2019年6月17日 (月)

由岐神社拝殿の謎(4)なぜ本殿の狛犬は左右が逆なのか

 この謎を解くヒントは本殿の有名な狛犬にある。犬は子だくさんであることから安産を象徴する。この狛犬も子安の霊験ありと信仰があつい。こ狛犬をかたどったお守りまで用意されている。

 いま本殿前に置かれているのはオリジナルの模刻だそうだ。実際はもっと小さいらしい。元は本殿内にあったものを、多くのかたが参拝できるようにと拡大したものを本殿前に据えたわけだ。さて、おもしろいのは左右が逆に配置されていること。あまりに不思議だったので宮司さんにお尋ねしたが、理由は分からないということだった。昔からこのように置かれているのだそうだ。

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2019.06.05、由岐神社本殿(鞍馬)

 狛犬には向きがある。正式には下図(左)のようになっている。

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(左)通常の狛犬の配置 (右)由岐神社の狛犬配置

 狛犬は直方体の角に顔の中心が来るように作る。台の長いほうが前になる。ところが左右を入れ替えると右図のようになる。台の短いほうが前にくる。ここの狛犬もこうなっている。だから最初から左右逆に作られたのではなく、途中から誰かが左右を入れ替えたことが分かる。ではなぜ逆にしたのか。

 狛犬は陰陽の対である。右の口を開いているほうが陽気、左の歯をくいしばっているほうが陰気だ。たいていの神社は南向きだから陽気の狛犬は陽気である東側に、陰気の狛犬は陰気である西側に置く。陰陽の気を正しく配置することで祈りの場を整えるわけだ。ここでは左右を逆にした。つまり陰陽が逆配置となっている。

 陰陽の逆配置はたまにある。陰陽が逆になるとどうなるのか。陰気のものは陰気側に陽気のものは陽気側へ帰ろうとする。この動きによって陰陽ふたつの気は中央で交わることになる。陰陽の逆配置の意味は陰陽の和合にある。そう考えればここの狛犬の左右が逆である意味は明らかだろう。陰陽の和合とは男女の正しい交わりをさす。妊娠出産を祈る神霊地にふさわしい配置であると言えるだろう。

 同じことは拝殿でも繰り返されている。6間の割拝殿という特異な形式は陰陽和合をテーマとしたところから生まれたと私は考えている。詳しくは次回に。

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