2019年12月22日 (日)

宝形の家02 匂いの復元

 今回、一番驚いたのは匂いの復元だった。

 建て替え前の家が聚楽壁だったので、これも復元しようとなった。聚楽壁とは京都の聚楽第跡、つまり二条城北で採れる良質の土で作った土壁のことだ。おおむね京都周辺でも同様の土が採れるので、そうしたものを聚楽土と呼ぶ。現在ではほとんど採れない貴重な土だ。ここでは青みがかったグレーの土だった。これを新築のさいに復元しようというのである。

 言い出したのは奥田拓司さんと左官の加藤正幸さんで、わたしは土壁の復元とかよく分からないのでフーンと聞いていた。加藤さんは聚楽土をきれいにはがして持ち帰った。そして土を洗ったのである。後でサンプルを見せてもらった(写真)。採取した土には砂やスサが混じっているので、それを洗って聚楽土だけを取り出すのである。最終的には美しいブルーグレーの粉になった。これが聚楽土なのかぁ。わたしは塗る前の聚楽土を見るのも初めてだった。

 すると奥田さんが「匂いが残ってるんですよ」という。なにそれと思って精製された最終段階の聚楽土を嗅いでみるとたしかに匂いが残っている。それは建て替え前の家の匂いだということは私にもわかった。お線香や陽にやけた畳やそのほか生活の匂いの混じったもので、そういえばこんな匂いの家だったなぁと思いだした。

 土壁には調湿効果がある。湿気のほかに匂いも吸着するので匂いが残るというのはあり得る。でもそんなことが実際にあるとは夢にも思わなかった。この土で仕上げたので見た目だけではなく匂いまでも復元された。これが今回一番驚いたことである。

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復元された聚楽壁、青みのあるグレー

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土洗いの過程、左端が採取時、右端が精製後

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