2020年2月 4日 (火)

【祖山信仰と陰陽論1】二上山は陰陽になっている

大阪工業大学梅田キャンパス最上階の菜の花食堂から二上山がよく見える。普通は「にじょうざん」と読むが古くは「ふたかみやま」といったそうだ。つまり「二神山」だ。

名前のとおりピークがふたつある。高いほうが陽気で低いほうが陰気だろう。調べてみると実際に高いほうが雄岳、低いほうが雌岳だった。大阪平野から見てもっとも特徴的な形の山なので難波京の南東守護に使われたのだろうと思っている。

さて、二上山の頂上には葛木二上神社があり豊布都霊神(とよふつのみたまかみ)と大国魂神(おおくにたまかみ)を祀る。フツ神にはいろいろな意味があるがこの場合は雷神とされる。クニタマ神のクニは土地を示す。クニタマとはこの地域の土地神様という意味だ。

この二柱の神を陰陽に当てれば雷神が陽気で国神が陰気だろう。

この構成は向日(むこう)神社と同じだ。向日神社は雷神と向神(むこがみ)の組み合わせだが向神は国神様だ。二上山の大国魂神の向日神社の向神も大歳神のこどもだという点も共通している。ようするに祭祀の原始的な形式として天と地の組み合わせがあるのだろう。もちろん雷神が天神で国神が地神だ。

葛木二上神社は古来より雨ごいの聖地だったそうだ。五行説によれば水を生むのは金気だ。雨ごいをするには金気の神を祀ればよい。雷神は木気と思いがちだが、それが天神だとすれば金気にもなる。雨ごいをするとすれば天神を祀らねばならない。しばしば雷神が刀剣をご神体とするのはそれが天神であるからだろう。一方の国神は大地の神だから土気だ。土気は金気を補強する土用の役割を果たす。

二上山の向こう側は葛木氏、こちら側は物部氏の領域だ。いずれも大規模な農地を開いた古代氏族だ。その農地の給水を司るのが二上山の神なのだ。彼らは大規模な開発を行った総仕上げとして天神を祀ったのだろう。その古い記憶がご祭神や雨ごい儀礼に残っているのだと思う。

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2020.02.01、大阪北区梅田から眺めた二上山

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