2019年12月26日 (木)

宝形の家05 プレカットの神技

 今回は工期の関係でプレカットにせざるを得なかった。プレカットとは柱や梁を機械加工することだ。手刻みだといろんなことができるし精度も上がるが1ヶ月から2ヶ月はかかる。工場加工なら1日だ。しかし金物で柱や梁をつなぐ構造となる。それがだめだというつもりはないが日本建築の本当の強さはやはり手刻みでないと実現できない。

 というわけで今回はできるだけ日本建築の技をプレカットに応用してみた。これはけっこう野心的な取り組みだったと思う。

 応用したのは次の3つ。

1.主要な柱の上下を込み栓で留めた(写真)
  込み栓とはさし込んだ柱を細い木のピンで固定すること。

  そのためには長ホゾを作らねばならない。
  長ホゾとはさし込む部分が長いことだ。
  これができる機械のある加工場は極端に少なくて
  今回は徳島の株式会社KRKカキハラが引き受けてくださった。
  ここは構造計算を担当した関西木材の植森貞友さんが探してくれた。

2.垂れ壁補強をした
  主要な柱のあいだに垂れ壁を設けて柱の頭を固めた。

3.柱の足元を固めるため貫を1本入れた(写真)
  貫とは柱をつなぐ横材のこと。

 わたしはこの3つを提案しただけで具体的な設計は植森さんと奥田さんが相談して考えてくれた。最終的にはカキハラの丸山龍さんが一部を手刻みして実現してくれた。おかげで上棟したときまったく揺れなかったと奥田さんが言っていた。普通ははだかの骨組みだけだと金物で締めるまで少し揺れるのだそうだ。それが今回揺れなかったという。長ホゾ込み栓留めの威力だろう。

Img_6033
柱を桁(横材)に挿し込んで込み栓で止める。
普通の込み栓は角型だがプレカットなので丸型になっている。
Img_6051
柱の足元を固める貫。

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