2019年6月12日 (水)

旅に出ようと思ったんだ

 建築家鈴木喜一の放浪エッセー「ふーらり地球辺境紀行」を読んだ。世界を体験せよというメッセージに感銘を受けた。旅先で問題が起こると困ったなと思う反面いよいよおもしろくなってきたという。そんなとき必ず助けてくれる人が現れる。どこからともなく必ず現れるのだ。見知らぬ人の家に泊めてもらい家族ともにごはんをいただく。そんなことが普通にできた人だった。そうしたことを通してその土地の空気感のようなものを体得するのだという。歴史や気候に育まれた人の優しさに触れるという。そんな旅がわたしにもできるだろうか。

 というわけで鞍馬山まで小さな旅をしてみた。打ち合わせのあと時間が余ったのだが、その後のいくつかの予定をすっぽかしたくなったのだ。約束しているわけでもないし、自分が行かなくてもどうってことないだろう、それより旅に出よう、と思ったのだ。鞍馬山は打ち合わせのあった場所から叡山電車ですぐだ。途中スケッチしながら1時間後には鞍馬寺をお参りしていた。

 本堂には毘沙門天、護法魔王尊、千手観音がまつられる。それぞれに御賽銭を投げてお祈りをする。この果てしない日常に変化がありますように。今こそ運気が開いて豊かな明日が来ますように。ふと賽銭箱の上にみくじの筒が置いてあるのに気づいた。3つの賽銭箱に3本のみくじ筒。そのひとつから1本をひいた。頂戴したみくじにはこうあった。

「まず今日の溝をこせ。明日の僥倖(思いがけない幸せ)を予期するなかれ」(4番吉)

 ああ、やっぱろそうだよね。きょうすっとばそうと思ったいくつかの仕事先を思い出した。わたしもこの土地の歴史と気候に育まれた人の輪のなかで戻ろう。こうしてわたしは何食わぬ顔をして日常へ復帰した。ちなみにみくじの最後にはこうあった。「旅行、つつしみて行け」

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