2019年8月 8日 (木)

龍安寺の石庭の謎を解いてみた(3)

 わたしの二つ目の解釈は次のとおりだ。

 石の移動
 この問題は「5、2、3、2,3」の数列を読み解くものだろうと最初に述べた。実はこの数列は逆ではないかと思い始めた。つまり「3、2、3、2、5」ではないか。なぜならそれぞれに五行を当てはめたとき後者なら「木、水、木、火、土」となり後半の「木、火、土」の3つのならびは相生の関係「木、火、土、金、水」の前半に相当するからだ。
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 整理するとこうなる。

石庭の数列 3(木) 2(火) 3(木) 2(火) 5(土)
相生の関係 4(金) 1(水) 3(木) 2(火) 5(土)

 お分かりだろうか。石庭の数列の最初の「3、2」が「4、1」に変われば五行説とおりになる。そうする方法は簡単で2番目の島から最初の島へ石をひとつ移動させればよい。そうすれば2が1になって水に、3が4になって金となる。


 トラの一家は親1頭とこどもが3頭の4頭だった。トラは白虎にみるように金気を代表する生き物だ。石の移動は金気の完成をもたらすと同時にトラの一家をも完成させる。この庭園の「トラの子渡し」のネーミングは2番目の島から最初の島へ子トラになぞらえた石をひとつ移動させることを示唆しているのではないか。これがわたしの今のところの結論である。
 
 火の庭
 ではトラの子渡しで完成する相生の関係はなにを示すのか。普通、相生の関係をいうときは「木火土金水(ぼっかどごんすい)」と木気から始める。それは木気は春を表すので暦に合わせているからだ。しかしこの石庭では「金水木火土」と途中から始まっている。相生の関係はリング状につながっているのでどこから始めてもいいわけだが、なぜ通例に従わず金気から始めたのか。それはこうすると方丈の正面に火気がくるからだろう。やはり二つ目の解釈でもここは火の庭となる。では火の庭とはいったいなにか。それは次回に。(つづく)

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