2019年8月22日 (木)

いなばの白ウサギはなぜ白いのか その3

 なぜ、いなばのウサギは白いのか。つまり、なぜ白ウサギは八白土星の山とされたのか。結論から言えばこれは易の「地山謙(ちざんけん)」によるとわたしは考えている。

 易はカード占いだといった。実際にカードは使わないが8つのイメージの組み合わせて占果を得る。イメージは8つあるので占果は64通りとなる。なかでも最強なのは「天沢履(てんたくり)」だ。天と沢のイメージの組み合わせて占果が「履」となる。これはトラのしっぽを履(ふ)んでも大丈夫だと易経にある。もちろん占果は両義性があるので占う内容によっては最悪の場合もあろう。ただし予祝儀礼の場合は縁起がよいのでよく使われる。

 予祝とは前祝いのことで、欲しい占果を形にして祝う。「天沢履」なら天なるものと沢なるものを壇上にあげて祀ることが多い。このときの天なるものと沢なるものの代表例が父と小女だ。こうして小女が天父を祀る信仰の形式が生まれた。祇園神を祀る舞子も同じ形式だろう。

 「天沢履」はオールマイティな占果なのであらゆる予祝に応用できる。この易と対をなすのが「地山謙」なのだ。つまり大地なる母神と山なる小男の組み合わせだ。謙とは謙譲のことで、節度を守ればあらゆる敵を打ち砕くと易経にある。この易は戦勝祈願のための予祝儀礼になくてはならない。

 こうして戦時には地母神になぞらえた大巫と少年の姿の英雄の組み合わせができたと。ヤマトヒメとヤマトタケル、推古天皇と聖徳太子、クラマ神と牛若丸、探せばもっとあるだろう。いなばの白ウサギの神話もその形式を履んでいるとわたしは考えている。(つづく)

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祇園祭月鉾

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