおくまあこれだけ細かいタイルを貼ったものだ。タイル屋さんに脱帽である。

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2018.10.23、京都府舞鶴市「若の湯」

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2020年5月 1日 (金)

【タイル大好き 06】ぷっくりタイルの裏

ぷっくりタイルの裏側は空洞になっている。タイルの厚みを一定にすることで乾燥や焼成による変形をふせぐのが目的だろう。また、こうすることでモルタルの喰いつきもよくなるはずだ。

裏側は釉薬をかける前の白い素地が見えている。いったん高温で焼いたあと釉薬をかけて二度焼きするのだろう。

素地が白いのは釉薬の発色を活かすためだ。素地は粒子の細かい泥状の粘土を型へ流し込んでつくっている。雄型と雌型を合わせてチョコレートのように大量に作っていたことだろう。

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右は神戸で2015年に採取、左はよく覚えていない
どちらも55ミリ角(実寸)、厚み7ミリ

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