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2019年8月

2019年8月31日 (土)

宮崎県椎葉の古民家

 入り口正面に宮崎県椎葉の馬屋があってかっこいい。大ぶりな桁を四周にまわして架構を固めている。柱は幅広の貫で挿し固めている。構造がシンプルで美しい。
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2019.08.25/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5/大阪府民家集落博物館


 下は馬屋の隣の主屋の断面。これは相当大きな住宅だが、やはり構造がシンプルで美しい。馬屋と違うのは目の高さに極太の胴差が入っていること。これは見た目もきれいだし骨組みも強くなる。どこかで使ってみたい手法だ。土壁が無いのが珍しいが、山間部の民家ではたまにこういうことがある。
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 昨年から絵の具仕様が禁止になったそうだ。残念ながら線描のみ。今度行くならクレヨンでも持っていくか。

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2019年8月30日 (金)

笑う狛犬を見つけた

 久しぶりに笑う狛犬を見つけた。小振りながら動きのある見事な浪花型狛犬だ。天王寺の河堀(こぼれ)神社の狛犬に表情が似ている。文政2年(1819年)とあった。200年経っているわりには状態がよい。空襲被害の比較的少なかった大阪周辺地域にはこうした浪花型の良いものが残っている可能性は高い。

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2019.08.25、大阪府、豊中稲荷神社

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2019年8月29日 (木)

梅花学園の円形校舎

 バス通りから突然見えるので驚いた。街並みとの比較で大きさが強調されて見える。円形校舎が次々無くなっているが、ここは大切にお使いになっているようでうれしい。カーテンウォールごしに見える階段がかっこいい。

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2019.08.25、大阪府豊中市、坂本鹿名夫設計、1958年竣工

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2019年8月28日 (水)

豊中の洋館

 昭和5年ころか。よく手入れされていて状態がよい。木製建具がアルミサッシュに入れ替わっていないあたりに建物への熱い想いを感じる。2階正面に丸い小窓しかないデザインはとても珍しい。

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2019.08.25、大阪府豊中市

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2019年8月27日 (火)

カトリック豊中教会

 梅花教会から少し行ったところにあった。車をパーキングに停めて写真だけ撮ってきた。スワガー設計だという。見てのとおりの近代和風で、思い切ったスリット状の窓が小気味よい。この縦長のスリット窓を活かした内部はさらに見事らしい。ぜひ見学したいものだ。

 梅花教会の尖塔の屋根はこの塔を模していたようだ。スワガーはレーモンド事務所の建築家だが、設計名がレーモンドではなくスワガーになっているのはなぜだろう?

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2019.08.25、大阪府豊中市、スワガー設計1939年竣工

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2019年8月26日 (月)

梅花教会

 スケッチ大会から車で帰る途中、道に迷っていて見つけた。なかなかよくできている。鉄骨柱を表に出してバットレス風にした扱いや、尖塔屋根の裾を広げてロマネスク風にしたところなどおもしろい。正面の軒の出の寸法は中央が大きく端部が小さい。つまり真ん中の一番高いところが前に飛び出しているのでまるで船首のようなおもむきがある。とくにおおげさなことをしているわけではないが完成度の高い設計だ。定礎には1972年とあった。

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2019.08.25、大阪府豊中市上野西

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2019年8月25日 (日)

夏休みスケッチ大会

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 今回は大阪府服部緑地の民家集落博物館へ行った。セミは鳴いていたがさほど暑くはならなくて助かった。1時間ほどスケッチしたあと、白川郷民家に集合してみんなで感想会をした。今回もいろんなスケッチがあって楽しかった。みなさんありがとう。

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2019.08.25、民家集落博物館(大阪府服部緑地)

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2019年8月24日 (土)

モツァルトの天才

 モツァルトは天才だったので人雑談しながら作曲ができたという。頭のなかで楽曲ができあがっていてそれを五線譜に移し替えるだけの作業だがらそんなことができたのだ、という。

 これは楽曲は頭のなかのイメージのコピーであるということが前提となる。確かにある程度そうだと言える。スケッチだって、おおよそこんな絵になることは事前にイメージできる。料理だって、作る前にどうなるかはおよそイメージがついているだろう。創作に限らず人はなんらかの行動を事前にイメージできるし、そうすることでスムーズに行動することができる。だから行動はイメージのコピーと言えなくもない。でも、おかしいと思うのはそのイメージは五線譜に書けるほど精密なものなのではなかろうということだ。

 おそらくモツァルトはアドリブの天才だったのではないか。突然作曲もしくは演奏を始める。ジャズの演奏家のようにアドリブで楽曲を生み出しながら申し合わせていたかのようにきれいに演奏を終える。多分そんなとき雑談なんかしない。雑談していたとすれば出来上がった楽曲に手を入れていただけではないか。頭の中にできあがっているともし本人が言ったとすればそれは単にいい格好がしたかっただけだろう。

 ただし、アドリブにイメージがないわけではない。むしろ強烈なイメージが無ければアドリブにならないだろう。通常の行動と違うのはイメージを理解するという過程をさしはさまないことだ。イメージは直感的なもので決して論理的ではない。イメージのすべてを事前に理解することはできない。イメージは本当は人の理解できる範囲以上のものを含んでいるだろう。だから理解したとたんにその大部分は失われてしまう。だからイメージを理解せずにいきなりアドリブとして表現しようとするわけだ。

 まあ、それがうまくいくかどうかは人才ではなく天才にかかっているわけだが。

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2019年8月23日 (金)

いなばの白ウサギはなぜ白いのか その4

  日本の英雄が少年の姿が多いのは「地山謙」の戦勝祈願の形式を履んでいるからだと考えている。大地の女神に愛された少年こそ無敵なのだ。大国主もまたそうした英雄のひとりであった。末子という設定も暗に易でいう小男であることを示している。この場合の母神は妻問する相手のヤカミヒメだろう。大巫であるヤカミヒメに選ばれて大国主は英雄となり「地山謙」の易が完成する。

[地、山]=[母、小男]=[地母神、少年]=[ヤカミヒメ、オオクニヌシ]

 だから大国主は八白土星であり色は白となる。したがって彼の使い魔である因幡のウサギは白ウサギでなければいけない。これが波ウサギが白い理由である。

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北野天満宮三光門

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2019年8月22日 (木)

いなばの白ウサギはなぜ白いのか その3

 なぜ、いなばのウサギは白いのか。つまり、なぜ白ウサギは八白土星の山とされたのか。結論から言えばこれは易の「地山謙(ちざんけん)」によるとわたしは考えている。

 易はカード占いだといった。実際にカードは使わないが8つのイメージの組み合わせて占果を得る。イメージは8つあるので占果は64通りとなる。なかでも最強なのは「天沢履(てんたくり)」だ。天と沢のイメージの組み合わせて占果が「履」となる。これはトラのしっぽを履(ふ)んでも大丈夫だと易経にある。もちろん占果は両義性があるので占う内容によっては最悪の場合もあろう。ただし予祝儀礼の場合は縁起がよいのでよく使われる。

 予祝とは前祝いのことで、欲しい占果を形にして祝う。「天沢履」なら天なるものと沢なるものを壇上にあげて祀ることが多い。このときの天なるものと沢なるものの代表例が父と小女だ。こうして小女が天父を祀る信仰の形式が生まれた。祇園神を祀る舞子も同じ形式だろう。

 「天沢履」はオールマイティな占果なのであらゆる予祝に応用できる。この易と対をなすのが「地山謙」なのだ。つまり大地なる母神と山なる小男の組み合わせだ。謙とは謙譲のことで、節度を守ればあらゆる敵を打ち砕くと易経にある。この易は戦勝祈願のための予祝儀礼になくてはならない。

 こうして戦時には地母神になぞらえた大巫と少年の姿の英雄の組み合わせができたと。ヤマトヒメとヤマトタケル、推古天皇と聖徳太子、クラマ神と牛若丸、探せばもっとあるだろう。いなばの白ウサギの神話もその形式を履んでいるとわたしは考えている。(つづく)

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祇園祭月鉾

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2019年8月21日 (水)

いなばの白ウサギはなぜ白いのか その2

 九星図とは洛書と後天図を組み合わせてアレンジしたものだ。洛書とはこれだ。
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 星が並んでいる。これを数字に置き換えるとこうなる。
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 これはシンプルな魔方陣だ(魔法陣ではない)。魔方陣とは同じ数を2度使わずにマス目を埋めてどの列の数字を足しても同じ数になるものをいう。3×3のマス目の場合は、これとこれの左右対称形のものの2種類しかない。マス目が増えても魔方陣は成立し数学の問題として有名だ。032  
 後天図とは易の8つのイメージを並べたものだ。
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 易は(天ー地)(火ー水)(山ー沢)(雷ー風)の4セット8種類のイメージを使うカード占いだ。その並べ方は2種類あり先天図、後天図と呼ばれている。後天図は上図だ(図の上が南となる)。
 後天図は土気が右上と左下にあり、これをつなぐ斜線が陽気と陰気とを分けている。つまり右上は木気と火気、左下は金気と水気だ。これは暦と対応しているのだが、その話はまだ別のところでしよう。
 九星図はこのふたつの図を合体させてアレンジしたものだ。
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 九星図がいつからあるのか分かっていない。ひょっとすると九星図は後天図より前にあったのかもしれない。
 さて、九星図は上のようになっている。数字は洛書と同じだ。色はなぜこういう配置なのかは不明だ。白が3度使われている理由も分かっていない。木星や土星の木や土は木気、土気という意味で、星は洛書が星で表されていることから派生しているのだろう。
 
 いなばの白うさぎの「白」はこの八白土星の白だと考えるわけだ。白は水星や金星もあるが、ウサギは土気の神様のお使いだということで土星を選んでいる。


 さて、ここまでが前置きである。ではなぜウサギの色を九星図まで引っ張り出して白にしなければならなかったか。五行説で言えば土気の色は黄色なので土気を強調したいだけなら黄色でもよいわけだ。長くなったので続きは次回に。

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2019年8月20日 (火)

いなばの白ウサギはなぜ白いのか

 波乗りウサギはわたしの呼び方で本来は波ウサギという。謡曲「竹生島」を語源にあげることもあるが、あれは語源ではなくて古い使用例というのが正しい。「竹生島」では波が騒ぐようすを波の上をウサギが飛ぶさまに見立てている。波が荒れると三角波のてっぺんが次泡立って飛ぶ。それは確かにウサギが飛んでいるように見えるだろう。もちろん出雲神話のワニの背を飛ぶウサギと同じイメージだ。おそらく波ウサギという海民の使う古い用語があったのではないかとわたしは思っている。

 わたしは丹後半島で野ウサギを見たことがある。白くはなかった。日本に野生の白ウサギがいるのかどうか知らないが、イギリスでもピーターラビットは白くない。ウサギが白いものだというのは思い込みだろう。しかし波ウサギは必ず白い。なぜか。これは九星図の八白土星の「白」だと私は考えている。ではなぜウサギが八白土星なのか。長くなったので続きは次回に。

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霊鑑寺(京都市左京区)

 

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2019年8月19日 (月)

霊廟系はウサギが多い?その2

 ウサギについて補足をしておきたい。なぜウサギが冥王の使いなのか。これはウサギが穴に棲むからだろう。地中に棲むから地底の冥王の使いとなるのだ。だからネズミでもよい。大黒天の使いはネズミだ。大黒天は大国主命と習合(同一視)されている。

 おもしろいのはルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」でアリスを地底の国に導くのがウサギだということ。キャロルは東洋思想を知っていたのではないか。地底国のハートの女王は赤いバラを愛していた。赤は火気を示す色。ハートの女王が土気だったら火気を愛するのは当然だろう。土気から火気が生まれるからだ。やはりキャロルは東洋思想を知っていたとしか思えない。

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浄心寺(京都市中京区裏寺通り蛸薬師)

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2019年8月18日 (日)

霊廟系はウサギが多い?

 大正元年の再建だそうだ。ぎこちないところが愛らしい。

 最近思うのだが波乗りウサギは霊廟に多いように思う。霊廟とはお墓のことだ。ここには秀吉の妻ねねを葬り神として祀っている。れっきとした霊廟系だ。ほかには最近見た滋賀院(そこは慈眼大師のお墓に隣接)や出雲大社など。理由はウサギが大国主命の使い魔だからだろう。大国主の国は大地を指し、彼は地底を司る冥界の王である。

 霊廟建築にウサギを使うとき両方とも口を閉じるというルールがあるように思う。こいつらも陰陽どちらも口を閉じている。出雲大社がそうなっていたし、滋賀院では両方とも陰気の振り向きタイプだった。

滋賀院 http://www.tukitanu.net/2019/07/post-244b20.html

 また、ここのように左右が逆転しているのも珍しい。それも霊廟系だからだろうか。

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2019.07.3、高台寺勅使門

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2019年8月17日 (土)

重森三玲の波心庭を見てきた

 重森三玲の作庭。波心庭というそうだ。1939年の造園で同じ重森作の東福寺方丈庭園と同年である。ふたつを同時に見たので彼の特徴がよく分かった。

 どちらも石の立て方がえげつない。とくに波心庭は地球に降り注いだ多数の大隕石が大地や水面に突き刺さったような荒々しい風景となっている。それらの石が見事な大刈込の背景によってひとつの世界観にまとめあげられていた。大刈込という古典的な作法を使いながら強引にまとめるあたりはさすがだと思った。
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2019.07.26、東福寺光明院庭園

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2019年8月16日 (金)

ピクトグラム(記号化)の限界

 交通標識はたまに分かりにくいのがあってわたしは好きだ。これは以前も紹介したことがある。先日、車に乗っていて信号で止まった目の前にあったので久しぶりに撮ってみた。以前とは表記が違うように思うのは気のせいだろうか(参照)。

 この標識の言わんとするところは、ひとつは右折禁止、もうひとつは大型車両系(大貨・大特・特中)は直進せよ、というふたつだけだ。これを記号化するとこうなる。下を右折禁止の標識に変えれば多少分かりやすいくなるだろう。ただし日本の道路標識に右折禁止は無い。

 この標識が分かりにくい原因はふたつある。ひとつは道路形状が複雑であること。これは単純化するときにもう少し現状に合わせた絵にすれば多少緩和できるだろう。もひとつは道路標識に右折禁止が無いこと。これは作れば済むことだろう。

 わたしとしてはこの分かりにくさが好ましいのでこのままにしておいてほしい。

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2019.08.02、京都市伏見区
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2019年8月15日 (木)

ハスの実の台を花托というそうだ

 ハスの実が落ちたところへ水を入れてみた。ツルリと水をはじくので水が玉になってとてもきれいだ。朝の水まきの楽しみがひとつ増えた。

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2019.08.14、自庭にて

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2019年8月14日 (水)

空の研究 190813

 台風10号が近づいている。明日の朝には九州あたりの上陸するという。2日前から京都では強い風が吹いていて、空もご覧のように台風の空だ。低空を積雲が飛ぶように流れる。東から西への向きは台風の回転と一致する。その上は1万メートルくらいまでなにもなく、よく乾燥していて深い藍色をしている。

 このごろ思うのは台風の風の力の強さだ。台風の強風圏の直径は1000キロに及ぶ。一方、台風の高さは10キロ程度だ。台風は薄っぺらいコインのような形をしている。その原動力は中心を噴き上げる上昇気流にある。気流は左回りに回転しながらものすごい力で噴き上げている。これがコイン全体を回転させる。500キロ以上離れた場所に秒速15メートルの風を吹かせる力を生み出すには、どれくらいの強さの上昇気流が必要なのだろう。

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2019.08.13、京都府向日市

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2019年8月13日 (火)

御所スケッチその3

 先月の養父市のスケッチ教室で気づいてそれからずっと考えていることをメモしておく。
 スケッチは何かを描こうとして描き始める。でも自分でそれが何なのかはよく分かっていない。スケッチが終わったとき自分が何を描きたかったのか絵に現れている。そう考えるとスケッチは夢判断みないなものかも知れない。たとえばこのスケッチの場合、描きたかったのは一見ランダムに見える枝が実は一様に右へなびいていることだろう。まあ、それがいったい何を表していてどこにおもしろさを感じたのかはよく考えてみなければいけないが。

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2019.08.10/マルマンスケッチブックA5大、グラフィックペン0.3、透明水彩絵の具/京都御苑

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2019年8月12日 (月)

御所スケッチその2

 クスの後ろに人工のせせらぎがあって鳥たちに大人気なのだが、そこへ向けて桜の枝がぐっと降りていておもしろいから描いた。描いている間にもこの枝にカー助が留まっていた。鳥たちのよい留まり木になっているようだ。

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2019.08.10/マルマンスケッチブックA5大、グラフィックペン0.3、透明水彩絵の具/京都御苑

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2019年8月11日 (日)

スケッチ教室で御所へ行った

 京都御苑は思っていたより涼しかった。さすが大地と植物の力だ。まずいつものクスを描いた。これで25分くらい。最初の1枚はいつも少しだけ時間がかかる。スケッチモードになじむまでの時間なのだろう。このクスはいつ見ても驚かされる。柔らかくうねるようすは本当に生きて動いているようだ(本当に生きて動いているのだが)。何度描いても飽きないおもしろさがある。

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2019.08.10/マルマンスケッチブックA5大、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/京都御苑

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2019年8月10日 (土)

唐破風をはじめて設計した

 唐破風をはじめて設計した。屋根葺き士研修の実測実習が早めに終わったので各自唐破風を自分流にデザインする課題を出した。もちろん規矩術の原則を踏まえることが条件だ。ちょうど高台寺の観月台の実測図があったのでそれをベースにした。自分で設計すると仕組みがよく分かるのでよい。

< 大唐破風の上手な作り方 >
1.軒の出は柱間の1/3が標準。ここでは柱間が小さいので1/2にアレンジ。
2.破風板の頂点は柱間の1/4が標準。
3.破風の勾配は2寸8分が標準。このあたりは破風板の幅とも関係するのでアレンジが必要。
4.破風板の照りむくりの境界は下から5.5/10が標準。
5.照り(反り)は破風板巾の0.6、反りは0.35が標準。
6.イバラビレは柱間の1/5が標準。

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円満字作品
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生徒作品

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2019年8月 9日 (金)

龍安寺の石庭の謎を解いてみた(4)

 民俗学者の吉野裕子(ひろこ)が龍安寺の石庭の謎を解いている。15年ほど前に読んだときには難しくて分からなかったが、いま改めて読んでみるとよく分かる。結論から言えばこの庭は火の庭だということだ。わたしとはアプローチが違うのに同じ結論に至るところが興味深い。

 吉野のすごいところは、なぜ火の庭なのかという理由も突き止めていることだ。ミステリーでいえば犯人の動機を明らかにしたようなものである。さすがだ。

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 吉野裕子説
 吉野は土気の島の5つの石は金水木の各島へ分散したという。たしかにそれぞれの島には数に入れていいのかどうか分からない小さな石がある。わたしも左端の島の5個は3個+2個ではないかとさんざん迷ったが、この2個が土気のかけらだとは気づかなかった。

 土気は他の気に働きかけて活性化させる働きがある。これを土用という。各季節の終わりの18日間を土用と呼び土気の働きかけによって次の季節に移り替わることができる。この庭の土気も土用として他の気に働きかけているわけだ。

 金気の4は図のように2(土気の小石は数えない)+2に分断されている。それは隣の火の島の働きだ。火気には土気を生み出す力と火を克す(こくす、殺すこと)のふたつの能力がある。この庭は火を克す相克の力が発動して金気がまっぷたつに分断された状況を示すというわけだ。ここは金気の殺しの現場なのだ。

 わたしは気づかなかったが火の島のふたつの石のうち左側は小さいけれど正三角形だという。三角形は火のかたちだ。そうすると右側の長い石は火の剣なのかも知れない。

 火も土用がなければ相生や相克の力を発揮できない。では火の島への土用はどこにあるのか。これは方丈の主もしくはこの庭の観察者のあなた自身の人体が土用となるのだろう。人体は最良の土気だからだ。この庭は観察者が参加して初めて完成し金気を分断する状況を生み出す装置なのだ。では金気を分断するとはどういう意味なのか。

 不立文字(ふりゅうもんじ)の庭
 禅宗の奥義は「不立文字、以心伝心、直示人心、見性成仏」だそうだ。この最初の不立文字とは言葉を使わずに仏と通信する力をいうらしい。言葉は五行のなかでは金気とされる(金言という言葉はここからきている)。その金気を分断するとは言葉を絶ち心で仏と向き合えという不立文字の教えを表しているわけだ。これがここが火の庭である理由である。

吉野裕子「易・五行と庭園」(「陰陽五行と日本文化」大和書房2003所収)

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釣りたぬき 小島漁港(大阪府岬町)

 夏休みである。久しぶりに釣りにいった。ブログを見たら2年ぶりだった。小島(こしま)漁港はいつもとおり透明度が高く泳ぐ魚がよく見えて楽しい。サバの大群が遊泳しており海面が青いジュウタンのようになるのがきれいだった。

 10時半から16時半までの6時間で小サバ中心59尾の釣果だった。こんなにサバを釣ったのは初めてだ。サバが大発生しているのだろうか。

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Img_6355 小島漁港

 今回は釣り針がいつもより少しだけ大きかったせいかスズメダイやフグなどのエサ取りがかからなかった。

 仕掛け ガマカツ、サビキ(ハゲ皮付)金袖3号、ハリス0.6号、幹糸1号、間隔15㎝、全長1.05m

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(左)小サバ(中)豆アジ(右)グレ

 サバは背中の象形文字のような模様が青く光ってきれいだ。
 サバに交じってチャリコやサンバソウが釣れる。熱帯魚のようにきれいだ。どちらも小さいのでリリースした。

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(左)チャリコ(タイの子)(右)サンバソウ(イシダイの子)

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 釣果の内訳はサバ(13-19.5㎝)34尾、アジ(9.5-13㎝)22尾、グレ(14-14.5㎝)3尾、合計59尾。翌日すべて南蛮漬けにした。サバは身がアジより柔らかくで淡白な味わいでうまい。これから毎朝いただいて食べきったころにまた釣りにいきたい。

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2019年8月 8日 (木)

龍安寺の石庭の謎を解いてみた(3)

 わたしの二つ目の解釈は次のとおりだ。

 石の移動
 この問題は「5、2、3、2,3」の数列を読み解くものだろうと最初に述べた。実はこの数列は逆ではないかと思い始めた。つまり「3、2、3、2、5」ではないか。なぜならそれぞれに五行を当てはめたとき後者なら「木、水、木、火、土」となり後半の「木、火、土」の3つのならびは相生の関係「木、火、土、金、水」の前半に相当するからだ。
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 整理するとこうなる。

石庭の数列 3(木) 2(火) 3(木) 2(火) 5(土)
相生の関係 4(金) 1(水) 3(木) 2(火) 5(土)

 お分かりだろうか。石庭の数列の最初の「3、2」が「4、1」に変われば五行説とおりになる。そうする方法は簡単で2番目の島から最初の島へ石をひとつ移動させればよい。そうすれば2が1になって水に、3が4になって金となる。


 トラの一家は親1頭とこどもが3頭の4頭だった。トラは白虎にみるように金気を代表する生き物だ。石の移動は金気の完成をもたらすと同時にトラの一家をも完成させる。この庭園の「トラの子渡し」のネーミングは2番目の島から最初の島へ子トラになぞらえた石をひとつ移動させることを示唆しているのではないか。これがわたしの今のところの結論である。
 
 火の庭
 ではトラの子渡しで完成する相生の関係はなにを示すのか。普通、相生の関係をいうときは「木火土金水(ぼっかどごんすい)」と木気から始める。それは木気は春を表すので暦に合わせているからだ。しかしこの石庭では「金水木火土」と途中から始まっている。相生の関係はリング状につながっているのでどこから始めてもいいわけだが、なぜ通例に従わず金気から始めたのか。それはこうすると方丈の正面に火気がくるからだろう。やはり二つ目の解釈でもここは火の庭となる。では火の庭とはいったいなにか。それは次回に。(つづく)

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2019年8月 7日 (水)

龍安寺の石庭の謎を解いてみた(2)

 この庭には名前がある。「虎の子渡しの庭」という。虎の子渡しとは次のような数学の問題である。結論からいうとこのネーミングはフェイクだった。

 トラの子渡しのトラップ
トラは3頭こどもを産むとそのうちの1頭がヒョウになるという。ヒョウはこどもくせに虎の子を食べてしまう。だから兄弟と2頭きりにしてはならない。ヒョウのほかに2頭以上のトラが一緒にいればヒョウは虎の子を食べないし、親と2頭きりのときも親トラを食べることもない。これが前提条件だ。

 さて、あるときトラの一家は川を渡らねばならなくなった。2頭しか乗れない小船があり、これを使って親はこどもたちを向こう岸へ渡らせねばならない。最初に子トラを船に乗せると岸の残ったもう1頭の子トラがヒョウに食べられてしまう。さてどうすればヒョウも含めた一家4頭を向こう岸へ運ぶことができるだろうか。これがトラの子渡しの問題である。

 答えはひととおりしかない。まずヒョウを向こう岸へ渡す。次に子トラ1頭を渡し、帰り船にヒョウを乗せる。岸に戻れば残っていた子トラとヒョウとを入れ替える。子トラを渡したあとヒョウを連れにもう一度戻る。これを数列に書くと次のとおりとなる。これは行列だな。

[4,0][2,2][3,1][2,2][1,3][2,2][0,4]

 さて、石庭の島の石の数は2,3,5の3種類しかない。1と4がない以上、トラの子渡しの答えがそのまま石庭に当てはまらない。一見、島の配置がトラの子渡しの問題と似るので関係があるように思わせるがこれはフェイクなのだ。ではこのネーミングは石庭と無関係なのだろうか。実はそうでもないのである。(つづく)

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2019.08.01、現場メモ

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2019年8月 6日 (火)

龍安寺の石庭の謎を解いてみた

  ヒワダ葺き職人の研修生たちと龍安寺へ行った。平日の午前中だというのに観光客で混んでいた。それでも石庭は異世界の鏡のようにそこに静まりかえっていた。石庭の謎について考えたことをメモしておく。

 禅宗の庭は公案となっていることが多い。公案とは悟りを得るための問題でなぞなぞみたいなものらしい。京極夏彦が公案をトリックに使ったミステリーを書いている(鉄鼠の檻)。この石庭も公案の一種と考えられており、これが何であるのかを考えることが修行になるというわけだ。

 数列の庭
 さて、石庭に置かれた15個の石は5つにグルーピングされている。5は五行を表すのだろう。15は五行それぞれに与えられた数字の和、つまり木気(3)+火気(2)+土気(5)+金気(4)+水気(1)=15に等しい。やはり石庭が五行をテーマにしていることを示すのだろう。

 しかし5つの島は東から5,2、3、2、3と分けられており水気の1と金気の4が無い。単純に五行を5つの島に当てはめることはできない。とりあえずこの庭の公案とは「5,2,3,2,3」の数列の意味を解けというものであることが分かる。

 火の数列
 庭の中心で左右に分けて考えるとおもしろいことが分かる。左側は5と2なので合計は7となる。7は火気を示す数字だ。

 右側は3と2と3だ。3は陽気、2は陰気を代表する数字なので右側の数列は陽気+陰気+陽気と読める。これは易の示す8つのイメージのなかの火にあたる。両側とも火を示す数列であることが分かる。つまりここは火の庭なのだ。

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 そう思って庭をもう一度観察してみると石庭は方丈より西にずれていて、方丈の中心は左から2番目の島が正面となる。2も7と同様、火を示す数字だ。やはりこの庭は火の庭なのか。ではなぜこの庭が火をテーマとしているのか。それが分からなかった。

 長くなったので続きは次回に。

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2019年8月 5日 (月)

月間茶の間8月号あります

 わたしのスケッチで「五龍閣夢二カフェ」「1928ビルアンデパンダン」「東華菜館」を紹介した。中へ入れる近代建築というラインナップとなっている。京都にお越しの際にはぜひお寄りいただきだい。

 さて同誌をたくさん頂戴したのでご希望があればお送りするのでご連絡ください。先着順でよろしく。

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2019.07.30

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日野の法界寺をスケッチした

 ヒワダ葺きの若い職人さんたちと見てきた。ヒワダが薄いとか言っていたがとてもきれいだという点で一致していた。案内してよかった。これだけ屋根の勾配が緩くてヒワダが薄いのになんでよく保っているのだろうと不思議がっていた。コケがヒワダを防護しているのではないかと議論していた。おもしろい。

 ここをスケッチするのは3度目かな。緩い屋根の傾きが描きにくい。屋根の勾配の緩いがゆえに優しく美しい輪郭を作り出している。ヒワダの柔らかい質感がその優しさを引き立てている。描きながら建築家篠原和男の自邸「白い家」に似ていると思った。

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2019.08.02/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/京都府伏見区日野「法界寺阿弥陀堂」

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2019年8月 4日 (日)

旧清水小学校はアールデコなのか

 再生工事中の旧清水小学校の裏手がよく見えるので描いた。これで15分くらいかな。屋根が思った以上に複雑なので屋根伏せ図も描いてみた。たぶんこうなっている。いかにも雨の漏りそうな屋根だが、外壁の角を屋根より上まで通したことで幾何学的な美しさを得た。アールデコの亜種とみてよい。

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2019.08.02/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/京都市東山区「旧清水小学校」
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2019年8月 3日 (土)

料理旅館「鶴清」を描いた

 鴨川沿いにある料理旅館「鶴清」を描いた。鶴清と書いて「つるせ」と読む。京都を代表する料理旅館だ。木造3階建ての華麗な数寄屋造りで、さっぱりとした外観がかっこいい。

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2019.07.27/クロッキー帳、0.5シャーペン2B/京都市下京区「鶴清」

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2019年8月 2日 (金)

養父大庄屋記念館の消火ポンプ

 古い消火ポンプは美しいものが多いので大好きだ。カラフルな色彩のものが多いがこれは鉄製の四角いタンクの縁取りを緑色でシンプルに仕上げたのがかっこいい。

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2019.07.20/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5.固形透明水彩/兵庫県養父市大庄屋記念館

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2019年8月 1日 (木)

コグロアナバチが巣をかけた

 グリーンカーテンの竹の支柱から草がはみ出している。調べたところコグロアナバチが卵を産み付けたエサを詰めこんだあと草でふたをしたものらしい。写真をよく見たらタテの支柱のほうも草がはみ出している。探せばもっとあるかも知れない。自庭はいろんなものが住んでいるがアナバチのわが家にもなったようだ。ようこそわが自庭へ。

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2019.07.30、コグロアナバチの巣

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